奥田碩 社会的活動・発言など

奥田碩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/05 07:02 UTC 版)

社会的活動・発言など

全国犯罪被害者の会(あすの会)の支援活動

2000年に犯罪被害者の権利確立を目指す全国犯罪被害者の会代表幹事を務めていた岡村勲弁護士が文藝春秋に寄稿した「私は見た『犯罪被害者』の地獄絵」を読み感銘を受けた石原慎太郎東京都知事)、瀬戸内寂聴(作家)及び、奥田ら4人が代表発起人となり「犯罪被害者の会を支援するフォーラム」が設立された[28]

同フォーラムは全国犯罪被害者の会へ経済的支援を行い、2004年犯罪被害者等基本法の成立、2007年の刑事訴訟法改正による被害者参加制度創設、2008年の犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律改正、公訴時効廃止の実現などに尽力した[29][30]

中国への新幹線の技術移転を主張

2002年12月19日、北京市内の釣魚台迎賓館で開かれた日中国交正常化30周年記念シンポジウムで講演、北京と上海を結ぶ中国の高速鉄道計画に新幹線の車両や機器だけでなく「建設や運営管理を含めシステム全体の技術移転に協力する用意がある。新幹線方式導入は、建設素材、土木技術など幅広い分野に経済波及効果をもたらす」と主張した[31]

韓国とのFTAを主張

韓国とのFTA締結が日本経済復活の鍵になると提言し政財界に働きかけた。2004年当時、韓国のテレビドラマの日本でのヒットに目をつけ、韓流という形でテレビを始めとする多くの報道機関で取り上げることを支持した。経団連企業の多くが様々な広告に出資するスポンサーであるため、当時経団連会長の奥田の案は力を持った。2011年に至ってもFTAは締結されていない。

