錬金とは? わかりやすく解説

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錬金術

(錬金 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 02:34 UTC 版)

錬金術(れんきんじゅつ、: alchemy, hermetic art[1]ラテン語: alchemia, alchimiaアラビア語: خيمياء‎)は、最も狭義には化学的手段を用いて卑金属から貴金属(特に)を精錬しようとする試みのこと。広義では、金属に限らず様々な物質や人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試みを指す。『日本大百科全書』によれば錬金術とは、古代中世にわたって原始的な科学の試行錯誤を行った技術哲学宗教思想実利追求などの固まりとされる[2][注釈 1]


  1. ^ 『デジタル大辞泉』からの引用
    錬金術卑金属貴金属に変えようとする化学技術。 … 科学としては誤りであったが、多くの化学的知識が蓄積され、近代化学成立の基礎資料となった[3]


    『日本大百科全書(ニッポニカ)』からの引用

    錬金術 … もともと錬金術の本質は、思弁的、神秘的、宗教的な色彩と、実際的、技術的な色彩とが混ざり合って、広くヨーロッパに普及した(なお、東洋では古くから中国で長命薬の発見を意図した錬丹(れんたん)術が行われていた)。 …

     初期の錬金術思想には、プラトンアリストテレス新ピタゴラス派グノーシス派ストア哲学、宗教、占星術俗信などが入り混じっており、また象徴主義とか寓意(ぐうい)的表現による難解さもあった。しかしその一方で、錬金術の技術では … 実験用のさまざまな蒸留器昇華器、温浸器などが発明された。 … 12世紀までに化学薬品としては、新しく、ろ砂アンモニア鉱酸ホウ砂などを発見した … 。 …

     中世の人たちは、錬金術に潜む一種の神秘性や、卑金属を貴金属(金)にしたいという卑俗な物欲とも絡み合って、その魅力にひかれた … 。 … 17世紀のニュートンでさえ、錬金術に対して強い関心をもって真剣に考えていた … 。 …

     16世紀のいわゆる科学革命の時代になると、それまで根強く支持され続けてきた錬金術は、最盛期を過ぎて、思弁的・神秘的な色彩は消え始め、それにかわって新しい思想が注入され、化学という科学の新分野が芽生えてきた。 … 錬金術から化学へ移行する過渡期を象徴する最初の人物としては、オランダのファン・ヘルモントをあげることができる。

     錬金術は「にせ」科学であった。そしてこの「にせ」科学は、初めから相反する二つの触手をもっていた。一つは科学的真理に近づこうとする触手であり、もう一つは無意識にしろ詐欺(さぎ)と握手しようとする触手である。しかし人々は長い間、この2本の触手を区別することができなかった。錬金術の誕生と死滅は、人間の無知と欲望、またその克服の反映であった[2]
  2. ^ ここで言及している文献群は、厳密には、のちに Corpus Gabirianum (ジャービル文献, : Ğabir-schriften, : Corpus Jabirien)と呼ばれることになるラテン語のコーパス(これにはヨーロッパで書かれた偽書も含まれる)それ自体ではなく、その翻訳元になったアラビア語のコーパスであるが、ここでは出典の記載に沿ったものとした。
  3. ^ 当時は硫酸塩ということなど知る由もない。
  1. ^ a b EDP 2023b, p. 「錬金術」.
  2. ^ a b 平田 2021, p. 錬金術.
  3. ^ 松村 2021, p. 錬金術.
  4. ^ 米田 2022, p. 「ヘルメス・トリスメギストス」.
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錬金

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ファイナルファイト」の記事における「錬金」の解説

障害物破壊する2フレーム後(1/30秒後)にレバー入力されていると、中身が必ず高価な得点アイテムであるダイヤモンド金塊になる現象中身固定されている障害物や必ず中身が空である場合でも変化するため、大幅なスコアアップが見込めるが、タイミングは非常にシビアである。ラウンド6の落ちてくるシャンデリアでさえも可能。

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錬金

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スターオーシャン Till the End of Time」の記事における「錬金」の解説

鉱石などを作成するDC版では後述合成使えるファクター多く追加された。

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錬金

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ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ」の記事における「錬金」の解説

素材となるアイテムと通貨(pq)を消費して既定時間経過することで別のアイテム生成することができる。

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