西武球場前駅 西武球場前駅の概要

西武球場前駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 07:56 UTC 版)

西武球場前駅
駅舎(2021年10月)
せいぶきゅうじょうまえ
Seibukyūjō-mae
所在地 埼玉県所沢市上山口2090-3
所属事業者 西武鉄道
駅構造 地上駅
ホーム 3面6線(狭山線)
1面2線(山口線)
乗降人員
-統計年度-
[利用客数 1]6,450人/日
-2021年-
開業年月日 1929年昭和4年)5月1日[注釈 1]
乗入路線 2 路線
所属路線 狭山線
駅番号 SI41
キロ程 4.2 km(西所沢起点)
SI40 下山口 (2.4 km)
所属路線 山口線(レオライナー)
駅番号 SY03
キロ程 2.8 km(多摩湖起点)
SY02 西武園ゆうえんち (2.5 km)
備考 1944年(昭和19年)2月に営業休止、1951年(昭和26年)10月に営業再開。
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概要

プロ野球埼玉西武ライオンズの本拠地球場である西武ドーム(命名権名称「ベルーナドーム」)に隣接して立地する、狭山線ならびに山口線「レオライナー」の終点駅である。

開業当初の駅名は村山公園駅(むらやまこうえんえき)であったが、村山貯水池際駅(むらやまちょすいちぎわえき)、村山駅(むらやまえき)、狭山湖駅(さやまこえき)と三度の改称を経て、西武ライオンズ球場(当時)開設に先立つ1979年昭和54年)3月に現駅名に改称された。

西武ライオンズ球場はその後、ドーム化や命名権取得に伴って名称を複数回変更しているが[注釈 2]、当駅の名称は「西武球場前」のまま変更されていない。

当駅は駅舎ならびに各路線のホームが地平に建造されている地上駅であるが、立地する場所の地形の関係から、狭山線における当駅手前の区間は上り勾配を伴う高架構造となっている[2]

駅ナンバリングは狭山線と山口線で個別に設定され、狭山線はSI41、山口線はSY03となる。

歴史

武蔵野鉄道山口線(後の西武狭山線)は、村山貯水池(多摩湖)を中心とした狭山自然公園への観光客輸送を目的として[3]1929年(昭和4年)5月1日に西所沢駅 - 村山公園駅間が開通し、当駅は山口線の終着駅村山公園駅として同日開業した。開業当初の当駅は西所沢駅から4.8 km地点、村山上貯水池と同下貯水池を区分する堤体寄り、現在の西武第二球場付近に所在した[4]

当時における都心部から日帰り可能な手軽な観光地の一つであった狭山自然公園への観光輸送を巡っては、(旧)西武鉄道が村山線(現・西武西武園線)「村山貯水池前駅」を、多摩湖鉄道(武蔵野鉄道への合併を経て、現・西武多摩湖線)が「村山貯水池駅」をそれぞれ同時期に開業しており、当時はいずれも別事業者に属した三路線は利用客獲得のため熾烈な争いを繰り広げた[5]

当駅は1933年(昭和8年)3月に村山貯水池際駅と改称されたのち[2]日中戦争に端を発する戦局の激化に伴って1941年(昭和16年)4月1日付で村山駅と改称された[2]。これは「貯水池」という軍事上重要な施設の存在を隠蔽する国防上の理由によって実施された改称であり[6]、前述した各路線の駅についても、(旧)西武村山線「村山貯水池前駅」は「狭山公園駅」に、武蔵野鉄道多摩湖線「村山貯水池駅」は「狭山公園前駅」にそれぞれ改称が実施された[6]。さらに太平洋戦争勃発に伴って、各事業者が保有する鉄道路線について、軍事輸送上の重要度が低いものは鉄材供出のため不要不急線に指定される例が相次いだが、観光輸送を目的として敷設された山口線[3]も例外ではなく、1944年(昭和19年)2月に不要不急線として休止となり[7]、当駅も営業を休止した[2]

終戦後の1951年(昭和26年)10月7日付で山口線(西武鉄道の路線としては初代)は「狭山線」と名称変更の上で運行を再開し、当駅も営業を再開した[7]。営業再開に際しては駅を西所沢方へ300 m移設の上、寺社風の重厚な外観が特徴の駅舎を新造し[2]、駅名も狭山湖駅と改称された。なお、運行再開当初の狭山線は非電化路線として竣工し[8]、電化以前の多摩線(現:多摩川線)などで運用された内燃動車(ディーゼルカー)によって運行されたが、翌1952年(昭和27年)3月には再び架線電圧1,500 V仕様で電化され[8][注釈 3]電車による運行が再開された。また、1959年(昭和34年)12月には当駅の至近に屋内スキー場「狭山スキー場」が開設されたが、同施設を訪れる利用客によって輸送量増加が見込まれたことからホームの拡幅ならびに有効長延長が実施された[9]。さらに1963年(昭和38年)には当駅南方に野球用グランド「西武園球場」が開設されている。

