マイクロフォン 概要

マイクロフォン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/06 07:58 UTC 版)

概要

音(空気振動)をダイヤフラム等で受け止め、これを電気信号に変換する音響機器である。電気音響変換器の一種。

箱型に多い、ダイヤフラムが筐体内に垂直に立った状態で音を受けるタイプを「サイドアドレス」、円筒の中にダイヤフラムが固定され、概して円筒の軸方向に指向性を持つタイプを「エンドアドレス」と呼ぶ。エンドアドレスマイクは特に「ペンシルマイク」と呼ばれることもある。円筒形でありながらサイドアドレスタイプというマイクもAKG/TelefunkenのC12などが存在する。

ダイヤフラムの大きさによって、周波数特性・過渡特性や高域での指向特性が異なる[注 2]。サンケンのCU-41のように口径の異なる複数のダイヤフラムを持ったマイクもある。

原理による分類

ムービング・コイル型

ダイナミックマイク(動電型マイク)の一種で、永久磁石と可動コイルを組み合わせたマイク。可動線輪型。

構造と動作原理

電磁誘導コイルを永久磁石のそばで振動させ、コイル内の磁束を変化させるとコイルに起電力が発生する)を利用したマイク。 コイルはプラスチックフィルムをドーム状に成形した振動板(ダイヤフラム)に固定されていて、そのダイヤフラムが音波を受けて振動し、磁界内でコイルが動くことにより音声信号を得る。

特徴と応用

機構が単純で電池や電源も不要、丈夫で湿度にも強く、また大音量でも歪みにくい。しかし、コイルを含み振動系の質量が大きいため、高音域には応答しにくく、また歌手が手に持って歌うときに、マイクを握る時に発生する摩擦音や掌の筋肉が発する音などの機械的振動を拾いやすい。この欠点に対処するためにエレメントを防振材で支持するのが一般的であるが、機構的に振動を打ち消す工夫をしたものもある。一般的にはコンデンサマイクよりも特性は劣るが、使いやすく丈夫な点、特有の音質などを買われて、舞台などPAを必要とする場面や、マイクが多少乱暴に扱われるような場面で、ボーカル、ドラム、ギターアンプ等の集音に用いられる。

なお、ダイナミックスピーカーとは構造が同じである。この構造のマイクやスピーカーには入出力の可逆性があり、音声信号を加えればスピーカーとして動作し、音声を加えれば振動により電気が発生しダイナミックマイクとして動作する。ただし、設計とは逆に使うと周波数特性や能率が悪くなる。また、マイクに音声信号を加えると強い電流により恒久的な不具合を起こすため通常はスピーカーとしては利用されない。一方、一部のインターホントランシーバー等では、部品数を減らすために、ダイナミックスピーカーをマイクとして兼用している。

ヤマハの「SUBKICK」など、ダイナミックスピーカーをバスドラム用の収音マイクとして使っている応用例もある。

リボン型

上記ムービング・コイル型と並ぶ、ダイナミックマイクの一種。永久磁石と可動金属リボンを組み合わせたマイク。

構造と動作原理

ムービング・コイル型では磁界中にコイルを配置するが、リボン型では薄い金属膜(主としてアルミ箔、新しいものでは耐久性の高いカーボンナノチューブ[注 3]によるものもある)を細長くカットし、細かい折り目をつけたリボン状の導体を、磁極の間の細長いスリットに配置する。音声によって導体であるリボン振動体が磁界中で振動することによって、リボンの両端に起電力が生じ、音声信号が得られる。

特徴と応用

リボンが折り目を付けてゆるく張られているため、人の息など「吹かれ」と呼ばれるノイズや振動に弱い反面、振動系が軽くて動きやすいため、低音域から高音域の音に良く反応し、広い周波数帯域を持つ。音質が柔らかいことから、音声和楽器弦楽器などの集音に好んで使われる。

