アルコール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/16 01:00 UTC 版)
利用法
科学や産業の領域で、アルコール類は試薬、化合物の合成原料、洗浄剤、工業用溶剤、有機溶媒、燃料、消毒液などとして広く使用されている。最先端技術の領域では、ガソリン、あるいは有害な排気ガスを発生させる炭化水素の代換品として、よりクリーンに燃焼するエタノールやメタノールを使用する技術が確立された。
またアルコール類の中でもエタノールは、生体にとって毒性が比較的低く、飲用まで可能なことと、水と比べて非極性物質を溶解させやすい性質を持っていることにより、医薬品、香水、バニラのような植物エッセンスの溶媒としてしばしば使用される。酒類の製造工程でもエタノールが醸造されている。
製造
多くのアルコールが、酵母を使って果実や穀物を発酵させて得ることができる。これらのうち、飲用も可能なエタノールだけが発酵法で商業的に生産され、燃料や飲料の用途向けに用いられている。また、燃料用であれば例えばエチレンを原料に工業的に生産する場合もある。
他のアルコールは、天然ガス、石油あるいは石炭の副産物から工業的に生産されている。直鎖で炭素が偶数個の高級アルコールは、油脂を加水分解して得られる脂肪酸を還元することで製造される。最も単純なアルコールであるメタノールは、触媒の存在下に一酸化炭素を水素で還元すると得られる。
- 触媒
物理的性質
アルコールはヒドロキシ基を持つことがその特徴である。ヒドロキシ基のためにアルコールは他の分子と水素結合を形成したり、極性分子としての性質を示したりする。そのため、同じ程度の分子量のエーテルに比べ、沸点や融点が高い。
アルコールのヒドロキシ基が親水性を持つ一方で、アルコールのアルキル基は疎水性を持つ。エタノール、メタノール、プロパノールなどの分子量の小さいアルコールでは、ヒドロキシ基が支配的であるため水に対して無制限に溶ける。一方で、ブタノールでは水にほどほど溶解し、ペンタノールでは水から遊離するようになる。
- ^ a b c d e f g h i "アルコール". 岩波理化学辞典 (第3版増補版第3刷 ed.). 岩波書店. 5 November 1982. p. 48.
- ^ "第一化合物". 岩波理化学辞典 (第3版増補版第3刷 ed.). 岩波書店. 5 November 1982. p. 768.
- ^ "グリコール". 岩波理化学辞典 (第3版増補版第3刷 ed.). 岩波書店. 5 November 1982. p. 361.
- ^ "グリセリン". 岩波理化学辞典 (第3版増補版第3刷 ed.). 岩波書店. 5 November 1982. p. 363.
- ^ Zeitlicher Hintergrund von japanischen Fremdwörtern - Edo – Zeit - (PDF) (13頁、獨協大学)
- ^ 資源局の標準用語 今回一定して発表さる 督府官房調査課 川角道夫氏談(台湾日日新報 1931年4月3日 - 1931年4月5日)
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