営業再開以降、ユネスコ村や狭山スキー場といった主に近隣のレジャー施設への輸送を担った当駅であったが、1978年(昭和53年)6月に前述「西武園球場」をプロ野球公式試合が開催可能な本格的施設へ改装する工事が開始されたことに伴って、同年11月に西所沢方へさらに300 m移設され、従来の2面2線構造から球場観客輸送を念頭に置いた3面6線構造に拡大した[2]。同球場はその後、福岡野球株式会社(クラウンライターライオンズ球団)を西武鉄道のグループ企業であった国土計画(後のコクド)が買収し、本拠地を福岡県福岡市から移転することが決定したことにより、クラウンライターライオンズ改め西武ライオンズ球団の本拠地球場として使用されることとなった。「西武ライオンズ球場」と命名された同球場の最寄駅となった当駅は、1979年(昭和54年)3月31日の同球場竣工[10]に先立つ同年3月25日付で西武球場前駅と改称された[2]。また、1985年(昭和60年)4月には多摩湖線方面から西武ライオンズ球場へのアクセス改善を目的として、山口線(2代)新交通システムへの転換ならびに経路変更が実施され[7]、当駅は新たに山口線(2代)の終着駅となった。

2009年平成21年)4月7日より、1 - 6番ホームの発車メロディを埼玉西武ライオンズの球団応援歌『吠えろライオンズ』に変更した。これは同年の本拠地・西武ドームにおける公式試合開幕戦開催日に合わせ、「ライオンズが“駅をジャック!”」と銘打ったイベントの一環として実施されたものである[11]2022年令和4年)7月22日より『地平を駈ける獅子を見た』に変更された。

年表

  • 1929年昭和4年)5月1日:武蔵野鉄道山口線の村山公園駅として開業。
  • 1933年(昭和8年)3月1日村山貯水池際駅と改称。
  • 1941年(昭和16年)4月1日:戦局激化に伴い、村山駅と改称。
  • 1944年(昭和19年)2月28日:山口線が不要不急線に指定され、営業休止。
  • 1945年(昭和20年)9月22日:武蔵野鉄道が(旧)西武鉄道を吸収合併し、(現)西武鉄道成立[注釈 4]。西武鉄道山口線(初代)の駅となる。
  • 1951年(昭和26年)10月7日:営業再開。西所沢方へ300m移設の上、狭山湖駅と改称。同日付で路線名称も「狭山線」と変更。
  • 1959年(昭和34年)12月22日:狭山スキー場の開業に合わせ、ホームの延長・拡幅を実施。
  • 1978年(昭和53年)11月30日:西武ライオンズ球場の開業準備に伴い、西所沢方へさらに300m移設。頭端式ホーム3面6線に拡張される。
  • 1979年(昭和54年)3月25日:西武ライオンズ球場の開場を機に、西武球場前駅と改称。
  • 1985年(昭和60年)4月25日:山口線(2代)の新交通システム転換・経路変更に伴って、山口線用の7・8番ホーム供用開始。
  • 1993年平成5年)6月7日:自動改札機導入。
  • 2002年(平成14年)3月6日:改札口有人通路をカウンター式に改装し、売店を新設。自動改札機・自動券売機を移設。
  • 2006年(平成18年)9月1日:特急「ドーム」運行に伴い、特急券の窓口発売を開始。
  • 2009年(平成21年)4月7日:1 - 6番線の発車メロディを『吠えろライオンズ』に変更。
  • 2022年令和4年)7月22日:1 - 6番線の発車メロディを『地平を駈ける獅子を見た』に変更[14]

注釈

  1. ^ 当初は「狭山湖駅」として。1979年(昭和54年)3月に現駅名となる。駅名はその間にも数回変わっており、本文で詳説する。
  2. ^ 西武ライオンズ球場→西武ドーム→インボイスSEIBUドーム→グッドウィルドーム→西武ドーム→西武プリンスドーム→メットライフドーム→ベルーナドーム
  3. ^ 多摩湖鉄道買収区間を除く旧武蔵野鉄道の各路線はいずれも架線電圧1,200 V仕様で電化されており、(現)西武鉄道成立後の1950年(昭和25年)7月1日付で全線1,500 V昇圧が実施されていることから、運行休止以前の「武蔵野鉄道山口線」は架線電圧1,200 V仕様であったと推定される。
  4. ^ 当初の社名は「西武農業鉄道」。1946年(昭和21年)11月15日付で現社名へ改称。

