国営石油会社
【英】: national oil company / state oil company
同義語: state oil company
略語: NOC
国が出資し、経営ないし管理する石油会社をいう。産油国、石油消費国のみならず、産油国でもなく石油消費量も多くない国にさえ設立されており、現在自由世界には 100 社以上の国営石油会社が存在する。 特に 1960 年の OPEC の創設と 70 年代に入ってからの産油国における石油利権への事業参加の実現に伴い、開発途上国における国営石油会社の設立が相次いだが、これらは旧来の外国石油会社による石油開発利権並びに国内石油製品市場の支配を排除して、石油資源に対する国家主権を実現することが動機となっている。現実の独占の程度は各国の政策思想と現実的条件とによって以下のようにさまざまである。 (1) 上流部門、下流部門とも 100 %独占している例:メキシコ、ベネズエラ、イラン、イラク、クウェート、カタール、ビルマなど。 (2) 上流部門、下流部門とも原則は国家独占であるが、上流部門については、国営会社との契約により、外国石油会社に原油取得を含む実質的探鉱・開発権を与える例:サウジアラビア、アルジェリア、リビア、アブダビ、インドネシアなど。 (3) 上流部門については (2) と同様のほか、下流部門についても何らかの形で外国石油会社並びに国内民間資本の操業を許している例:ブラジル、アルゼンチン、エジプト、ナイジェリア、マレーシアなど。 (4) 特に国営会社を設立せず、政府が操業会社に直接過半のシェアで出資する例:オマーン(開発・製油部門)、ギリシア、エチオピア(いずれも製油部門)など。 先進国でも国営石油会社を持つ国があるが、これらは自国資本による石油企業の育成を目的としており、国内でも外国石油会社並びに民間会社と併存して操業し、一部の会社はメジャーズに伍{ご}して海外活動を行っている。フランス、イタリア、ノルウェー、オーストリア、カナダなどはその例。なお、スペインの Hispanoil は上流部門だけの国営会社である。西独の Deminex は国営会社ではないが、海外探鉱・開発のための国策会社であり、政府は資金的に助成している。わが国の石油公団も海外探鉱・開発促進のための国営機関であるが、その機能は民間会社の助成であり、それ自身が石油会社というわけではない。 |

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