政府開発援助
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日本のODAの問題点
日本のODAの問題点として、以下の点がしばしば指摘される。
タイド援助
タイド援助とは、援助国がインフラ整備などの開発プロジェクトなどのODA事業に関して、資材の調達先や服務などの工事事業を日本企業に限定することである。「ひも付き援助」とも言う。事業を請け負う企業(商社・ゼネコン等)と政治家の癒着が問題視されてきた。[独自研究?]1970年代頃、援助される国にはインフラなどが整備されるだけで、援助国(請負企業)の一方的な利益追求によって事業が推進される恐れがあると懸念されていた。いずれも正常なコスト意識がないので、取引そのものが非常に利益率が高く設定され、仲介する個人・業者がいくらでもコミッションを取れる構造で政商、黒幕と呼ばれる人物や政治家が私腹を肥やしてきており[要出典]、それを税金で大盤振る舞いしているとの見方[誰?]もあった。 こういった批判を受け、1980年代以降、資材の調達先や工事事業の受注先などを特定しないアンタイド援助が増加していった。現在では、90%後半がアンタイド援助である。日本企業の受注率も、1993年には29%と減少を続けている。
拠出金を日本企業にばかり受注させたりと、いわば"反日的な意見"もあるが、代わって中韓企業が受注したり、あるいは東南アジア各地などでは日本製のインフラや商品が他国より圧倒的に評価が高く、それらの批判には正当性がないとの意見もある。COP[要曖昧さ回避]などで"利権を漁る環境マフィア"が主張する意見には、例えば日本の高性能な石炭火力発電所の輸出をしようとしても、アンタイド援助の原則を盾に環境省主導で阻害している事に対する批判がある[要出典]。
不正流用問題
ODAの委託費を巡る不正流用問題も発覚している。大阪市立環境科学研究所(大阪市天王寺区)に於いて、ODAによる開発途上国からの技術研修員受け入れ事業を巡り、2000-2003年の間に委託費274万円を不正流用していたことが判明している。また、同研究所が、不正流用に関わった職員に対して、厳重注意処分に留め、流用分の返還請求も行っていないことが、問題を大きくしている(ウィキニュース短信より)。
施工中の事故
2007年9月26日、ベトナム南部のビンロン省で、日本の政府開発援助(ODA)約248億円をかけて建設中のカントー橋が崩落し、作業員など少なくとも52人が死亡、100人以上が負傷する事故があった[23] が、日本国内ではほとんど報道されなかった。これに対して木村外務副大臣が現地を視察、被害者に弔意を表すともに遺憾の意を示している[24]。ベトナム事故調査国家委員会は、仮設支柱基礎の不等沈下が事故原因と結論づけ、安全対策改善点等について日本政府主催で重ねて検討した後に工事を再開、2010年4月に完成している。
対中ODA
日本の対中ODAは、中国が戦後賠償を放棄した見返り、との性質もあったとされる[25]。国際協力機構によると、日本の対中ODAは、「無償資金協力」は約1600億円、「円借款」は約3兆3千億円、「技術支援」の約1900億円で、計3兆6千億円余りとなる[25]。一方、中国が急速な経済発展を遂げ、軍事費も多額となり、さらに日本から援助を受けている中国が、他の途上国に戦略的な支援を行っていることに加えて、「日本の支援であることが中国の市民に知られていない」「ODAでつくられたことであることを示すプレートが外されたこともあり、中国が『隠している』と言われても仕方がない対応をとってきた経緯がある」という懸念の声がある[25]。円借款で完成した中国の北京首都国際空港についての感謝プレートは、一般国民が立ち寄ることのないVIPルームに向かうエスカレーターの頭上に掲示されているなど中国の一般国民は日本からの援助を知る由もない。そもそも有償案件については、利子分を付けて返済するから一種のビジネスであるという認識が中国側にある[26]。馬立誠(『人民日報』評論員)は、「日本の支援についてはほとんど宣伝されてこなかったため、国民の大多数は知らない」「円借款は中国の近代化への強力な支援となっており、日本のお詫びの気持と誠意の表れである。この点について、我々は相応の評価をしなければならない。歴史的なもつれを理由に、日本の行った寄与に対して、故意に言及を控えたり、過小評価したりしてはならない」と述べている[27]。シンガポールメディア『ザ・ストレーツ・タイムズ』は、中国政府は日本が為してきたこれまでの対中援助や貢献の事実を中国国民に教育すべきであり、これらによって中国は日本を歴史的に許す挑戦をすべきと説いている[28]。また、円借款で完成した中国の北京首都国際空港の株式が、事前の相談もなしに外資に売却されたり、北京市の日中交流センター施設内で風俗店が営業していたことなども発覚している[29]。
その他
- ODA供与先は、日本との間で、貿易・直接投資(企業の海外進出)の関連が密接な東アジア、東南アジアの諸国に偏っており、貧困削減の目的を掲げながら、LLDC(最貧国)の多いアフリカ諸国に対する援助額が未だ少ない。ただし、日本に限らず、各援助国は、歴史的、地理的、経済的な理由によって援助対象国の地域的偏りが見られるのも事実である[30]。
- 前年度の予算を基本として引き継がれている傾向が強く、ODAの予算の決め方が流動的ではない。
- 財務省や厚生労働省など、本来外交とは関係が薄い省庁も関与している。
