日本の路面標示
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歴史
1919年(大正8年)に自動車取締令と道路法が制定されているが、この中で道路通行者は標示に従うよう定められている[234]。1920年(大正9年)頃から、警視庁管内では白線2本による「電車線路横断線」が設置されている[234]。材料は石灰水で、1930年(昭和5年)までこの材料が用いられていたとされる[234]。1926年(大正15年)頃には石材やアルミニウム板が材料として用いられていた[234]。
1926年(昭和2年)阪神国道が整備された際に、緩行車線と高速車線を分けるため東亜ペイントのトラフィックペイントが施工された。ペンキを塗るとアスファルトが溶けて表面にでるため、色は白でなくクリーム色とし、視認性の観点から光沢でなく半光沢とした。しかし、ペイントが持たないため道路管理者の大阪府と兵庫県は塗り直し費用がかかるとペイント会社や内務省技師に相談している[235]。 1929年(昭和4年)には初めて白色の「横断歩道」が施工され、その後、真鍮製の「横断歩道」も施工された[234]。 1934年(昭和9年)頃、「ペイントは3、4月程度しかもたないため、塗り直しが必要。東京市内では年数回の交通週間に塗っている。台北市は市中全部にトラフィックペイントが塗ってあり、年3、4回塗っている。真鍮の鋲より視認性は良い。阪神では、ペイントの幅は3インチ、長さは2間おきに塗っている。」と報告されている[236]。
1947年(昭和22年)11月に道路交通取締法が施行され、路面標示は「区画線」として法的な裏付けが行われた[237]。また、1957年(昭和32年)には道路法でも「区画線」が規定された[238]。しかし、この頃は路面標示の様式の制定がなく、全国で統一的な運用が行われていなかった[239]。その中で、警視庁管内では、アメリカ合衆国における「統一交通管理施設マニュアル」などを参考に、1951年(昭和26年)「交通区画線記号」を制定した[239]。これを各道府県が採用することで全国的に普及・定着が進んだ[239]。
路面標示用塗料がJISで仕様化されたのは1951年(昭和26年)である[240]。
1960年(昭和35年)に道路交通法が制定され、公安委員会が設置する路面標示は「区画線」から「道路標示」となった[238](道路法に基づく「区画線」はそのままの呼称が存続し改名されなかった[241])。また、同年に標識令が総理府・建設省令として制定され、このとき初めて路面標示(道路標示・区画線)の様式が全国で統一されたものとなった[238]。特に必要なものは夜間にも反射するよう設置することが規定され、反射材としてガラスビーズの利用が始まっていた[242]。この頃から路面標示用塗料も溶融式(現在の3種)が用いられはじめ、塗装方法も人力によるもののほかに自走式の機械によるものが広まり始めた[238]。
1963年(昭和38年)3月には道路標識の様式が大きく変更されたが、路面標示でも改正が行われ、道路標示も設置数が少ない・必要性が乏しいものは削除し、新たに停止線や進行方向などが追加された[243]。同時に、横断歩道では標識と標示の両方を設置しなければならない原則だったが、標識または標示の設置と法的要件が改められた[243]。同年5月には名神高速道路の開通に合わせて高速道路用の路面標示が追加された[244]。進行方向を示す矢印を一般道路と高速道路で区別するよう様式を追加することが提案されたが、検討の結果見送りされた[244]。横断歩道の標示は、ゼブラ式のものは信号機のある交差点では使用しない(すなわち、側線のみのものを使用する)原則を改め、信号機のある交差点および交差点の付近以外の場所でも設置することができるようになった[245]。
黄色の路面標示が夜間に白色と誤認されやすくなり、路面標示用塗料を作るメーカーが独自で赤みを付けた塗料を生産していた[246]。そのため、全国で異なる黄色が用いられる結果となった[246]。そこで、1978年(昭和53年)に路面標示に用いられる黄色の色相の基準となる「路面標示黄色」が定められた[246]。1978年6月に警察庁から出された通達により、公安委員会関係が発注する路面標示の工事にはこの黄色を用いるよう指示された[246]。それ以降、路面標示用塗料のメーカーが合同で年に1、2回測色し、基準通りに生産していることを確認している[247]。
1989年(平成元年)に建設省(現:国土交通省)から雨天(夜間)でも視認が可能な区画線の開発が公募に出された[248]。この時、高視認性路面標示用塗料が開発された[248]。
2016年(平成28年)からは黄色塗料は鉛・クロムフリーにするよう規定された[240]。
新たな路面標示の形態として路面に投光する形態のものを導入する試みがある。首都高速道路の浜崎橋ジャンクションでは、2017年3月29日に「可変式路面表示」としてLED投光器で矢印を路面上に映し出して車両を誘導する実験が行われた[249]。また、横断歩道の手前で歩行者が安全確認するよう促す標示を映し出す実験が藤枝市で2018年12月から2019年3月まで試験導入された[170][171]。一方で、三菱電機からは車両側から路面に投光するものも提案されている[250]。
2021年(令和3年)11月から2024年(令和6年)6月にかけて国土交通省が主体で自動運転に対応した区画線の要件案作成に向けて研究を進めていく方針である[251]。
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- ^ a b 小川博巳 2016, p. 101.
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- ^ 日沼諭史 (2015年10月24日). “三菱電機、クルマの“次の動き”を車外に知らせる「路面ライティング」技術説明会”. Car Watch (インプレス) 2018年12月15日閲覧。
- ^ 『自動運転の普及拡大に向けた道路との連携に関する共同研究を開始します』(プレスリリース)国土交通省、2021年11月16日 。2021年12月18日閲覧。
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