「象徴」の意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 12:54 UTC 版)
憲法学では「象徴」は法的意味を持つ語ではなく、政治的意味(社会学的意味)しか持たない。象徴とはあるもののイメージを任意の記号に仮託したものであり、人々が日本国と日本国民統合のシンボルが天皇であると思っている限りにおいて、天皇が象徴として成り立っており、その地位が「国民の総意に基づく」という部分と同じ意味である。 白洲次郎は著作で「象徴」の語はGHQ草案の「symbol」の語を辞書で引いた結果と記載した。白洲次郎はGHQ草案の英語をGHQの一室内で外務省の翻訳を担当する官僚と一緒に缶詰になっており大急ぎで和訳をしていた。 この翻訳遂行中のことはあまり記憶にないが、一つだけある。原文に天皇は国家のシンボルであると書いてあった。翻訳官の一人が(この方は少々上方弁であったが)「シンボルって何というのや」と聞かれたから、私が彼のそばにあった英和辞典を引いて、この字引には「象徴」と書いてある、といったのが、現在の憲法に「象徴」と字が使っている所以である。余談になるが、後日学識高き人々はそもそも象徴とはなんぞやと大論戦を展開しておられるたびに、私は苦笑を禁じ得なかったことを付け加えておく。 一般に「象徴」とは、無形で象徴的なものを表すための、有形で具体的なものである。例えば国旗・王冠・紋章・十字架・鳩は、国家・王位・家系・キリスト教・平和の象徴である。また物の象徴の他に、国王・大統領など人が象徴とされる場合もある。1931年のウェストミンスター憲章は前文で「国王はイギリス連邦を構成する諸国の自由な結合の象徴」と定める。
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