出典

  1. ^ ベルーナドームへのアクセス(2022年3月1日閲覧)
  2. ^ a b c d e f g 小松丘:西武鉄道の「廃」をさぐる鉄道ピクトリアル』2002年4月号 pp.151 - 153
  3. ^ a b 「西武鉄道のあゆみ - その路線網の拡大と地域開発」『鉄道ピクトリアル』1992年5月号 p.106
  4. ^ 「西武鉄道 線路・駅の移り変わり」『鉄道ピクトリアル』1992年5月号 pp.138 - 139
  5. ^ 「西武鉄道のあゆみ - その路線網の拡大と地域開発」『鉄道ピクトリアル』1992年5月号 p.111
  6. ^ a b 小松丘:西武鉄道の「廃」をさぐる『鉄道ピクトリアル』2002年4月号 p.154
  7. ^ a b c 「西武鉄道のあゆみ - その路線網の拡大と地域開発」『鉄道ピクトリアル』1992年5月号 pp.112 - 113
  8. ^ a b 「私鉄車両めぐり(39) 西武鉄道 1」 (1960) p.42
  9. ^ 「西武鉄道 線路・駅の移り変わり」『鉄道ピクトリアル』1992年5月号 p.80
  10. ^ 西武ドームの歴史 - 西武ドーム公式 2012-03-04閲覧 ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  11. ^ a b ライオンズが“駅をジャック!”埼玉西武ライオンズ公式サイト(2009年4月5日)2021年10月9日閲覧
  12. ^ 今尾恵介(監)『日本鉄道旅行地図帳 4号 関東2』新潮社、2008年8月、52-53頁頁。ISBN 978-4107900227 
  13. ^ “西武遊園地駅、40年ぶり「多摩湖駅」に 駅そばの西武園中央口閉鎖で” (日本語). 毎日新聞. (2020年3月5日). オリジナルの2020年3月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200314182252/https://mainichi.jp/articles/20200305/k00/00m/040/209000c 2021年11月14日閲覧。 
  14. ^ 2022年7月22日(金)より狭山線3駅の発車メロディを埼玉西武ライオンズゆかりの楽曲に変更します!』(プレスリリース)西武鉄道株式会社・株式会社西武ライオンズ、2022年7月11日https://www.seiburailway.jp/file.jsp?newsroom/news/file/20220711_sayama_melody.pdf2022年7月22日閲覧 
  15. ^ a b c 西武球場前駅 駅構内マップ 西武鉄道公式サイト(2021年10月9日7閲覧)
  16. ^ 同様の駅構造は、近鉄志摩線賢島駅においてもみられる。
  17. ^ 「西武山口線新交通システム」『鉄道ピクトリアル』第35巻第7号(通巻第450号)、電気車研究会、1985年7月1日、84-85頁、ISSN 0040-4047 
  18. ^ NEWS RELASE 第12‐014号:2012年度 鉄道事業設備投資計画 安全対策、サービス向上、環境対策、輸送力増強などに190億円 西武鉄道(2012年5月15日)インターネットアーカイブ内の残存資料を2021年10月9日閲覧
  19. ^ 電気車研究会、『鉄道ピクトリアル』通巻第884号 2013年12月 臨時増刊号 「特集 - 西武鉄道」、巻末折込「西武鉄道線路略図」
  20. ^ 川島令三『中部ライン 全線・全駅・全配線 第11巻 埼玉南部・東京多摩北部』講談社、2011年2月、12頁。ISBN 978-4062700719 
  21. ^ 西武球場前駅 :西武鉄道Webサイト
  22. ^ 所沢市統計書 - 所沢市
  23. ^ レポート - 関東交通広告協議会
  24. ^ 埼玉県統計年鑑 - 埼玉県
  25. ^ a b c d e 「駅別乗降人員(一日平均)の推移」No.1 2002年度〜2006年度・池袋線・西武秩父線・西武有楽町線・豊島線・狭山線・山口線” (PDF). 西武鉄道. 2012年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
  26. ^ 球場改修”. 埼玉西武ライオンズ. 2022年8月24日閲覧。
  27. ^ ライオンズストア案内”. 埼玉西武ライオンズ. 2022年8月24日閲覧。
  28. ^ 有料駐車場のご案内 (PDF) - 狭山スキー場公式 2012-03-04閲覧
  29. ^ ゆり園 - 西武鉄道公式Web 2012-03-04閲覧
  30. ^ 2014.09.05 西武球場前→上北台駅・立川駅北口行き運行開始のお知らせ
  31. ^ 西武球場線 「西武球場前」のりば変更のお知らせ
  1. ^ a b c 駅別乗降人員(2021年度1日平均) - ウェイバックマシン(2022年7月8日アーカイブ分)、2022年8月20日閲覧
  2. ^ 駅別乗降人員(2020年度1日平均) - ウェイバックマシン(2021年9月23日アーカイブ分)、2022年8月20日閲覧


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