その他

  • 大学時代は柔道部に所属した。段位は六段。
  • 奥田が休日に愛車・アリストに乗る際、先行車との「車間距離をぐっと詰め、パッシングの連続で押しのける」などの行為を常習的に行っていることを過去に語っている。奥田は自社のテストコースで200キロ以上の速度を出す事もしばしばあり、当然右車線を走行していた事や高速道路で160キロ以上ものスピードで走っていた事も明かしており、「スピードは麻薬」「普段は黒塗りの役員車に乗っているが、トロトロ走る役員車に乗っているとイライラするし、ゆっくり走っている事が苦痛にさえ感じる」とも発言しており、運転手に言い掛かりを付ける事もしばしばある[32]
  • 政府が旭日大綬章を授与後、上述の危険運転行為記事が問題となり、識者からは『人間として致命的欠陥がある』『政府は馬鹿だ』『経団連も馬鹿だ』といった発言が聞かれた[要出典][33]
  • BSE問題の影響で、吉野家などで牛丼の販売が休止され、直前に客が「食べおさめ」の行列をつくったことについて、奥田は2002年2月12日東海地方経済懇談会後の記者会見で「テレビは一部の人の動きを面白おかしく報じていたようだが、(牛丼がなくても)死ぬわけでない。日本人は右から左へ早くふれやすい、単純な国民だと感じた」と発言。懇談会でも奥田は牛丼を教育上の問題点の例に挙げ、「日本人はどうしたのだろうか。やはり教育に力を入れなければならないと感じた」と述べた[34]
  • 皇室典範に関する有識者会議のメンバーを務めた。奥田自身は女性女系天皇容認派であるとされる。
  • ミサワホームの経営危機を巡る奥田の発言が、結果的にミサワホームを産業再生機構入りに追い込んだとして、ミサワホーム創業者(元会長)三澤千代治側が竹中平蔵経済財政担当相(当時)、斎藤淳産業再生機構社長と共に公務員職権乱用罪で告発する事件があった。
  • ライブドアの経団連入会を認めた際に、奥田は「企業倫理を学ぶのに役立ててほしい」と堀江貴文を評価していたが、1ヵ月後ライブドアに証券取引法違反が発覚すると「経団連として(ライブドア入会は)ミスった」と釈明した。
  • 『月刊 経済Trend』(現在の『月刊 経団連』)2005年1月号の巻頭対談向けに、内閣総理大臣官邸藤沢久美を司会に小泉純一郎首相(当時)と異例な形式の対談を行った[35]。小泉の「青森リンゴ農家のリンゴが中国で1個2000円以上で売れ、北海道長芋島根県台湾に輸出され、宮崎県が中国の住宅建築ブームで買われている。良いものは世界の市場で高くても売れる」という発言に、「小泉さんが改革に着手していなかったらと思うと、ぞっとします」と応じた[35]
  • 2006年3月8日の記者会見では残虐なゲームソフトの影響で一部の若者が社会に適応できなくなりニートと化している可能性を指摘。経団連としてチェック体制を確立すべく検討を開始したと述べた。
  • 後述する厚労省叩きでマスコミ報復について言及しており、そのスポンサーについて「パチンコ屋とかサウナとかうどん屋とか」等、地場の中小企業から見れば差別的とも思われる強硬的な発言を繰り返していたが、2010年1月に中部地方のアミューズメントグループZENTの監査役に就任するなど、理解に苦しむ一面も有する奇特な人物でもあった。[36]
  • 拝金的な資本主義経済よりも企業人は「武士道の精神」のような「心の規範」を持つべきと発言したが、必ずしも行動が一致しているわけでもない模様である(上記監査役就任参照)。[37]
  • 橋梁談合事件が起こった際には「談合は慣習、一気になくすのは難しい」「全国津々浦々に行きわたっている慣習のようなもので、地方では仕事を回し合っているワークシェアリング。本当にフェアな戦いをすれば、力の強いところが勝ち、弱いところは沈んでしまう」と発言[38]
  • 2006年11月19日の国際ロータリー第2760地区(愛知地区)大会の記念講演で「世界の現状と日本の針路」と題した部分の中で「均一性、画一性の社会は、規格品の大量生産には適していたが、今やそれは中国の強み」と指摘し、今後の日本は国民にも地方にも「多様性、独創性」(外国からの移民受け入れ)が必要だと訴えた。さらに、少子化について労働人口の急激な減少を懸念。女性や高齢者の雇用を掲げる厚生労働省の対策に「雇用のミスマッチが起きて対応できない」と批判して「外国人の力を借りるのは不可欠」との見方を示した。
  • 2009年3月10日政府の経済財政諮問会議にて中国人旅行者らへのビザの発給要件緩和を早急に実施するよう求めた[39]
  • 2009年3月から実施された高速道路の上限千円料金(いわゆる千円高速)を高く評価しており、それによってマイカーの利用が増え鉄道の利用者が大幅に減った際は笑みを浮かべ「マイカーの盗塁!!高速道路の盗塁!!ETCの盗塁!!」と叫びながら経団連会館内を走り回ったという。[要出典]更に「今後も続けるべき政策だ。財源は男性の健康保険の自己負担額を4割にすることで補えばよい。女性を強くして男性を弱くすることは男女共同参画にもなるしな。」と発言した[40]
  • 2010年8月10日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国のホテルで開いた第35回中東協力現地会議の閉幕にあたって「人間の国際化をしない限り日本の将来はおかしくなる。第二の大和民族を作ってもよいから、若い外国人に日本にもっと来てもらい、少子化を食い止めることに取り組むべきだ」と発言。移民推進を訴えた[41]

2005年衆議院選挙

奥田は2005年8月8日郵政解散当日に小泉首相と会談し、その後社として自民党を全面支援した。トヨタは従来、伝統的にトヨタ労組が労使一体となって民社党民主党民社協会に組織内候補を送り込んで支持してきたことなどから、自民党とは一定の距離を置いていたが、奥田は姿勢を転換しグループ企業を含めた役員クラスを自民候補の支援に動員した。日本ガイシ中部電力東芝など他社もこれに倣った[42]。トヨタ本社がある愛知県では自民党が躍進し、民社党以来の流れを汲む民主党の絶対優勢は崩れた(ただし、民主党議員の得票数に大きな変化はなかった)。


