歴史哲学とは? わかりやすく解説

れきし‐てつがく【歴史哲学】

読み方:れきしてつがく

歴史または歴史学対象とする哲学一部門。歴史本質目的・意味などについての哲学的反省、および歴史学認識論的方法論的研究


歴史哲学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/14 21:37 UTC 版)

歴史哲学(れきしてつがく、英語:philosophy of history)は、歴史学のあり方、目的などについて考察を加える哲学の一分野である。


注釈

  1. ^ P.K.クロスリーは『グローバル・ヒストリーとは何か』p154にて「多くのグローバル・ヒストリーの著者が、歴史家ではなく、経済学者や社会学者や政治学者や自然科学の専門家、さらには-H.G.ウェルズのように-小説家であ」る、と指摘し、各著作を分析している
  2. ^ 他に、体系的記述、経歴、変遷、物語などの意味がある。
  3. ^ 他に、物語、説話、話術などの意味がある。
  4. ^ 「物語」ではなく、「物語り」である。野家啓一は、『物語の哲学』(pp. 299–301)、『歴史を哲学する』(pp. 150–151) にて、しばしば「物語り(narrative)」が「物語(story)」と混同され多大な誤解を招いたとして、両者の区別を主張し、多くの論者が「物語り」として実践している(論集『岩波講座哲学<11>』など)が、未だ不徹底さが残る
  5. ^ 物語り論とは、歴史哲学だけではなく、歴史学にも適用されるものである
  6. ^ 『物語の哲学』(p. 164) では「物語り」は「間主観的妥当性」を持つものであり「共時的整合性」と「通時的整合性」という論理整合性を持つもの、と論じられる (p. 322)

出典

  1. ^ ウォルシュ『歴史哲学』、p10、1951年
  2. ^ Rolf Gruner, "The concept of speculative philosophy of history," Metaphilosophy 3(4)
  3. ^ The Continuing Relevance of Speculative Philosophy of History, Journal of the Philosophy of History
  4. ^ Philosophy of History, Stanford Encyclopedia of Philosophy
  5. ^ “What is Intellectual History?”. historytoday.com. http://www.historytoday.com/stefan-collini/what-intellectual-history 
  6. ^ 『岩波講座 哲学 <11> 歴史/物語の哲学』p247-249、『「世界史」の世界史』13章「実証主義的「世界史」」
  7. ^ アーサー・ダントー著・河本英夫訳『物語としての歴史―歴史の分析哲学』(国文社,1989年)
  8. ^ 野家啓一『物語の哲学』p318-319。野家もこの立場である
  9. ^ ここでは『岩波講座哲学<11>歴史/物語の哲学』「概念と方法」の章の枠組みに従う
  10. ^ 前掲書p238


「歴史哲学」の続きの解説一覧

歴史哲学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/15 00:39 UTC 版)

ニコライ・ベルジャーエフ」の記事における「歴史哲学」の解説

ベルジャーエフは、「人間は<歴史的なものの>中にあると同時に歴史的なもの>は人間的なものの中にある」とする。各個人間は、世界全体過去すべての偉大な歴史的時代反映されミクロコスモスであるというのである。 彼は過去、現在、未来分割して考えることを批判するそのような歴史観刹那連続過ぎず、本来実在的な<歴史的なもの>が否定されてしまう。<歴史的なるもの>の体得のためには過去から連なる伝統」と「記憶」が重視される民族記憶象徴的伝統中に開示され内的生命歴史に意味を与えのである

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歴史哲学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 09:39 UTC 版)