速度型マイク

リボンの両面が空間に開放されているタイプは、リボン面に垂直な両側の方向からの音に対して高い感度を示し、面に平行な方向からの音に対しては感度が著しく低い、いわゆる両指向性を示す。リボン振動体はその両側の音圧差により振動し、リボンの振動速度及び出力電圧は空気の粒子速度に比例する。空気の振動速度に比例する電圧が生ずることから、速度型マイクに分類される。ヴェロシティマイク(ベロシティマイク)と呼ばれる所以である(指向性の実現法参照)。

非常にデリケートな構造を持ち、扱いに注意が必要なことや、形が大きく重いこと、出力インピーダンスが低く音声から電流への変換効率も低いことから近年[いつ?]はほとんど生産されていなかったが、ここ数年[いつ?]はその良さ(繊細な音)が見直され、高価な製品から安価な製品まで比較的多種の製品が製造されるようになっている。

コンデンサ型

コンデンサの原理を応用したもの。

構造と動作原理

互いに平行な2枚の金属板を近接させるとコンデンサになる。その一方をダイヤフラム(蒸着などにより金属を貼り付けたプラスチックフィルム、または金属薄膜)に置き換えると、振動に応じて電極間の距離が変わるため、音声信号に比例した静電容量の変化が発生する。高抵抗を介して電極間に直流電圧をかけると、静電容量の変化をそれに比例した電圧の変化として取り出すことができる(コンデンサマイクロホンカプセル)。

カプセル自体の出力インピーダンスが高いため、コンデンサマイクの電気的な出力を効率的に取り出すためには、インピーダンスを変換するための前置増幅器(プリアンプ)が必要である。インピーダンス変換素子としては真空管電界効果トランジスタ(FET)などの極めて高い入力インピーダンスをもったものが用いられ、これは一般にカプセルの近傍に置かれる。

ダイヤフラムと対向する金属板(背極、バックプレート)との間の距離は、一般的に数十μmで、電気容量は数10pF程度である。金属板には全面に渡って小さな穴を開けて空気の流通を妨げないようにし、ダイヤフラムが振動しやすくなっている。ダイヤフラムは加わる電圧によって金属板に吸着しないように、一定の張力をかけて保持されている。そのため、コンデンサマイクロホンの振動系は高域に共振周波数を持つ。中には共振周波数が可聴帯域にあるものもあり、マイクの個性の一つとされている[注 4]

以上の「DCバイアス」方式でダイヤフラムに作用させていた直流電圧をMHz帯の低電圧高周波に置き換えたものが「HF(High Frequency)バイアス」、「RFバイアス(Radio Frequency)バイアス」と呼ばれる方式である[注 5]。振幅や周波数の変調を可聴周波数の音声に変換するので雑音を抑えつつ周波数帯域の上限を伸ばすことができる、DCバイアスでは絶縁を保てない多湿な環境や雨天でも性能が落ちないなど有利な点が多い。

特徴と応用

ダイヤフラムは一般に数μmの厚みしかなく、非常に軽いので、応答が非常に速くクリアな音質に特徴がある。また、ダイヤフラムの振動を制御しやすい構造のために、比較的簡単に平坦な周波数特性が得られる。一方で増幅回路を含むため、大音量で歪むことがある、温度や湿度の影響で雑音が発生しやすいなどのデリケートな部分もあるが、技術的に改良を加えてより過酷な条件での使用に耐える製品もある。大音量時の歪に対しては、マイク内部で信号を減衰させるスイッチ(Pad)をもったものもある。また指向性を変えられるものもある。

主な用途は音響測定や録音、あるいは各種機器へ組み込むなど小型化が求められる場合等である。音楽を高品位で収録する場合に使用されることが多い。スタジオなどではボーカル、弦楽器、金管楽器にしばしば利用される。逆に野外や舞台などPAでの使用では制限を受ける。

