「削減率」の根拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 03:14 UTC 版)
ほとんどの節電器詐欺被害は、最初に大幅な削減率(=電気料金の節約率)を提唱されることから始まる。この「節約率」は事例により異なるが、最低でも10%程度、多くの場合は15~30%程度、ひどいものになると50%ものの数字を示される。しかし、いくらオームの法則を適用しようとしても、工学的常識では電源電圧の低下はせいぜい5%程度が限度である。10%もの低下があれば、冷暖房器などのモーターすなわち誘導負荷の変調に限らず、白熱電球やグロー放電蛍光灯などに照明機器の明らかな照度低下などが即座にあるいは電力使用が増える繁忙期に見られることが、多少の工学的常識を持ち合わせていれば、容易に予想できる。節電器販売会社の主張するオームの法則が適用できる数少ない例である白熱電球や電熱線ヒータでさえも、5%の電圧低下による消費電力の低下は高々10%強であり、多くの被害例で示された15~30%とは隔たりがある。結局のところ、これらの数字は根拠のないものであり、節電器被害者のほとんどが電気の知識に疎いことに目をつけ、数年あるいは数十年前に高校などの在学中にオームの法則というものがあるという知識が被害者の脳の中を素通りしていったときの微かな足跡を、詐欺師が粉飾したに過ぎない。 さらに、電気料金は一般に固定部分(基本料金)と従量部分から成り立つが、節電器で節約できる可能性のあるのは従量部分であることは明白であり、上記の「理想状態」でさえ、実際に見込まれる料金の節約率はさらに小さくなる。基本料金は、「節電器」により目に見える節約が実際に可能ならば、アンペア数の小さい契約に変更することで削減可能とも言えるが、実際にはそのような節約は実現できないので問題にならない。また、従量部分が単純な正比例でなく累進的になっている場合は、例えば10%の節電で15%の従量料金の節約も期待できるが、これも節電が実際に期待できないので問題にならない。 その他の方法として、電気料金の単価の安い動力で契約している動力電気の200Vに変圧器を取り付け100Vとして、電灯電力を作り出すと言う方式がある。この場合、単価の高い電灯電力が単価の安い動力電力で計算されるので、料金的に見れば格段に安い電気料金となる。しかしこの方法は電力会社との契約に違反するため最悪の場合、送電停止などの一時的な措置がとられる。
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