イスラーム哲学」の記事における「歴史哲学」の解説

詳細は「初期ムスリム社会学」を参照 歴史学主題とする最初研究と、歴史学研究法対す最初批判的考察アラブ人アシュアリー派博学者イブン・ハルドゥーン1332年 - 1406年)の作品現れる。彼は、特に『歴史序説』(「プロレゴメナ Prolegomena」とラテン語訳される)と『助言の書』(Kitab al-Ibar)を書いたことで、歴史学文化史、歴史哲学の父とされるまた、彼の歴史序説』によって歴史上主権国家コミュニケーションプロパガンダ組織的バイアス研究基礎築かれていて、彼は、文明盛衰論じている。 フランツ・ローゼンタールは著書ムスリム歴史学歴史』で以下のように述べている: 「ムスリム歴史学歴史的にイスラーム圏学問一般発展と密接に結び付いてきた。イスラーム圏教育における歴史的知識地位歴史に関する文献知的レベル決定的な影響及ぼしてきた[…]ムスリム歴史社会学的理解歴史学体系化において歴史文献の中で一定の成果上げてきた。近代歴史学文献発展はそれによって17世紀以降西洋歴史家異文化目を通して世界の広い領域を見ることができるようになったところのムスリム著作利用通じて速度内容において相当に進んできた。間接的にムスリム歴史学によってある程度今日歴史思想形作られた。」

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 08:59 UTC 版)

イマヌエル・カント」の記事における「歴史哲学」の解説

カント人類の歴史を、人間が己の自然的素質実現するプロセスとして捉える人間にとっての自然的素質とは、本能ではなく理性によって幸福や完璧さ目指すことである。

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/28 18:08 UTC 版)

フランティシェク・パラツキー」の記事における「歴史哲学」の解説

カント哲学影響を受け、ヒューマニストとしてパラツキーは人間性信じ、「民族」とは人類一体化という目的のための一手に過ぎない、と説く。パラツキーの祖先アウクスブルク信仰告白によってルター派改宗する以前モラヴィア兄弟団所属していた。パラツキーはその精神的伝統に、カントの「至上命令に関する教えを結びつけた。つまりチェコの宗教改革意義は、神学上の変更にはなく道徳上の進歩にある。モラヴィア兄弟団においてカトリックとプロテスタント教義相互に浸透し合いキリスト教これまでで最高の水準達したモラヴィア兄弟団歴史的発展終局点である、と彼は考えた。『ボヘミア史』で、カトリック出版物では野蛮な狂信者として描かれていたフスジシュカプロコプなどのチェコ宗教改革闘士たちを復権し、チェコ人よりも敵の残虐さが甚だしかったことを示した。パラツキーはオーストリアにより検閲苦しみながらも最初ドイツ語書かれていた『ボヘミア史』を1848年以降チェコ語でも出版できるようにした。この事業は後のチェコの歴史家たちを励まし、ヴァーツラフ・トメク(Václav Vladivoj Tomek)などの弟子たち育てた

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ジャンバッティスタ・ヴィーコ」の記事における「歴史哲学」の解説

ヴィーコ歴史研究するときに次のような仮定設けた異な二つ時代同一全般的性質持ち、そのため一つ時代から他の時代類推し論じることができる。 同じ種類時代が、同一順序再起する傾向がある。英雄時代には必ず古典的時代続き新たな未開状態への衰微始まり、というように時代循環するこのような循環運動は、単純にもとのところに戻るのではなく螺旋描いて進展する。この点でヴィーコプラトンポリュビオスマキャベリカンパネッラ異なり歴史家未来を予測できない考える。20世紀の歴史家ではA・Jトインビーがこれに近い歴史観を持つ。 ヴィーコ次の5つを、歴史家の陥りやすい誤謬原因としてあげた。 古代対す大言壮語理想化誇張国民的自負学者自分性質を、歴史上行動者投影する二つ民族類似の観念制度を持つときに、一方他方から学んだ違いない、と考え偏見古代人比較身近な時代に関しては、現代人より事情通じていたに違いない、と考え偏見。 さらに歴史家利用できるものとして、言語学神話・伝説現代未開人・子どもや農民作るおとぎ話などをあげた。ヴィーコ文献過去のものとして葬らず、文献学哲学総合し歴史研究科学同じくらい確実性があるものとした。また、芸術論理従属させる考え方反対し、芸術構想力論理より優位にあると主張したため、反合理主義哲学者とも呼ばれる

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