『アメリカン・スプレンダー』
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「ハービー・ピーカー」の記事における「『アメリカン・スプレンダー』」の解説
ピーカーが自伝的コミックブックシリーズ『アメリカン・スプレンダー』("American Splendor"、「アメリカの輝き」)を書き始めた契機はロバート・クラムとの交友であった。クラムがクリーブランドに在住していた1960年代半ば、ともにジャズレコード愛好家であった二人は親交を結んだ。クラムのアンダーグラウンド・コミック作品を読んだピーカーはコミックスという表現形式の可能性に気付いたという。「映画にできることは何でもコミックスがやってのけられるのがわかった。それで俺もやりたくなったんだ。」それが実現するのには10年を要した。「10年くらいはコミックスを作るための理論固めをしていた」 1972年ごろ、ピーカーは何遍かの作品のコマ割りを行い、棒人間の絵を描き入れて、クラムとロバート・アームストロング(英語版)に見せた。乗り気になった二人は作画を行うことを申し出た。ピーカーとクラムが制作した1ページ作品「クレイジー・エド」("Crazy Ed")はクラムの作品集『ピープルズ・コミックス』("The People's Comics")の裏表紙を飾った。これがピーカーのコミックスデビュー作となった。後に『アメリカン・スプレンダー』第1号が発行されるまで、ピーカーは「クレイジー・エド」をはじめとして様々な形式でコミック作品を発表した。 「Crazy Ed」、作画ロバート・クラム、『The People's Comics』収録(ゴールデンゲート、1972年) 「A Mexican Tale」、作画グレッグ・バジェット(英語版)、『Flaming Baloney X』収録(プロパガンダ、1975年ごろ) 「It Pays to Advertise」「Ain' It the Truth」「The Boys on the Corner: A Good Shit Is Best」、作画ウィリー・マーフィー(英語版)、『Flamed-out Funnies』第1号収録(リップオフ・プレス、1975年8月) 「The Kinsman Cowboys: How'd Ya Get Inta This Bizness Ennyway?」、作画グレッグ・バジェットとゲーリー・ダム(英語版)、『Bizarre Sex』第4号収録(キッチンシンク・プレス(英語版)、1975年10月) 「Famous Street Fights: The Champ」、作画ロバート・アームストロング、『コミックス・ブック(英語版)』第4号収録(キッチンシンク・プレス、1976年2月) 「Don't Rain on My Parade」、ロバート・アームストロング、『Snarf』第6号収録(キッチンシンク・プレス、1976年2月) 1976年5月には自費出版によるコミックブックシリーズ『アメリカン・スプレンダー』第1号が発行された。アーティストとしてクラム、ダム、バジェット、ブライアン・ブラム(英語版)が制作に参加した。故郷クリーブランドの高齢化が進む区域に住むピーカーの日常を描く作品であった。第1号は赤字であったが、年月とともに売れ行きは上がり、90年代の終わりには毎号1万部を発行するようになった。 シリーズの作画を長く務めた著名なアーティストにはクラム、ダム、バジェットのほかスペイン・ロドリゲス(英語版)、ジョー・ザベル(英語版)、ゲリー・シャムレー(英語版)、フランク・スタック(英語版)、マーク・ジンガレッリ、ジョー・サッコがいる。2000年代にはディーン・ハスピエル(英語版)とジョシュ・ニューフェルド(英語版)がレギュラーとして作画を担当した。このほかにピーカーと共作したアーティストには、ジム・ウッドリング(英語版)、チェスター・ブラウン(英語版)、アリソン・ベクデル(英語版)、ギルバート・ヘルナンデス(英語版)、エディー・キャンベル(英語版)、デヴィッド・コリアー(英語版)、ドリュー・フリードマン(英語版)、ホー・チェ・アンダーソン(英語版)、リック・ギアリー(英語版)、エド・ピスカー(英語版)、ハント・エマーソン(英語版)、ボブ・フィンガーマン(英語版)、ブライアン・ブラム、アレックス・バルトがいる。そのほか、ピーカーの妻ジョイス・ブラブナーやコミック原作者アラン・ムーアなど、職業的なアーティスト以外の人物も作画を担当している。 『アメリカン・スプレンダー』コミックブックシリーズに書かれた作品は数多くの作品集やアンソロジーに収録されている。
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