レシプロエンジン レシプロエンジンの仕組み

レシプロエンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/02 19:18 UTC 版)

レシプロエンジンの仕組み

シリンダー内の動作流体(水蒸気や燃焼ガスなど)の加熱方法により外燃機関のレシプロエンジンと、内燃機関のレシプロエンジンの二つに大きく分類される。それぞれの仕組みの概略は以下のようになる。

外燃機関のレシプロエンジン

外燃機関のレシプロエンジンには蒸気機関スターリングエンジンがある(詳細はそれぞれの項目を参照)。

蒸気機関では高温の蒸気を駆動に使う。初期はトーマス・ニューコメンが作った大気圧の負圧を利用する方法がある。当時から高い蒸気圧を利用することは考えられていたが、まだ工作技術が十分でなかった頃はそれに耐えうるボイラーを作ることができなかったため負圧を利用していた。

ニューコメンの蒸気機関は効率が悪かったため、それをジェームズ・ワット復水器を組み合わせて使うことで効率を上げ、産業革命の原動力となり、石炭を当時の主要なエネルギー源にした。

ワットが老いた頃は工作技術も上がり、高い圧力に耐えられるボイラーやシリンダーが作られる。するとその効率の良さから、負圧を使った蒸気機関ではなく、そちらを用いて蒸気自動車蒸気機関車が広まった。

また、蒸気圧を高めて使う蒸気機関が現れて間もない頃は、シリンダーが蒸気圧に耐えられず爆発する事故が相次いだ。これを見たスコットランドの牧師ロバート・スターリングはより安全な熱機関を作ろうと、外燃レシプロ機関のスターリングエンジンを考案した。高出力には向かないが、理論上は非常に高い熱効率を持つ。ただし一般動力機関としては扱いにくい面もあってほとんど普及しておらず、むしろ空調等を目的に熱を移動させるヒートポンプシステムの分野でその原理が広く応用されている。

内燃機関のレシプロエンジン

内燃機関の例
(DOHC4ストロークエンジン)
  (1)吸入
  (2)圧縮
  (3)燃焼・膨張
  (4)排気

動作の仕組みはおよそ以下のようになり、これを繰り返す、すなわちピストンが往復動することで、エンジンは連続的に回転動力を出力する。

外部からは、ガソリンプロパンガス軽油アルコール等の燃料と、それに対し適当な量の空気とをエンジン内部へ供給する。液体の燃料は、気化しやすいように微粒化(霧化)しながら使用される。まず、シリンダー内に吸入した空気を、ピストンにより圧縮する。その圧縮空気中で燃料に何らかの方法で着火し、シリンダー内で急速に(時には爆発的に)燃焼させる。充分な強度を持つシリンダー内で、高温高圧の燃焼ガス膨張してピストンを押し出す力となる。この力を受けたピストンの直線的な運動を、コネクティングロッド(コンロッド)とクランクシャフトとにより回転運動に変える。燃焼ガスは充分に膨張したのち、外部に排気される。

内燃機関のレシプロエンジンは様々に分類されるが、主な分類法を列記すると以下のようなものがある。

点火・着火方法による分類

作動方式(行程数)による分類

気筒配置・気筒数による分類

一般に気筒の配置と数とを組み合わせて呼称される。例えば直列配置の4気筒は「直列4気筒」、星型配置の14気筒であれば「星型14気筒」などと呼ばれる。
直列 V型 (狭角V倒立V) 水平対向 星型 W型 X型 U型 H型 その他
単気筒
2気筒 直列 V型 水平対向 タンデム2 2気筒斜板機関
3気筒 直列 V型 W型
4気筒 直列 V型、狭角V型 水平対向 スクエア4 H型
5気筒 直列 V型、狭角V型 星型
6気筒 直列対向ピストン V型狭角V型 水平対向 U型
7気筒 星型
8気筒 直列 V型 水平対向 WR型 X型 U型 H型
9気筒 直列 星型 対向ピストンデルティック
10気筒 直列 V型 水平対向
12気筒 直列 V型、倒立V型 水平対向 W型、WR型 U型
14気筒 直列 二重星型
16気筒 V型 水平対向 WR型 X型 U型 H型
18気筒 V型 二重星型 W型 対向ピストンデルティック
20気筒 V型
24気筒 V型 X型 U型 H型
28気筒 四重星型

バルブやカムの種類・配置による分類


注釈

  1. ^ 日本語訳でフリーピストン機関とされている事が多いが、英語のFree-piston engine(ドイツ語ではFreikolbenmaschine)とは別物なので注意が必要。

出典

  1. ^ 『学習漫画早わかり航空会社のしくみ』128頁。


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