拒否権
英語:veto
議決を拒んで否決させることができる権限。拒否権が行使されると賛成派の多さや割合に関わらず案の成立が阻まれる。
拒否権の存在が注目されやすい組織の例として、国連安全保障理事会(国連安保理)がある。国連安保理は常任理事国5ヵ国(米、英、露、仏、中)と非常任理事国10ヵ国で構成され、常任理事国には拒否権が与えられている。意思決定の際に拒否権が発動されれば、たとえ賛成14対反対1の対立構図であっても、決議されない。
拒否権は国際社会上の交渉の駆け引きに利用される場合も多い。実際に発動するかどうかは定かではないが、拒否権の発動の示唆だけを行うことを「隠れ拒否権」と呼ぶ。拒否権の発動の意思を見せるだけでも他国の意思決定に影響を与えるといわれている。
きょひ‐けん【拒否権】
拒否権(きょひけん)(veto)
国連・安全保障理事会の常任理事国に認められた決議を阻止する権限のこと。手続き事項以外の実質問題について、5か国の常任理事国にのみ与えられている。
国際連合(国連)の安全保障理事会(安保理)の決議は、常任および非常任を合わせた15の理事国のうち、すべての常任理事国を含む9か国以上の賛成によって可決される。したがって、1か国でも常任理事国が反対に回れば、その決議案は否決できる。
このような拒否権の行使は、大国一致の原則に基づく。常任理事国の中国、フランス、ロシア、イギリスおよびアメリカは、もともと第2次世界大戦の戦勝国で、平和のための武力行使を認める国連憲章は、常任理事国の方針に従って問題解決する道を選んだ。
冷戦時代には、アメリカと旧ソ連の意見が対立し、拒否権の発動によって議決を阻止することが多かった。最近の例では、国連ボスニア・ヘルツェゴビナ派遣団 (UNMIBH) と平和安定化部隊 (SFOR) の任期延長を求める決議案の採択を行った2002年夏、アメリカによる拒否権の行使で否決されたことがあった。
(2003.03.14更新)
拒否権
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