- ODAによる活動、及び、それによって建てられた建造物などは世界に多数存在するが、それらがODAによるものだと知る者はODAをする側の国民、される側の国民、共に多くなく、正しい認識がなされていない。とりわけ中華人民共和国に対しては、長年多額の援助をしているにも関わらず、国民にはそれらが殆ど知らされず、逆に江沢民中国共産党総書記時代の1990年代以降から顕著に反日教育を行う事で、中国人の日本への憎悪ばかりが高まっていった。一方で日本でもこれら中国の実態が知られるにつれ、外交上対立する事柄の多い中国への援助でなく、日本国内のために予算を使ってほしいとしてODA予算削減の声が高まっている。このように、国内外問わず、ODAの正しい評価がなされずにいることが多い。
- ODAによりインフラの整備を行っても、それをメンテナンスしていくための人材や設備が現地になく、やがて使い物にならなくなってしまう例が見られる。
- ^ “対中で重要性増すODA 減額圧力に外務省反論躍起”. 産経ニュース (2021年12月5日). 2021年12月5日閲覧。
- ^ a b OECD, "DAC Members' Net Official Development Assistance in 2009", 2011-08-06
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- ^ OECD, Aid statistics: Statistics on resource flows to developing countries.
- ^ 小川秀樹「世界のODAの趨勢と日本」『立法と調査』第266号、東京 : 参議院事務局、2007年4月、103-115頁、CRID 1520854805605397248、ISSN 09151338、NDLJP:1003863。
- ^ “日本のODA、世界4位 2018年は1兆5千億円”. 朝日新聞デジタル (2019年4月11日). 2022年11月21日閲覧。
- ^ “日本のODA、22年2.3兆円 円安で目減りしたが米独に次ぐ3位:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. 2023年4月14日閲覧。
- ^ 中華人民共和国国別データブック(国際協力機構公式サイト p54)
- ^ 李肇星外相「中国国民は自分の智恵、力と決意で、国を発展させて行くことができる。もちろん、友人からの助けに感謝しています」2004年東南アジア諸国連合会議でのインタビュー
武大偉外務次官「日本が供与してきた政府開発援助に感謝しています。」新華社2004年11月31日[要検証 ] - ^ 丹羽大使の対中ODA増額要求 経済・軍事大国への支援 国民理解は困難 (1/2ページ) - MSN産経ニュース Archived 2010年12月22日, at the Wayback Machine.
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- ^ “中国へのODA終了へ 40年で3兆円、近代化支える”. 朝日新聞. (2018年10月23日) 2018年10月23日閲覧。
- ^ “政府、対中ODAを終了へ 第三国支援で会議新設”. 日本経済新聞. (2018年10月23日) 2018年10月23日閲覧。
- ^ 対中国ODAに関する基礎資料
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- ^ ECD/DACにおけるODA実績
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- ^ 『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』, p. 60.
- ^ a b 荒木光弥 (2011年6月13日). “「恩義を返される国」が揺らいでいる 大震災で「好意のリアクション」が起きたわけ”. 日経ビジネス (日経BP) 2017年1月31日閲覧。
- ^ [1]
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- ^ a b c 高田正幸 (2022年3月31日). “対中ODAが今月末で終了 「日本の支援、中国で知られず」批判も”. 朝日新聞. オリジナルの2022年3月31日時点におけるアーカイブ。
- ^ 『派遣議員団としての所見』(PDF)参議院〈参議院政府開発援助(ODA)調査 : 派遣報告書〉、2004年11月、78頁 。2022年4月3日閲覧。
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- ^ 『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』, p. 71.
- ^ がんばれ日本!世界は日本と共にある
- ^ みずほ総合研究所アジア調査部長・平塚宏和「東日本大震災後の日本とアジアの関係-難局が生んだ連帯感を絶やすべきでない-」
- ^ a b 第3回国家戦略会議議事要旨
- ^ a b 日本再生の基本戦略~危機の克服とフロンティアへの挑戦~
- ^ 第1回国家戦略会議議事要旨 - 6頁
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