カレー粉 材料

カレー粉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 16:39 UTC 版)

材料

上記の複数のスパイスを焙煎し、粉末にし、混合し、熟成する。メーカーによってブレンドは異なる。

カレー粉はあくまでもミックススパイスにすぎず、塩分やダシ(魚介や動物の肉に由来するうまみ)は入っていない。そのため、調理の際は塩分とダシ成分を加える必要がある(市販のカレールー製品には、すでに塩分とダシ成分が加えられている)。

保存

湿気や酸素によって香味成分が失われてゆくので、なるべく早く使い切るのが原則であるが、保存する場合は、乾燥・低温の冷蔵庫で、他の食品に香りが移りにくいガラス瓶などを用いる。なおポリ袋は酸素、湿気を遮断出来ず保存用途には適さない。室内に置いておくとダニジンサンシバンムシなどの食品害虫による食害を受ける場合がある。

各地のカレー粉

インド
インドの食品メーカーが、インド人の口にあうカレー粉を製造し、国内外で販売している[14]。カレー粉の消費量は世界第1位(世界第2位は日本)という。カレー粉の原型になったのはインドの「マサラ」であるともされるが、マサラはそれぞれの料理人・家庭の主婦が、好みや、店・家の伝統、料理する素材の相性において、それぞれ独自の配合で混合するものである。したがって既に調合されたスパイスミックスであるカレー粉は、マサラとは別物とみなされる。一方でカレー粉の影響で、元来のインドのマサラにおいても、既に調合されたものが市販されるようになった。これらはあくまでも簡易的な調味料と認識されており、伝統的なインド料理においては利用されない。
タイ
タイ料理ゲーンは海外で「タイカレー」と呼ばれる事が多い料理であるが、インドのいわゆるカレー(カリ)とは関係のない料理であり、唐辛子レモングラスショウガ科の植物などを混合した「ゲーンペースト」と呼ばれる混合調味料を使用する。ただし、現在では、カレー粉を味付けに用いたゲーン(ゲーン・ガリー)のレシピも存在する。
フランス
19世紀の薬剤師ゴスが「カリ・ゴス」(kari gosse)と名づけた混合調味料を開発、フランス各地のレストランに提供していた歴史がある。全盛期の1930年代にはベルギーモロッコにも輸出されたが、第二次世界大戦中に工場のあるブルターニュは焦土と化し、今はごく小規模な工場から各レストランに送られるのみとなっている[15]
ドイツ
ソーセージを使った軽食「カリーヴルスト」にカレー粉が使われている。
香港
イギリスの植民地であった香港では、カレー粉(広東語で「架喱粉(ガーレイファン)」)を使った、「架喱飯」(カレーライス)、「架喱魚蛋」(つみれのカレー煮)、「架喱牛腩麺」(牛肉カレー麺)、「星洲炒米粉」(カレー焼きビーフン)などが茶餐庁とよばれる軽食堂や屋台などで食べられる。イギリスや日本からの輸入品も売られているが、冠益華記食品廠やスパイス専門店オリジナルのものなど、香港で調合したカレー粉も根強い人気を保っている。また、香港では植物油とカレー粉を配合した「油架喱」というペースト調味料も作られており、ガラス瓶で売られている。香港のカレー粉は近隣のマカオなどでも購入できる。

出典


  1. ^ エスビー食品によるカレー粉、パウダールーの違いの説明。[1]
  2. ^ Controversy surrounds the true origins of Indian curry - Telegraph
  3. ^ 森枝卓士『カレーライスと日本人』(講談社新書) 講談社、1989年7月 ISBN 4061489372[要ページ番号]
  4. ^ 元祖カレーメーカーの歩み”. これまでの歴史. ハチ食品. 2010年12月3日閲覧。
  5. ^ a b ニッポン・ロングセラー考 Vol.90 赤缶カレー粉”. COMZINE. NTTコムウェア (2010年10月24日). 2010年12月3日閲覧。
  6. ^ カレーの日本史 大正・昭和初期”. カレーを知る. ハウス食品. pp. 世界に広がるカレー. 2010年12月6日閲覧。
  7. ^ a b ナベコ (2018年3月26日). “なぜ? S&B以外にも「日本初のカレー粉」がある件”. 週刊アスキー. 2022年3月2日閲覧。
  8. ^ 広山均『フレーバー : おいしさを演出する香りの秘密』フレグランスジャーナル社、2005年、9頁。ISBN 978-4894790865 
  9. ^ 神林桂一『神林先生の浅草案内(未完)』プレジデント社、2021年、70頁。ISBN 978-4833451888  書籍には『カレーライスの誕生』(小菅桂子講談社学術文庫)などを参考と記されている。
  10. ^ 日本初の国産カレー粉を開発した 大和屋二代目 今村 弥兵衛伝承 「蜂カレー」シリーズ発売』(プレスリリース)ハチ食品、2016年3月28日https://www.hachi-shokuhin.co.jp/160328_hachicurry/2022年3月2日閲覧 
  11. ^ カレー粉”. エスビー食品 (2016年3月28日). 2022年3月2日閲覧。
  12. ^ 福井晋『図解入門業界研究最新食品業界の動向とカラクリがよーくわかる本』秀和システム、2009年、96頁。ISBN 9784798022062 
  13. ^ 産経新聞文化部『食に歴史あり 洋食・和食事始め』産経新聞出版、2008年、35頁。ISBN 9784863060517 
  14. ^ Curry Powder Manufacturers in India, Curry Powder Suppliers, Indian Curry Powder Exporters
  15. ^ ブルターニュとカレー辻調グループ・とっておきのヨーロッパだより


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