エレクトレットコンデンサマイク

コンデンサマイクには、前述のようなダイヤフラムに外部から直流電圧をかける方式のほかに、ダイヤフラム、背極またはバックチャンバにエレクトレット素子(半永久的に電荷を蓄える高分子化合物)を用いたエレクトレット方式がある。背極にエレクトレット素子をもつものは、ダイヤフラムの材質に制限がないので特性的に有利である(バックエレクトレット方式)。この方式を用いたスタジオ用マイクロホンも多数存在する。

また、汎用電子部品として、FETを用いたインピーダンス変換器を内蔵したエレクトレットコンデンサ(ECM)マイクモジュールが販売されており、各種製品に広く用いられるだけでなく、自作も比較的容易にしている。この種のモジュールは外部から抵抗を介して直流電圧を印加するだけで、容易に音声信号を得ることができる。安価なヘッドセット、マイクなどはほとんどがこのタイプである。

2010年代以後、振動板と変換/増幅回路をワンチップ化したシリコンマイク(MEMS[注 6]マイク)が登場。指向性を持たないが幅広い帯域に感応する上に耐久性が高く消費電力が少ないといった利便性からスマートフォンや各種デジタル機器に実装され、膨大な量が使われ性能向上が続いた結果、ECMマイクはほぼ駆逐されることになった。

電源供給法

トランスを用いたファンタム電源供給法の例。ミキサのマイク入力トランスの中点とGNDの間に直流を印加する

エレクトレット方式の場合は、高い直流電圧の供給が不要となるが、いずれにせよ増幅器を内蔵しているため、コンデンサマイクは一般に直流電源を必要とする。電源供給は、本体に乾電池を入れるものや、本体には電源回路を持たずに外部の専用電源を利用するもの、ミキサーやマイクプリアンプ等からマイクケーブルを通して供給する方式(Phantom(ファンタム)電源方式)がある。ファンタム電源は多くの場合48V、消費電流は最高14mA[注 7]で、規定の抵抗値を持ったブリーダ抵抗を介して平衡接続端子のHOT及びCOLDと、GNDの間に印加される。

直流電圧成分はマイクプリアンプの入力部分にあるトランスでカットされる。応答と周波数特性を重視し1980年代から登場して来るトランスを内蔵しない(Transformerless)プリアンプでは、大容量コンデンサーで直流成分を除去する[注 8]

回路の破損原因になるためダイナミックマイクにファンタム電源を掛けることは厳禁である。しかし21世紀に入るとファンタム電源で駆動する小型の増幅器を搭載して低出力やインピーダンスの問題を解消した「アクティヴ・リボンマイク」、ファンタム電源を掛けた信号経路に挿入し20dB以上の増幅を行う「インライン・プリアンプ」がそれぞれ複数機種登場し、コンデンサーマイク以外の方式でもファンタム電源を要求する場合が出て来ている。

ダイナミックマイク側の回路でファンタム電源が印加されても問題無い場合もある。例えばHOTとCOLDが同位になるように電圧を印加する、コンデンサを直列に入れるなどしてムービングコイルに電圧が印加されないようにしている。

増幅器に真空管を用いたモデルは概ね外部電源に拠っており、付属の専用電源ユニットによって内蔵増幅器や真空管のヒーター電力、成極電圧に信号と別回路で高い電圧が供給される。DPA(旧B&K)の製品でも通常3極のキャノン端子に4極を用いて130V、7極を用いて190Vの成極電圧を、音声と別回路で供給する製品があった[注 9]

民生用途、例えばパソコンに接続するマイクや民生向けポータブル録音機器、家庭用ビデオカメラ、アマチュア無線用などでは「プラグインパワー」や“接続ケーブル供給”方式が用いられている。数Vから十数Vであり、接続も不平衡である。

商用電源からの整流、バッテリーからの昇圧のいずれによっても、ファンタム電源生成の回路自体が微弱な音声信号を汚すノイズ源になりやすく、インピーダンス整合やノイズ対策が欠かせない。

