すばる
★1.一つの星が六つに割れて、すばる星(プレアデス星団)になった。
『プレアデスの起源』(ポリネシア、クック諸島の神話・伝説) プレアデス星団は、最初は1つの星だった。しかし、あまりにも明るかったために、タネ神の怒りをかった。タネ神は「プレアデスを追い払え」と、アウメア(おうし座のアルデバラン)とメレ(おおいぬ座のシリウス)に命ずる。プレアデスは川に隠れるが、メレが川の水をかき出した。タネ神はプレアデスを追いつめ、アウメアを投げつけたので、プレアデスは6つに割れてしまった。
★2.すばる星は、もとは七つ星だった。
『イワンノチュウ ―― 六つ星』(アイヌの神話・伝説) ある夫婦に娘が7人、息子が3人いた。娘たちはなまけ者で、「私たちは星になりたい。星なら何もしなくていいから」と言った。カムイ(アイヌの神)は7人を小さな星に変え、1年の畑仕事が終わって寒い冬が近づく頃、空に昇ってくるようにした。7人のうち、いちばん若い娘は恥じて両手で顔を隠した。そのため、7つ星の1つは姿を消して6つ星になった。これがすばる星で、イワンノチュウ(イワン=6、ノチュウ=星)と呼ばれている〔*3人の息子たちは、オリオン座の三つ星になった〕。
『クリッティカ ―― プレアデス星団』(インドの神話・伝説) クリッティカ(すばる星)は、肉眼では7つの星(アンバ、デュラ、ニタツニ、アブラヤンティ、メガヤンティ、バルシャヤンティ、チュプニカ)が見分けられる。これらの星は、七賢人サプタリシ(サプタ=7、リシ=賢人)すなわち北斗七星の、それぞれの妻である。後に7番目の星チュプニカが消えたため、クリッティカは6つ星になった。
*7人の童子=すばる星→〔海〕6aの『丹後国風土記』逸文(水の江の浦の嶼子)。
『金星とプレアデス星団の誕生』(モンゴルの神話・伝説) 空を飛ぶ魔法・透明人間になる魔法など、それぞれ特技を身につけた6人兄弟が、1人の美しい王女との結婚を巡って言い争う。王女は「争うのはやめて下さい。私たちは皆、空の星になりましょう。私は金星に。あなたたちはプレアデス星団に。そうすれば1年に1度、会うことができます」。金星がプレアデス星団のそばで輝く時、モンゴルの人々はこの物語を思い出し、「今、美しい王女が6人の兄弟たちに会っているのだな」と想像する。
『日本の星 星の方言集』(野尻抱影)「アイヌの星」(スバル) なまけ者の6人姉妹がおり、春夏は山で遊び暮らし、秋になると里へ下りて、食物をもらって過ごしていた。これを見た天の神は、6人を星に変えて寒空にさらすことにした。以後、彼女たちは冬になると天に現れ、暖かくなると暗黒の地下で暮らさなければならぬようになった。
★5.すまる=すばる。
『星の神話・伝説集成』(野尻抱影)「すばる星」 「天の安の河の誓(うけ)ひ」で、スサノヲが姉アマテラスから八尺(やさか)の勾玉の五百津(いほつ)の御統之珠(みすまるのたま)を受け取り、噛みに噛んで吹き出す。その息の霧から、いろいろの神たちが生まれ出る(*→〔川〕4の『古事記』上巻)。もし、この御統之珠の6つが天に集まって「すまる(すばる)星」に化した、というような神話があったら、どんなにすばらしいだろう。否、ことによったら、「すまる」が星の名となったのも、この種の神話からではなかったろうか、とも空想する。
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