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三省堂 大辞林

三省堂三省堂

どく 2 【毒】

(1)生体、特に人体に有害な物質。特に、少量でも人命にかかわる作用を及ぼし得る物質
「―入り饅頭(まんじゆう)」「―を盛る」「―を呷(あお)る」

(2)康・生命をそこなうおそれのあるもの。
勉強ばかりしていては、体に―だ」
(3)ためにならないもの。わざわいとなるもの。害悪
「目の―」「この本は子供には―だ」
(4)人の心を傷つけるもの。悪意
「―を含んだ言葉
» (成句)毒にも薬にもならない
» (成句)毒を食らわば皿まで
» (成句)毒を以て毒を制する



物語要素事典

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★1.毒薬

水滸伝2426  潘金蓮薬屋西門慶と情を通じ、夫武大に砒を飲ませて毒殺する。潘金蓮は「夫は胸の病で死んだ」といつわり西門慶は納棺役人に「よろしく頼む」と言って金を与える。役人は武大の死体見て毒殺されたことを知り、火葬の時、ひそかに骨を二~三片拾って後日証拠とする。

本朝二十不孝井原西鶴)巻1-1「今の都も世は借物」  父親の死を願う道楽息子笹六が、丈夫な父親いらだち、「七日以内に父が死ぬように」と諸神諸仏に祈る。その効験か、父親が目まいをおこして倒れたので、笹六は気付け薬いつわり毒薬口移し父親に飲ませようとする。しかし誤って噛み砕き自分が死んでしまう。

砒素を飲んでの自殺→〔密通〕4の『ボヴァリー夫人』(フロベール)。

★2a.毒蛇

半七捕物帳岡本綺堂)「かむろ」  煙草関口屋の一人娘お袖と、その奉公人お由は、従姉妹どうしだった。お由は、自分関口屋の相続人になろうとして、お袖殺したくらむ。お由はをお袖の寝間放ちのたたりによるお袖の死(*→〔14)、という状況を作ろうとする。しかし誤ってお由自身に咬まれて死んでしまい、お袖は無事だった。

まだらの紐ドイル)  ロイロット博士毒蛇を飼い馴らし義理の娘ジュリア殺し、さらにその妹ヘレンも狙う。シャーロック・ホームズヘレン部屋待ちうけ、換気孔から侵入する毒蛇ステッキで打つ。毒蛇逃げ帰り隣室のロイロット博士を噛む→〔3d

★2b.毒蛇にも害されない人。

使徒行伝28章  パウロ焚き火枯れ枝をくべると、熱気のために出て来て、パウロの手にからみついた。まわりの人々は、パウロ身体腫れ上がるか、倒れて死ぬだろうと思った。しかしパウロを火の中に振り落とし何の害も受けなかった。人々は「この人神様だ」と言った

ツァラトゥストラはこう言ったニーチェ第1部咬み傷」  ツァラトゥストラいちじく木蔭で眠っていると、が頸をかんだ。ツァラトゥストラ痛さ目覚め逃げようとするに、「龍が、の毒のために死んだためしがあるだろうか。お前の毒を取り返すがいい」と言うツァラトゥストラの頸から毒を吸い取った。 

★3a.毒酒

水滸伝二十回本第120回  宋の蔡京四人賊臣が、梁山泊の総頭領である盧俊義宋江を殺そうとはかる。彼らは「朝廷からの賜りものだ」と偽って、まず盧俊義水銀入り料理与え殺し次いで宋江毒酒飲ませる宋江は、「自分毒殺されたと知れば、仲間李逵朝廷に対して反乱起こすだろう」と考え、それを防ぐため、李逵を呼んで彼にも毒酒飲ませる二人は泣いて別れ、死んでゆく。

毒薬と老嬢キャプラ)  モーティマー叔母にあたる二人老嬢は、孤独老人を見ると「楽にしてあげたい」と考え、毒入りワインを飲ませて、これまで十二人を殺した。モーティマーの兄も殺人鬼で、一ダースもの人を殺していた。それを知ったモーティマーは、「自分殺人家系血筋だ」と思い新婚の妻に結婚取り消しを告げる。しかしその後モーティマーは、叔母や兄と血のつながりのなかった事実を知り、安堵して新妻抱きしめる

*→〔酒〕1aの『日本書紀』巻1・第8段一書第3。

*→〔ロボット〕3の『ボッコちゃん』(星新一)。

★3b.敵には毒酒味方には薬酒となる、不思議な酒。

酒呑童子御伽草子)  源頼光渡辺綱たち六人の武将が、 八幡住吉熊野三神から得た神変毒酒で、酒呑童子酒盛りをする。神変毒酒は人が飲めばとなり、鬼が飲めば毒となって通力を失わせる。頼光らは酒呑童子を酔わせ眠らせて、首を斬る。