カーボンマイク

炭素粉の接触抵抗の変化を利用したマイク。

構造と動作原理

板状の2枚の電極の間に炭素の粉を入れた構造になっている。一方を固定電極、もう一方を可動電極にして、電極間に直流電流を流しておくと、音声(空気振動)により可動電極が振動し、電極と炭素の粉との接触抵抗が変化するため、両端に音声に比例した電圧の変化、すなわち音声信号が得られる。コーン型のダイヤフラムの中央部に可動電極を設けて、音声から電気信号への変換効率を高めたものもある。 頑丈であり、感度は非常に高いが、炭素粉の接触圧-抵抗変化を利用しているために音が歪みやすい。

特徴と応用

用途は広く、ダイナミックマイクが発明され普及するまで、レコードの録音や、アナウンサーや音楽の集音用として放送局でも使われていた。ダイナミックマイクが普及しても、有線・無線での会話の伝達用としては十分な音質であり、増幅することなく使用できることもあり、黒電話(600型電話機)や公衆電話無線機の送話器に広く使われていた。

圧電マイク

圧電効果を利用したマイク。

構造と動作原理

強誘電体などでできた圧電素子を電極で挟み、圧力をかけると圧電効果で電力が得られる。これを利用し、音声(空気振動)により電極を振動させ、電極から音声信号を得る。感度は非常に高いが出力電力は小さい。

特徴と応用

古くからロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)が利用され、クリスタルマイクとも呼ばれた。原理的に全く同じ構造でスピーカやイヤホンも作れるが、それらと共用の圧電素子を利用したものでは近年は結晶ではなくセラミックを利用したものが多くセラミックマイクとも呼ばれる。ラペル形マイクは現在でもクリスタル使用している。高分子化合物を材料にした圧電素子もある。どれも圧電型マイクの特性として3~5kHzをピークとする周波数特性を描く。[1]この特性は無線機などのスピーチ用として明瞭度をあげる効果があり、主として帯域が限られている状況での通話時に好ましいとされる。

特有の周波数特性を生かし無線通信、コンクリートマイク等に使われている。

レーザーマイク

レーザー光によって空気の振動を捕らえる。

構造と動作原理

レーザー光を使用して音声振動によるの揺らぎを受光素子で検出して復調する。ドップラー効果による物や、干渉計による物など複数の形式が存在する。

特徴と応用

従来型のマイクの使用が困難な環境下、状況下での使用が想定される。振動板はシステムに組み込まれている物、観察や盗聴では対象物や現場の窓などを利用するものまである。

このほか、振動板を用いずプラズマを発生させ発振させた空気に音波を当て、変調音波を取り出す「イオンマイク」或いは「プラズママイク」を2008年からオーディオテクニカが研究中である。周波数によりノイズの特性が偏っているものの、可聴周波数帯域ではフラットな特性を得ている。同社は富山大学とともに、RFコンデンサーマイクの発振バイアスを直接ΔΣ変換しデジタル音声を抽出する、1bitデジタルマイクのハイレゾ化技術も研究している。[2]

指向性による分類

指向性の種類

この図はある周波数の音において、マイク正面でどのような感度を有するかを示すもので、ポーラ・パターンまたはピックアップパターンと呼ばれる。

全指向性(無指向性)
360度全ての方向に対して感度が同等にあるものをいうが、可聴周波数全てに全指向性を得たものは無い。測定用マイクなどに使われる。オムニディレクション。
両指向性(双指向性)
正面とその反対側に対して感度がよいものをいう。両側で位相が逆になる。マイクを挟んで向かい合った2人の声の録音などに使われる。バイディレクション。
単一指向性
指向特性を図に表すと逆さのハート型を描くことから、心臓を意味するカーディオイドとも呼ばれる。正面に対して感度がよいものをいう。特定の方向以外の音を拾いにくいためハウリングやかぶりに強い。そのため舞台でのスピーチや楽器の拡声などに多く使われる。ユニディレクション。
サブカーディオイド(ワイドカーディオイド)
単一指向性と全指向性の中間的なもので、側面の感度も確保した単一指向性といえる。
狭指向性、鋭指向性、超指向性など
単一指向性より指向特性を鋭くしたものがあり、別の呼び名ではスーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイド、ウルトラカーディオイドの順に鋭くなる。ゼンハイザーやシュアーなどではスーパーカーディオイド特性をもたせたショット・ガンをローバーと分類されることもある。

