Mutationとは? わかりやすく解説

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ミューテーション【mutation】

読み方:みゅーてーしょん

突然変異生物遺伝形質が親の形質異なって現れること。


突然変異

一個体の同じ遺伝子座にある二つ遺伝子組合わせ遺伝子型 1呼ばれる。ある任意の遺伝子座において対立遺伝子同一であるならば、その遺伝子座同型接合 2であるといわれ、異なっている場合には異型接合 3であるといわれる表現型 4とは、遺伝子型環境によって決定され観察可能な形質のことである。ある異型接合個体AA’)が同型接合個体AA)と表現型区別できない場合には、対立遺伝子Aは対立遺伝子A’に対して優生 5であり、A’は劣性 6であるといわれる遺伝子は突然変異 7呼ばれる突然で、一見無作為変化を受ける。任意交配 8、あるいは無作為交配 8個体群内の遺伝子均一な分布保証する


変異

英訳・(英)同義/類義語:Mutation

遺伝学で、ゲノムDNA上の配列変化などにより変異体生じ現象

突然変異

同義/類義語:変異
英訳・(英)同義/類義語:mutation

遺伝学で、ゲノムDNA上の配列変化などにより変異体生じ現象
「生物学用語辞典」の他の用語
現象や動作行為に関連する概念:  種分化  種形成  種間競争  突然変異  突然変異率  立直り反射  第2メッセンジャー

変異

Mutation, mutant

【概要】 生物進化仕組みのひとつ。遺伝子情報DNAからDNAへ、あるいはRNAからRNAへとコピイされることで受け継がれることは、人間ウイルスも同じである。これは塩基並び決まっているからである。ところが、このコピイの過程ミス起こり違った塩基入れ替わったり、一つ挿入されたり、一つ抜け落ちたりグループ抜け落ちたり入れ替わったりすると、遺伝子コード並び変り別の信号に置き変る。これを変異という。 

【詳しく】 変異の多くは意味のない変異で生き残らない。変異の結果新し性質持った生物変異体(mutant)という。変異体一つの群を形成するストレイン呼ばれるHIV場合逆転写酵素がコピイ間違い起こしやすい。結果として変種ウイルス体内増えることになる。変異ウイルス形質(表現型)が変化してワクチン耐性であったり、標的細胞への毒性変化したり、薬剤耐性であったりする。中には薬剤への感受性増大する変異もある。

《参照》 遺伝子DNARNA遺伝子型表現型逆転写酵素HIV耐性ワクチン


突然変異

【仮名】とつぜんへんい
原文】mutation

細胞dnaにおける何らかの変化のこと。突然変異は、細胞分裂の際の間違い原因生じ場合もあれば、環境におけるdna損傷物質への暴露よって生じ場合もある。突然変異は有害な場合もあれば、有益あるいは何の影響ない場合もある。卵子または精子成長する細胞において突然変異が起こると、それは遺伝する可能性があるが、それ以外種類細胞起きたものは遺伝することはない。特定の突然変異はがんや他の疾患につながる場合がある。

突然変異

(Mutation から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 09:06 UTC 版)

突然変異(とつぜんへんい、: Mutation)とは、生物やウイルスがもつ遺伝物質の質的・量的変化。および、その変化によって生じる状態。

核・葉緑体において、DNA、あるいはRNA上の塩基配列に物理的変化が生じることを遺伝子突然変異という。染色体の数や構造に変化が生じることを染色体突然変異という。

細胞や個体のレベルでは、突然変異により表現型が変化する場合があるが、必ずしも常に表現型に変化が現れるわけではない。また、多細胞生物の場合、突然変異は生殖細胞で発生しなければ、次世代には遺伝しない。

表現型に変異が生じた細胞または個体は突然変異体ミュータントmutant)と呼ばれ、変異を起こす物理的・化学的な要因は変異原ミュータゲン[注釈 1])という。個体レベルでは、発癌や機能不全などの原因となる場合がある。しかし集団レベルでみれば、突然変異によって新しい機能をもった個体が生み出されるので、進化の原動力ともいえる。

英語やドイツ語ではそれぞれミューテーション[注釈 2]ムタチオン[注釈 3]、と呼び、この語は「変化」を意味するラテン語に由来する。

遺伝子突然変異

遺伝子突然変異は、DNA複製の際のミスや化学物質によるDNAの損傷および複製ミス・放射線照射によるDNAあるいは染色体の損傷、トランスポゾンの転移による遺伝子の破壊などによって引き起こされる。突然変異には、一つのヌクレオチドが別の塩基に変わる点変異や、一つから複数のヌクレオチドが挿入または欠失するものもある。

点変異はコドンの1番目のコードに変異が起きる場合と2・3番目のコードに起きる場合がある。前者と後者の変異がコードの場所に関係なく一律に起きるならば、2・3番目のコードに変異が起きて翻訳しても対応するアミノ酸が変化しないサイレント変異が、1番目のコードの変異より多く子孫に引き継がれていく。第1コードに変異があり、アミノ酸が変化したタンパク質は変異前の機能を保持できないことが多く、このような変異体は生存に不利になることが多いと考えられる一方で、このような変異が生存に有利となる場合もあり、そのような変異は進化の要因となりうる。

