α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:55 UTC 版)
「経口血糖降下薬」の記事における「α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)」の解説
一般名血中半減期(hr)作用時間(hr)一日の使用量(mg)アカルボース ― 2~3 150~300 ボグリボース ― 2~3 0.6~0.9 ミグリトール ― 1~3 150~225 α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)は食物性糖質の1000倍も親和性の強い糖質類似物質(アナログ)である。糖質が吸収されるためにはデンプンのような多糖類から消化酵素の作用を得て二糖類(麦芽糖やショ糖)、単糖類(ブドウ糖や果糖)に分解される必要がある。その酵素、α-グルコシダーゼを阻害し、消化吸収を緩徐にすることで、血糖の上昇をおさえるので、食後過血糖改善薬ともいわれる。これらの薬物は血糖値の食後のピークを減少させ、食事とともに摂取すると有効であるが食事以外の高血糖の治療には有効ではない。鼓腸、膨満感、腹部不快感、下痢などの副作用がよく報告される。これらの原因は消化されずに腸管にのこった糖類が醗酵し発生するガスによるものである。α-GIの継続的な使用によってこれらの副作用は軽減していく傾向がある。しかし炎症性腸疾患の患者では禁忌である。腸閉塞様症状に至る場合もあり糖尿病性神経障害で消化管蠕動障害がある場合は留意する。体質的に、肝障害をきたす例があるので肝トランスアミナーゼの定期的な観察を行う。肝障害は薬物の中止とともに可逆的に改善する。α-GIに体重増加作用はないため、食事療法の妨げにならない。 少量から開始し、体を慣らしていくことで、消化器症状によるQOL低下を防止できる。α-GI薬の使用中に低血糖が発現したときは、デンプンやショ糖では血糖上昇に時間が掛かるのでブドウ糖や清涼飲料水に砂糖の代用に使われているブドウ糖果糖液糖を低血糖の処置に用いる。
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