政府開発援助 日本のODAの変遷

政府開発援助

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 04:55 UTC 版)

日本のODAの変遷

戦後復興時代

日本は敗戦後の1946年から1951年の間に、アメリカの「占領地域救済政府資金」 (GARIOA) と「占領地域経済復興資金」 (EROA) から約18億6000万ドルのODAを受けた[18](1973年完済)。カナダメキシコチリブラジルアルゼンチンペルーなどからも生活物資や食料などが援助された。1953年には、世界銀行から多国間援助である有償資金を使用し、東海道新幹線東名高速道路黒部川第四発電所などを建設(1990年に完済)。こういった経験から現在の日本の政策が、ダム建設などのインフラ整備に重点を置いているとも言われる。

ODA拠出側へ

  • 日本からODAを拠出したのは、1954年ビルマと結んだ「日本・ビルマ平和条約及び賠償・経済協力協定」での賠償供与が初めてである。その後、フィリピンインドネシアと経済協力は続いていく。
  • 1960年代高度経済成長期に入ってから、徐々に現在のODAの体系に近づき、拠出額も増大していく。
  • 1961年アメリカ合衆国によって主導的に設立された開発援助委員会 (DAC) に、1963年参加する。
  • 1964年には経済協力開発機構 (OECD) に加盟。
  • 1966年にはアジア開発銀行を発足。
  • 1974年には国際協力事業団 (JICA) が設立される。
  • 1992年、ODA大綱が閣議決定される。
  • 2000年の国連ミレニアム・サミットが、極度の貧困・飢餓の撲滅を目指し、1日1米ドル未満で暮らす人々の数を2015年までに半減させることを約束した。
  • 2000年のODA拠出額は、約135億ドルで日本は世界第1位の拠出額であった。この頃は毎年1兆円あまりを様々な国に供与していた。
  • 2007年のODA拠出額は、約77億ドル(約7,800億円)であり、これは金額ベースにおいて、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスに続き、5位である。ただし、日本は国民総所得(GNI)の母体自体が大きいため、ODA拠出額がGNIに占める比率での国別比較では更に低い順位にある。

最近のODA実績の推移に関しては外務省OECD/DACにおけるODA実績[19]を参照。


  1. ^ 対中で重要性増すODA 減額圧力に外務省反論躍起”. 産経ニュース (2021年12月5日). 2021年12月5日閲覧。
  2. ^ a b OECD, "DAC Members' Net Official Development Assistance in 2009", 2011-08-06
  3. ^ 国際貢献のイリュージョン”. Virgil Hawkins, Global News View (GNV). 2019年5月29日閲覧。
  4. ^ OECD, Aid statistics: Statistics on resource flows to developing countries.
  5. ^ 小川秀樹「世界のODAの趨勢と日本」『立法と調査』第266号、東京 : 参議院事務局、2007年4月、103-115頁、CRID 1520854805605397248ISSN 09151338NDLJP:1003863 
  6. ^ 日本のODA、世界4位 2018年は1兆5千億円”. 朝日新聞デジタル (2019年4月11日). 2022年11月21日閲覧。
  7. ^ 日本のODA、22年2.3兆円 円安で目減りしたが米独に次ぐ3位:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. 2023年4月14日閲覧。
  8. ^ 中華人民共和国国別データブック(国際協力機構公式サイト p54)
  9. ^ 李肇星外相「中国国民は自分の智恵、力と決意で、国を発展させて行くことができる。もちろん、友人からの助けに感謝しています」2004年東南アジア諸国連合会議でのインタビュー
    武大偉外務次官「日本が供与してきた政府開発援助に感謝しています。」新華社2004年11月31日[要検証]
  10. ^ 丹羽大使の対中ODA増額要求 経済・軍事大国への支援 国民理解は困難 (1/2ページ) - MSN産経ニュース Archived 2010年12月22日, at the Wayback Machine.
  11. ^ http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101219/plc1012190129002-n1.htm Archived 2010年12月20日, at the Wayback Machine.
  12. ^ “中国へのODA終了へ 40年で3兆円、近代化支える”. 朝日新聞. (2018年10月23日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASLBR33GYLBRUTFK004.html 2018年10月23日閲覧。 
  13. ^ “政府、対中ODAを終了へ 第三国支援で会議新設”. 日本経済新聞. (2018年10月23日). https://r.nikkei.com/article/DGXMZO36797300T21C18A0MM0000 2018年10月23日閲覧。 
  14. ^ 対中国ODAに関する基礎資料
  15. ^ a b 2012年版 政府開発援助(ODA)白書 日本の国際協力 p.193
  16. ^ ODAの定義(英語版)、OECD。
  17. ^ 日本が比軍に自衛隊機を貸与へ、ロイター(2016年5月2日)
  18. ^ 滝田賢治「国際社会とアメリカの占領期対日経済援助― ガリオア・エロア援助を中心として―」『法学新報』第121巻9・10、法学新報編集委員会、2015年3月、315-348頁、CRID 1050001202715771904ISSN 0009-6296 
  19. ^ ECD/DACにおけるODA実績
  20. ^ 渡辺利夫、三浦有史『ODA(政府開発援助)』中公新書(2003)、36頁、108頁、151頁
  21. ^ 『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』, p. 60.
  22. ^ a b 荒木光弥 (2011年6月13日). “「恩義を返される国」が揺らいでいる 大震災で「好意のリアクション」が起きたわけ”. 日経ビジネス (日経BP). http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110609/220634/?P=1 2017年1月31日閲覧。 
  23. ^ [1]
  24. ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h19/10/1175721_814.html
  25. ^ a b c 高田正幸 (2022年3月31日). “対中ODAが今月末で終了 「日本の支援、中国で知られず」批判も”. 朝日新聞. オリジナルの2022年3月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220331075846/https://www.asahi.com/articles/ASQ3Y6X5YQ3YUHBI028.html 
  26. ^ 派遣議員団としての所見』(PDF)参議院〈参議院政府開発援助(ODA)調査 : 派遣報告書〉、2004年11月、78頁https://www.sangiin.go.jp/japanese/kokusai_kankei/oda_chousa/h16/pdf/2-4.pdf2022年4月3日閲覧 
  27. ^ 岩城成幸 2005, p. 5.
  28. ^ “海外主要メディアの日本関連報道(9月21日~9月27日)”. 外務省. (2012年9月27日). オリジナルの2012年11月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121102032758/http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/2012/0927.html 
  29. ^ 岩城成幸 2005, p. 3.
  30. ^ 『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』, p. 71.
  31. ^ がんばれ日本!世界は日本と共にある
  32. ^ みずほ総合研究所アジア調査部長・平塚宏和「東日本大震災後の日本とアジアの関係-難局が生んだ連帯感を絶やすべきでない-」
  33. ^ a b 第3回国家戦略会議議事要旨
  34. ^ a b 日本再生の基本戦略~危機の克服とフロンティアへの挑戦~
  35. ^ 第1回国家戦略会議議事要旨 - 6頁





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