『植物の園』
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「エラズマス・ダーウィン」の記事における「『植物の園』」の解説
ヨーロッパでは18世紀後半にロマン主義が台頭し、自然に対する美意識が大きく変化した時代だった。同時期に、カール・フォン・リンネの分類学を通じて植物学の知識が広く解放された。イギリスでもリンネの分類学は注目されたが、そのポイントとして植物の生殖器官である花の形態によって、多くの植物を分類整理できたことにあった。エラズマスは1791年に、ロマン主義文学とリンネの植物学を融合させた長大な物語詩『植物の園』(The Botanic Garden)を発表した。 『植物の園』は、詩の本文よりも原注のほうがはるかに多いという異様な形式を持つ。本文が精霊や妖精といった神秘論的イメージにあふれる一方で、注釈は詳細かつ科学的厳密性をもち、斬新な仮説の展開も行われている。新しい植物学が当時の人びとに与えたグロテスクな幻想を、科学と神秘を混合させて雄弁に表現した作品である。 『植物の園』は発表当時からあまりにもエロティックであると批判を受けた。エラズマスは批判に対して「リンネの分類学の本質こそそのエロティシズムにあるのだ」として譲らなかった。
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