全指向性マイクは「吹かれ」に強く、近接効果が少ないのでENG等のインタビューマイクとして広く使われる。SHURE社のSM63、サンケン社のMS-5Cなどが有名である。音楽収音には全指向性マイクないし各種指向性マイクが用いられ、音響技術者や演奏者の意図、現場の音響状態、楽器の種類などさまざまな点から選択される。AKGのC414、DPAマイクロフォンの4006、ノイマン[要曖昧さ回避]のU87、シュアSM57ソニーのC38等数多くの有名機種がある。野外集音やビデオカメラ用マイクには鋭指向性のガンマイクが使われることが多く、ゼンハイザーのMKH416が夙に有名である。

指向性の実現法

正面を0とした音源の角度をθラジアン、感度をrとすると、

  • 全指向性(無指向性)は r = 1
  • 両指向性(双指向性、8の字指向性)は r = cos θ
  • カーディオイド特性は r = (1 + cos θ )/2

と表される。ここから判る通り、カーディオイド特性は、全指向性と両指向性の二つの特性を加算したものである。

全指向性を実現するには、カプセルがある位置での音圧を検出すればよく、両指向性を実現するには、ダイヤフラム前後の圧力勾配ないしは媒体の速度を検出すればよい。カーディオイド特性を実現するためには、両者を兼ね備えればよく、カプセル後方に音響抵抗をもった通路を設け、ある程度ダイヤフラム後方の音圧もダイヤフラムに影響を与えるようにする。コンデンサマイクでは、背極の両面にダイヤフラムを用意し、両者の出力を電気的に合成する手法もとられる。

ハイパーカーディオイド等は、カーディオイド特性より両指向性成分を増やしたもので、側面からの音を拾いづらく、背面からの音は逆相になるので、ステージでのPAに有効である。


ガンマイク(もしくはショットガンマイク)は全指向性と両指向性の加算ではなく、音響管による干渉を利用して非常に鋭い指向性を実現している。正面からの音はそのままマイクエレメントに到達するが、側面からの音は、音響管側面に配されたスリットと減速材を通る音と、正面から回り込んで音響管を通る音に分かれ、双方の音が干渉し、エレメントに届かない。これを音響管方式または位相管方式などと呼ぶ。ほかに、音響管にふたつのマイクエレメントを組み込み、正面からの音はそのまま正面用マイクエレメントに到達する。音響管側面からの音は別のエレメントに到達し、正面用とは逆相の信号を出力する。同時に正面に回り込んだ音が正面用エレメントに到達し、順相の信号を出力する。これを合成すると信号がほぼ無くなる。これを二次音圧傾度型と呼ぶ。音響管方式は側面からの音を減速させるために高精度な加工が要求され、なるべく長い音響管が求められるが、二次音圧傾度型よりも鋭い指向性が得られる。二次音圧傾度型は高度な加工が必要とされず、短い音響管でも鋭い指向性が得られるため、低コストである。

アレイ・マイクロホンの指向性の原理
アレイ・マイクロホンの指向性の原理 遅延器を使うと指向性の方向を変えられる。

また、放物面の焦点に全指向性マイクを置くと、遠くの音源に対する鋭い指向性と高い感度が得られる(集音器)。アレイ・マイクロホンは多数のマイクを並べてその出力を電気的に足し合わせて指向性を得るものがある。単純に足し合わせても高い指向性が得られるが、それぞれの信号を演算によって遅延器を通した効果を与えると、指向性の方向を変えられる。パッシブ・アレイ・レーダーの原理と同じである。また、それぞれのマイクの信号をいったんコンピューターに記録して、計算によって音源の方向(や距離)を割り出すことが騒音探査で応用されている。


