ミニカ
ミニカとは、英語のminiature car/minicarを略したもの。文字どおり軽で、三菱としてはもっとも小型の乗用車。
初代は1962年10月に登場。360cc時代の軽で、小さいながらも3ボックスの2ドアセダンだった。三菱では既に360ccライトバンを61年4月に発売しており、それを仕立て直して乗用車にした。価格は39万円。当時のメーカー名は新三菱重工業。エンジンは強制空冷2ストローク2気筒だった。駆動方式はFR。64年11月、内外装をマイナーチェンジ。エンジンの潤滑方式を混合式から分離給油式に変えた。66年12月、スタンダードを追加。従来型はデラックスに名称変更。67年5月、エンジンの出力、トルク・アップをはかった。68年9月、マイナーチェンジによって、精悍なブラックマスクになった。10月には、最上級モデル・スーパーデラックスを水冷に改良した。
69年4月に前席ヘッドレスト、シートベルトの装備など安全関係の改善をはかったが、7月にはフルモデルチェンジ、ハッチバックスタイルの2代目に変わり、ミニカ70と呼ぶようになった。エンジンは空冷と水冷の2本立て。基本骨格も従来のラダーフレームからモノコックに変更。10月には豪華装備のハイデラックス、続いて水冷・ツインキャブエンジン搭載のSS、GSSを追加した(いずれも発売は12月から)。ちなみに、70とは、70年代を先取りする近代的なミニカーという意味。
70年10月には、スーパーDxベースの上級モデルGLを追加。同じ月、空冷/水冷エンジンの出力/トルク向上をはかった。ちなみに、前者が30ps/6000rpm・3.7kg-m/5000rpm、後者が34ps/6500rpm・3.8kg-m/6000rpmという数値だった。
71年2月、ファミリーDx発売。5月、スペシャリティといえるクーペのスキッパー(英語で、小意気な船のキャプテンの意)を追加した。9月にはマイナーチェンジを行ってミニカ72へ進化。GLというモデルが4灯ヘッドランプに変わり、スタンダード以外全車水冷エンジンになった。72年9月にはスタンダードも水冷化を完了、廉価版を73と呼んだ。しかし、10月にはすべてのエンジンを2ストロークから4ストロークに変え、車名をF4に改めた。スキッパーはスキッパーⅣになった。F4とはFour Cycle/Fresh/Familyの頭文字で、4ストロークエンジンを積んだまったく新しいタイプのファミリーカーを意味した。
73年10月、シリーズ全車に安全対策を施すとともにグリルまわりを変更。
74年12月、F4のエンジンにバランサーシャフトを追加した。
76年4月、ミニカ5を発売。ボディはF4と同じだったが、前後に大型バンパーを付けた。この年1月から軽自動車の新規格がスタート、エンジン排気量が550ccまでとなったが、三菱では水冷4ストローク2気筒471ccエンジンを暫定的に搭載しての発進となった。
77年6月、トレッド/全幅を100mm拡大したアミ55を発売した。エンジンは水冷4ストローク2気筒の547cc型を全タイプに載せた。車名のアミとはフランス語で友達のこと、55はエンジン排気量からとった名前だった。78年9月にはエンジンを昭和53年排出ガス規制に適合させるため、MCA-JETシステムに切り替えた。80年8月にサンルーフ車、10月に女性仕様車、翌年2月に廉価版のユーティリカを追加した。
81年9月、全長、ホイールベースを延ばすなど大幅な変更を行った。無段変速オートマチック車も設定。名称をアミLと呼ぶようになった。82年12月に高級仕様のCX、83年3月にターボモデルを追加したのち、84年2月にフルモデルチェンジ、FF方式に変わった。プレーンな面で構成したスタイリングは、イタリア人の若手デザイナー、アルト・セッサーノのデザインだった。2ドアと4ドアをそろえ、インタークーラー付きターボ車の設定もあった。85年9月に4WD車(パートタイム)、86年4月に3ドアオープントップ車を投入した。
87年1月、マイナーチェンジで3気筒SOHC・548ccの新エンジンに積み替えた。ターボエンジンや4WD車もあった。2速だったATは3速に進化した。88年1月にはファミリー向け高級車エクシードを追加。
89年1月、フルモデルチェンジ、7代目となった。豊かな膨らみをもつボディはラウンディシェルと呼び、当時の三菱のスタイリング・トレンドに合ったものだった。エコノといっていたバンタイプもミニカに名称を統一。ドア数で5ドアが乗用タイプ、3ドアと左右非対称1:2ドアがバンタイプとなった。駆動方式はFFと4WD。4WDシステムには自社開発の新しいHCU(ハイドロリック・カップリング・ユニット)を導入した。550ターボのダンガン(弾丸)というグレードも誕生した。翌年3月、ダンガンを除き3気筒SOHCとDOHCの657cc・新規格エンジンに積み替えた。全長が100mm延長した分はボディ本体を70mm長くし、ほかは前後バンパーぶんにあてた。このとき、キャビン部分をハイルーフとした多用途車トッポを発売した。8月、ダンガンにも新規格エンジンを採用。
91年5月、5ドアに3車種追加、ダンガンZZにAT車を設定した。
93年9月、フルモデルチェンジ、8代目に変わった。丸みを帯びたスタイリングで、ホイールベースが20mm延び、全高も拡大した。3ドアと5ドアをそろえ、駆動方式はFFと4WDがあった。エンジンが一部4気筒になった。94年10月、運転席SRSエアバッグ、センタードアロック、リヤシェルフを標準装備とする改良を行った。95年11月、全モデルのフロントデザインとリヤバンパーを変え、一部車種のシート地を変更した。96年9月、装備品の採用拡大を実施。
97年1月、レトロ調のタウンビーを追加。ミニカとミニカ・トッポをベースに、それぞれ外観・内装をクラシック調にまとめたモデルだった。車名は街の働き蜂という意味をもち、98年10月の新規格デビューまで生産、販売した。9月、フロントフード、フェンダー、バンパー、そしてテール部分のデザインを変更。10月にはタウンビーに、フロントグリルをメッシュタイプにしたタウンビーⅡ追加。
98年10月、新しい軽規格(全長100mm、全幅80mm拡大)に対応した新型を発売した。気軽に使えるベーシックセダン、をコンセプトとし、エンジンはすべて希薄燃焼型とした。3・5ドアセダンに2WD車(FF)とHCU式フルタイム4WD車を設定。1年後の99年10月に一部改良。2000年1月に、一時消えていたタウンビーのGタイプを出した。11月にマイナーチェンジ実施、ミニカはエコカー、ピスタチオのデザインを踏襲したフロント形状に変わった。タウンビーはボディ同色のヘッドランプベゼルを装着。そのほか、SRS助手席エアバッグ装備、フロントシートプリテンショナーの採用、リヤシートをセパレートから大型アームレスト付き6:4分割ベンチシートに変更した。ヴォイスという新グレード追加。2001年10月にはNAエンジンが良-低排出ガス認定を受けた。
2002年9月、全車のシート地を変更したほか、シートヒーターをメーカーオプションに設定した。ラインアップは3ドア、5ドアのヴォイス、5ドアだけのPj、タウンビーの3タイプ。それぞれ2WDと4WDモデルがある。エンジンはすべて3気筒ECI-MULTI。ミッションは5速MTと3速、4速ATを機種によって使い分ける。12月、ヴォイスをベースに装備内容を簡素化した廉価車PCグレードを追加、2003年1月から販売を開始した。9月、グレード展開の見直しを実施。
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