  1. ^ 奥田務「私の履歴書2」,日本経済新聞2015年12月2日
  2. ^ [1][2]
  3. ^ a b c 「非創業家トップ、海外に環境に猛進 「眠れる巨象」を叩き起こせるか」
  4. ^ 「「『小泉・竹中路線』の功罪は?」 ゲスト: 加藤紘一 氏 / 奥田碩 氏」 TBS時事放談2006年6月18日放送
  5. ^ [3]
  6. ^ a b 「「運は努力する者に来る」 国際協力銀行の奥田碩総裁」2013/4/2 21:37 ニュースソース 日本経済新聞
  7. ^ [4][5][6]
  8. ^ a b 「【時代のリーダー】奥田 碩・トヨタ自動車社長」
  9. ^ 石川敦夫「環境的観点から見たプリウスの開発」『立命館経営学開』2009年3月
  10. ^ 「トヨタ自動車 奥田 碩相談役―「鋭い勘」を支える緻密な分析力」
  11. ^ 奥田碩・内閣特別顧問の総理特使としての湾岸諸国訪問 外務省
  12. ^ 日本年金機構法第5条 厚生労働大臣は、設立委員を命じて、機構の設立に関する事務を処理させる。2 設立委員は、基本計画に基づき、機構の職員の労働条件及び機構の職員の採用の基準を定めなければならない。3 設立委員は、業務方法書、制裁規程その他厚生労働省令で定める規則を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。4 前項の規定によりした厚生労働大臣の認可は、厚生労働省令で定めるところにより、施行日において、第二十六条第一項、第三十二条第一項その他の厚生労働省令で定める規定によりした厚生労働大臣の認可とみなす。5 設立委員は、機構の設立の準備を完了したときは、その旨を厚生労働大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
  13. ^ 日本年金機構設立委員会(第1回)-議事次第-厚生労働省。
  14. ^ 読売新聞2009年5月19日
  15. ^ 読売新聞2009年1月9日
  16. ^ a b “奥田氏がトヨタ相談役退任 国際協力銀総裁就任で”. 共同通信社. 47NEWS. (2012年4月4日). https://web.archive.org/web/20130602150805/http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012040401001836.html 2013年3月21日閲覧。 
  17. ^ 奥田・元経団連会長 トヨタ "決別宣言"と"舞台裏" (2/3)”. ビジネスジャーナル. サイゾー (2012年5月15日). 2013年3月21日閲覧。
  18. ^ 日本郵政株式会社法第9条 会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
  19. ^ 朝日新聞
  20. ^ 役員一覧‐日本郵政
  21. ^ 毎日新聞2009年6月3日
  22. ^ 朝日新聞2009年6月5日
  23. ^ 朝日新聞2009年6月
  24. ^ 時事通信2012/04/04-14:31
  25. ^ フジサンケイ ビジネスアイ 4月3日
  26. ^ 「国際協力銀の奥田総裁が退任 「80で体力的にきつい」 後任には渡辺副総裁が昇格」MSN産経ニュース2013.12.26
  27. ^ 「役員・評議員」トヨタ財団
  28. ^ 祝辞全国犯罪被害者の会 NAVS【あすの会:シンポジウム】、全国犯罪被害者の会を支援するフォーラム代表/首都大学東京理事長高橋宏氏全国犯罪被害者の会 NAVS【あすの会:シンポジウム】
  29. ^ 松村恒夫「犯罪被害者の現状と必要な支援」 内閣府,2008年
  30. ^ 「犯罪被害者週間」国民のつどい」内閣府,2006年
  31. ^ 新幹線方式採用を要望 訪中の奥田経団連会長
  32. ^ 日経ビジネス1995年7月17日号「愛車のアクセル全開で憂さ晴らし」
  33. ^ 当時の日刊現代より。
  34. ^ 毎日新聞2004年2月12日号「奥田経団連会長:牛丼フィーバーにチクリ 『単純な国民だ』」
  35. ^ a b これからの日本を語る 月刊・経済Trend 2005年1月号。
  36. ^ ZENT HISTORY
  37. ^ 東北経営者大会での奥田会長基調講演(要旨)-「“こころ豊かな”人・企業・社会をめざして」(日本経団連タイムス No.2779 2005年11月17日
  38. ^ “談合「全国津々浦々の慣習」”. 朝日新聞朝刊: p. 9. (2005年7月12日) 
  39. ^ 羽田、成田の機能強化を提言=観光分野の成長戦略-諮問会議 時事通信
  40. ^ 奥田氏交通政策で女性専用車両と千円高速を評価
  41. ^ ■長谷川洋三の産業ウォッチ トヨタ相談役の危惧:人間の国際化しないと日本ダメになる(j-cast)
  42. ^ トヨタが自民支援全開/奥田会長、中部財界に大号令中日新聞、2005年9月5日
  43. ^ メディアから広告引き上げ トヨタ奥田氏「報復宣言」の効果J-CASTニュース2008年11月13日
  44. ^ 一般財団法人日本自動車研究所創立50周年記念誌 協創一般財団法人日本自動車研究所
  45. ^ a b c d e f 「歴代の会長・副会長・社長(含 受章歴)」トヨタ自動車


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