遺伝的変異
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遺伝的変異(いでんてきへんい、英: genetic variation)とは、遺伝的な基盤に基づく、ある種の個体間、または集団間での違いのこと。種内、集団内における遺伝的多様性の実体を指し、遺伝的変異の量が多いことを、「遺伝的多様性が高い」と表現される。類義語に'genetic diversity'、'genetic variance'があり、語句の運用は各専門分野の文脈に従う。
- 1 遺伝的変異とは
- 2 遺伝的変異の概要
遺伝的変異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:22 UTC 版)
ある形質について変異が全くなければ、その形質は進化しない。変異があっても、その変異が次世代に伝わる傾向がなければ(すなわち、遺伝しなければ)進化は起こらない。 遺伝において親から子に受け渡されるのは遺伝子であり、その実体はDNAの塩基配列情報である。DNAは細胞分裂に際して複製されるが、その過程でエラー、すなわち突然変異が起こることがある。これによって生じる個体差が遺伝的変異である。さらには、突然変異によって生じた遺伝子が有性生殖や接合によって組み換えられることによっても、新しい遺伝的変異が生じる。 DNA配列上には現れないが遺伝子発現の変化による遺伝形質の変化についても、研究が進められている。塩基配列の変化を伴わない遺伝子の制御はエピジェネティクスと呼ばれ、DNAのメチル化による遺伝子発現抑制やヒストンの化学修飾による遺伝子発現変化などがある。しかしこの様な化学修飾は細胞分化に大きな役割を持ち、化学修飾が多世代を超えて長期間維持されることはないため、進化の原動力になるか疑問である。ただゲノムには狭義の遺伝子(コーディング領域)のみでなく遺伝子の制御領域(プロモーターやシスエレメント)があり、遺伝子の制御領域の突然変異が進化の原動力になる事がある。 一般的に、突然変異は「ランダム」に起こると言われる。これは、環境に応じて適応的な変異がより生じやすくなるというようなことはない(寒いからといって、毛皮を厚くする突然変異が暑い場所よりも生じやすくなることはないなど)という意味であり、あらゆる意味でランダムというわけではないということに注意が必要である。ラマルクは、より多く使われた器官が発達し、その発達が次世代に遺伝することで適応的な遺伝的変異が生じるとした(用不用説)が、この説は誤りであることがわかっている。突然変異はこのような説を否定する意味においてのみ「ランダム」である。実際には突然変異はあらゆる意味で「ランダム」とは言えず、たとえば放射線や発癌性物質によって誘発される。 突然変異は発生の過程を変化させることによって表現型を変化させるので、変化の範囲には限りがある。この制約がどの程度実際の進化に影響するかについては議論がある。 このほか、他の生物が持つ遺伝子が他生物に取り込まれることでその遺伝子を獲得することがある。(遺伝子の水平伝播)
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