注釈

  1. ^ 「マイクロフォン」の方が英語に近いが、『学術用語集 電気工学編』では「マイクロホン」が正式表記になっている。
  2. ^ 概して口径が小さくなるほど高域の周波数特性が伸び、等価雑音レベルは増加する。コンデンサーマイクでは成極電圧を高くする事で感度を上げ相対的にノイズを低減させる事が可能で、ファントム電源48Vを昇圧する機能を持つCO-100KやC617(Josephson Engineering)といった小口径ダイヤフラムマイクも存在する。
  3. ^ 2008年にSHUREが買収したCROWLEY AND TRIPP社が実用化。KSM313、353として販売継続されている。
  4. ^ 特殊な例として、非対称・非円形ダイヤフラムを用い共振を抑制したFlamingo Magic Ear(Violet Design)、非平面ダイヤフラムにより20~50kHzの超音波域に共振周波数を設け、100kHzまでの収音を可能にしたCO-100K(NHK技研サンケンの共同開発)といった製品がある
  5. ^ SENNHEISERのMKHシリーズが著名だが商品化は1950年(昭和25年)STAXが既に行っている。同社製品にはやはり「高周波バイアス方式」を応用したレコード針も存在した。参照ページ[1]
  6. ^ Micro Electronics Mechanical Systemsの略、デジタル出力を持つ製品もある。
  7. ^ ポータブルレコーダーではファンタム電源に充分な電流を供給出来ないものがあり、消費電流の大きいマイクロフォンを使用した場合瞬間的な大音量が再現出来ない、歪みが増加するなど影響がある。
  8. ^ 数Hzの超低音も一緒に減衰されるが、ローカットのフィルターが常用される人声収録用途では影響は殆ど無い。ただしダイナミックマイクやリボンマイクでは数Hzのローカットさえ不利とする見方もあり、GRACE DESIGN製プリアンプでは通常のトランス非搭載回路に加えコンデンサーを使わないシグナルパスも設けている。
  9. ^ DPA4041T2およびS。専用パワーサプライ/プリアンプのHMA5000仕様書(ただし原語版)による。2013年現在製造終了。
  10. ^ サンケンのWMS-5
  11. ^ SENNHEISERのAMBEO VR Mic
  12. ^ コンデンサータイプのマイクと3ピンXLRケーブル1本で通信し、サンプリング周波数384kHzまでのデジタル信号に加えクロック、10Vのファントム電源にコントロール信号まで供給するAES42規格が策定されており、専用デジタルインターフェースと組み合わせる方法でSCHOEPS、NEUMANN、SENNHEISERが製品化。直接入力に96kHzサンプリングまで対応したポータブルレコーダーがAETA、SoundDevicesから発表されており、複数の出力を束ねてマルチチャンネルのデジタル音声を送出するインターフェース単体もNEUMANN、RME製品がある。以上のΔΣ変調に対応しないマイクとは別に、携帯電話や小型ビデオカメラ用の電子部品として小型マイクユニットをシリコンチップに埋め込みアンプとΔΣコンバーターを組み合わせた「デジタルシリコンマイク(3.25MHzPDM)」も流通している。
  13. ^ 1 Pa=94 dBSPL.

出典

  1. ^ mouser社カタログ特性例 (PDF)
  2. ^ https://www.audio-technica.co.jp/microphone/navi/ionic/index.htmlおよび http://tokkyoj.com/data/tk2009-218860.shtml
  3. ^ a b c d [2]
  4. ^ Q&A 01:ワイヤレスマイクとラジオマイクの違いは?(特定ラジオマイク運用調整機構






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