「写ルンです」の成功と急速な普及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 01:25 UTC 版)
「レンズ付きフィルム」の記事における「「写ルンです」の成功と急速な普及」の解説
商品として一般的な存在になったのは、1986年(昭和61年)に富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)が「写ルンです」(うつルンです、日本国外名QuickSnap)を発売したことによる。外出時にカメラを忘れた場合などの際、臨時で買い求めるといった用途を想定した、一種のニッチ商品であったが、観光地など出先で買い求めて即座に撮影できる手軽さでヒット作となり、急速に普及していった。 初期モデルは、元からカートリッジ式の110フィルムを採用しており、言葉通り「フィルムケースにレンズ(と、フィルム面までの間の暗箱)を付けたもの」であった。その後すぐ、一般的な35ミリフィルムで当時の常用としては高感度のISO400を使用したモデルが登場し、そちらが主流となった(パンフォーカスの性能を成立させるために暗いレンズを用いたことから、これを高感度のISO400フィルムで補った)。 富士フイルムの成功を追って、各フィルムメーカーや他業種からも参入があった。 コニカ(後のコニカフォトイメージング→コニカミノルタフォトイメージング)「よく撮れぞうくん」シリーズ 「撮りっきりコニカ」シリーズ コダック「スナップキッズ」シリーズ アグフア 三菱製紙「三菱カラー フィルム入りカメラ パシャリコ」(フィルム以外はコニカのOEM) などの競合フィルムメーカーがこの分野に参入し、他にも 松下電器産業(現・パナソニック)「パナ撮る」(OEM。初期はコニカ「よく撮れぞうくん」、後に富士写真フイルム「写ルンです」がベースとなった。内蔵乾電池は松下電池工業(現:パナソニック エナジー社)製のナショナルウルトラアルカリ乾電池。なお、松下電器はフィルム式コンパクトカメラを発売していた時代もある。特に傘下でストロボを得意としていたウエスト電気(現:パナソニック フォト・ライティング)の技術を活かしキャパシタを2個搭載してストロボの再発光に必要な時間を短縮したコンパクトカメラ(チャンス600クォーツデートなど)を発売していた) ジャスコ「トップバリュ使いきりカメラ」(DNPフォトルシオ経由のOEM) ダイエー「セービング撮りっきりカメラ」(コニカOEM) など、家電メーカーや大手スーパーマーケット等の参入が見られた。 また、レンズ付きフィルムと同程度の機能・性能のカメラであれば従来のカメラより大幅に安価に作れる、という発想から、富士フイルムのスマートショット等、レンズ付きフィルムに類似した構造・クオリティで、ユーザーによるフィルム詰め替えが可能な「使い捨てないカメラ」とでも言うべき製品も現れたが、そちらは品質面からも商品のセクタ・レンジ的に近いトイカメラに吸収されるような形となった。
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