遺伝子をコードする領域以外(イントロン)の変異や、遺伝子内でもアミノ酸配列や転写量を変化させない場合はサイレント変異となる。

機能に影響がある点変異は、別のアミノ酸にコドンが変化する非同義変異、アミノ酸のコドンが終止コドンに変わるナンセンス変異、終止コドンがアミノ酸のコドンに変わる読み過ごし変異がある。三つのヌクレオチドで一つのアミノ酸をコードするため、挿入・欠失したヌクレオチドが3の倍数だとアミノ酸の挿入・欠失が起こり、そうでないときはコドンの読み枠がずれアミノ酸配列が大きく変わるフレームシフトなどが起こる。

分類

中立的突然変異[注釈 4]
自然選択自然淘汰)に有利でも不利でもなく、中立的な突然変異( →「中立進化説」「分子時計」各項を参照)。
非表現突然変異[注釈 5]
遺伝的レベルでは変異が起きているが、表現型ではわからない変異。
復帰突然変異[注釈 6]
突然変異遺伝子が再び変異を起こして、元の遺伝子に戻る変異。
サプレッサ突然変異[注釈 7]
抑圧遺伝子変異とも。tRNAのアンチコドンを変化させ終止コドンを認識できるようになり、アミノ酸鎖の合成が終了されなくなる変異。
適応的突然変異[注釈 8]
ランダムに突然変異が起きるのではなく、周りの環境に適応して起こすと考えられた突然変異。現在では否定されている。

遺伝子突然変異

点突然変異[注釈 9]
1個のヌクレオチドの置換または欠損または挿入の変異。
ミスセンス突然変異[注釈 10]
コドン内の塩基の変化または置換により、本来入るべきものとは別のアミノ酸が合成されたポリペプチド中に入り、異常タンパク質が作られる突然変異。
ナンセンス突然変異[注釈 11]
アミノ酸のコドンを終止コドンにする変異。
フレームシフト突然変異[注釈 12]
塩基の挿入、欠失によってオープンリーディングフレームがずれる突然変異。

誘発要因

薬品による刺激や[1]電離放射線やイオンビーム[2]など高エネルギー粒子[3]が遺伝子を傷つけることで誘発(誘起)される。また、植物では栄養障害によっても誘発されることが報告されている[4]

染色体異常

染色体突然変異の図

染色体異常は、染色体の構造異常や、それに伴う障害が起こる変異である。染色体異常による突然変異には、染色体構造の変化や染色体数の変化などがある。

染色体構造の変化による突然変異

染色体数の変化による突然変異

影響

体細胞の突然変異は腫瘍の発症につながることがある。

生殖細胞が突然変異を起こし、それが無事に発生・成長すれば、その個体の全細胞のDNAが変異した状態となり、部位によっては親と異なる遺伝形質が発現することがある。さらにそれが子に遺伝し、幾世代に渡って変異が累積していけば、ついには別の種へと変化することになり、これが進化のプロセスの一つと考えられている。

細菌ウイルスは突然変異によりワクチンの型変化や治療薬への抵抗力を獲得することがあり、治療・予防を困難にしている。ただし細胞や個体が突然変異を起こしたとしても、細胞なら分裂能力、個体なら繁殖能力を持たない場合も多く、変異したものがその個体のみで終わる場合も少なくない。また個体の場合は、繁殖能力を持っていたとしても、必ずしも変異したDNA部分が遺伝されるわけではないので、やはり変異が遺伝されるとは限らない。

歴史

突然変異を発見し、命名したのはオランダの生物学者ユーゴー・ド・フリースで、1901年のことだった。ここから進化が突然変異によって起こるという突然変異説を提唱した。

突然変異を人為的に誘発できることを実験的に証明したのはハーマン・J・マラーである( →「人為突然変異」項を参照)。マラーはショウジョウバエX線を照射し、次世代の致死率を測ることにより、理論値から推測した。以後、生物学(遺伝学)では人為的に突然変異を誘導する変異導入により突然変異体を得て、その表現型を観察することで、遺伝子の機能を解析してきた。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ : mutagen
  2. ^ : mutation
  3. ^ : Mutation
  4. ^ : neutral mutation
  5. ^ silent mutation
  6. ^ : back mutation
  7. ^ : suppressor mutation
  8. ^ : adaptive mutation
  9. ^ : point mutation
  10. ^ : missense mutation
  11. ^ : nonsense mutation
  12. ^ : frameshift mutation

出典

  1. ^ 河口豊, 土井良宏, 伴野豊, 藤井博「卵浸漬法によるN-メチル-N-ニトロソウレアのカイコの発生に及ぼす影響と突然変異誘発」『日本蚕糸学雑誌』第54巻第3号、日本蚕糸学会、1985年、213-221頁、doi:10.11416/kontyushigen1930.54.213 
  2. ^ 田中淳「イオンビームによる植物の突然変異誘発」『RADIOISOTOPES』第52巻第4号、日本アイソトープ協会、2003年、186-194頁、doi:10.3769/radioisotopes.52.186ISSN 0033-8303NAID 130004127588 
  3. ^ 鈴木雅雄「4. ライサイエンスへの利用 4.3炭素およびネオンイオンビームによって誘発された細胞死と突然変異」『Radioisotopes』第44巻第11号、日本アイソト-プ協会、1995年11月、818-823頁、doi:10.3769/radioisotopes.44.11_818ISSN 00338303NAID 10003718968 
  4. ^ 野口弥吉「水稲における燐欠乏による突然変異の誘起」『育種学雑誌』第8巻第3号、日本育種学会、1958年、137-141頁、doi:10.1270/jsbbs1951.8.137ISSN 0536-3683NAID 130003479486 


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