★3c.銚子仕掛けをして、相手にだけ毒酒飲ませる

小栗(をぐり)説経)  郡代横山殿は、娘婿小栗を嫌い、酒宴に招いて殺そうとたくらむ二口銚子中に隔て設け横山一門には薬酒小栗とその家来たちには毒酒がそそがれるように仕組んで、横山殿は小栗たちを毒殺する。

摂州合邦辻合邦内」  玉手御前は、中に隔て仕掛け銚子に、普通の酒と毒酒を入れておき、自分の盃には普通の酒を注ぎ、継子俊徳丸の盃には毒酒を注ぐ。俊徳丸知らず毒酒を飲んで、癩病になる〔*これは、玉手御前俊徳丸の命を救うためにしたことだった〕→〔子殺し〕3。

*酒か毒か選んで飲む決闘→〔決闘1d

*酒と毒、毒と酒のすりかえ→〔すりかえ〕6。

★4.毒入り菓子

ナスレッディン・ホジャ物語ホジャ餓鬼ども」  ホジャ学校教師になる。ホジャは出かける時、留守中に子供たち菓子を食べないように、「毒入りかもしれぬ」とおどかす。リーダー格の少年が他の子供たちと菓子分けて食べ、その後で、ホジャの使っている筆削りの道具を壊す。ホジャが帰って来ると、少年は泣いて「筆削りを壊してしまったので、毒を食べて死のうと思い菓子全部食べたが死ねなかった」と言う〔*→〔禁忌〕9の日本狂言附子(ぶす)』とよく似た物語〕。

*→〔死因〕1の『伽羅先代萩めいぼくせんだいはぎ)』6段目「御殿」。

★5a.毒と

銭形平次捕物控「二服の」  紙屋隠居が「体調が悪い」と言うので、小間物屋が「良い届けさせよう」と言って帰る。まもなく、使いの者と称する男が届け隠居はそれを飲んで血を吐いて死ぬ。その直後に、小間物屋店員を持って来る。「最初使い偽者だったか」と皆は思うが、実は、最初使い二度目の店員も、小間物屋が送ったのだった。同じ人間が毒と両方届けるなどとは誰も考えないので、小間物屋自分疑いがかからぬよう、巧妙細工をしたのである

★5b.毒が変じる

今昔物語集1-10  提婆達多が仏に大石投げつける。石は砕け破片が仏の足の親指を傷つけて血が流れる。提婆達多自分の手の指に毒を塗り、仏の足を礼拝するふりをして毒をつける。しかし毒はたちまちに変じ、仏の傷を治す。 

今昔物語集1-12  勝蜜外道が毒入り食事を、仏とその弟子たちに供養する。しかし毒は甘露と変じ、仏たちは無事だった。これを見た外道たちは罪を懺悔し、仏は彼らを教化した。  

★6.毒見

『落咄臍くり金』十返舎一九)「ふぐ汁」  男たちが寄り合って、ふぐ汁を作り、まずの上乞食毒見をさせようと、一杯持って行く。しばらくしてそっと乞食様子をうかがうと、別状ないので、男たちはふぐ汁を腹いっぱい食べる。男たちはの上行き、「さっきのふぐ汁はうまかったなあ」と言う乞食は安心して、「それなら私もいただきましょう」。

解毒剤を飲んでから毒見をする→〔笑い〕6の『生写朝顔話しょううつしあさがおばなし)』「嶋田宿笑いの段」。

★7.麻薬中毒

黄金の腕(プレミンジャー)  フランキーカード配り名手で、「黄金の腕」と呼ばれている。彼は賭博生活から足を洗って、ジャズ・ドラマーになりたいと思う。しかし麻薬中毒のため、オーディションで手が震えチャンスを失う。酒場モリーフランキーを立ち直らせようと、一緒にアパート部屋にこもり、彼を麻薬から遠ざけるフランキー禁断症状苦しみに耐えぬき、ようやく麻薬から解放される。

本のページに毒を塗る→〔本〕5。



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/11/05 14:02 UTC 版)

(どく)、毒物(どくぶつ)は、生物生命活動にとって不都合を起こす物質の総称である[1]


  1. ^ ただし、一般には「少量 - 微量で致命的な問題を起こす物質」と解されている。例えば、醤油を多量に飲むと、脱水症状により死亡する可能性があるが、通常、醤油が毒であるとは言わない。
  2. ^ 草食動物#植物を餌とする場合の問題とその解決方法
  3. ^ タマネギ中毒
  4. ^ 『日本産フグの中毒学的研究』(著:谷巌・1945年)
  5. ^ 改訂フグの衛生と取扱い著者: (社)日本食品衛生協会(Google ブックスより・『谷の日本産フグの毒力表』はP.10参照)




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