帖のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 05:48 UTC 版)
光源氏37歳の冬から38歳の初春の話。 尚侍として出仕を控えていた玉鬘だったが、その直前に髭黒が女房の手引きで強引に契りを交わしてしまう。若く美しい玉鬘を得て有頂天の髭黒を、源氏は内心の衝撃を押し隠して丁重に婿としてもてなしたが、無骨で雅さに欠ける髭黒と心ならずも結婚することになった当の玉鬘はすっかりしおれきり、恥ずかしさに源氏とも顔を合わせられない。一方で実父の内大臣は、姉妹の弘徽殿女御と冷泉帝の寵を争うよりは良いとこの縁談を歓迎、源氏の計らいに感謝した。 髭黒はその後玉鬘を迎えるために邸の改築に取り掛かるが、その様子に今はすっかり見捨てられた北の方は絶望し、父親の式部卿宮も実家に戻らせようと考える。髭黒もさすがにそれは世間体も悪いと引き止めたものの、いざ玉鬘のところへ出発しようとした矢先、突然狂乱した北の方に香炉の灰を浴びせられる。この事件で完全に北の方に愛想を尽かした髭黒は玉鬘の下に入り浸り、とうとう業を煮やした式部卿宮は、髭黒の留守の間に北の方と子供たちを迎えにやる。一人髭黒の可愛がっていた娘(真木柱)だけは父の帰りを待つと言い張ったが、別れの歌を邸の柱に残して泣く泣く連れられていった。後でそれを知った髭黒も涙し、宮家を訪れて対面を願ったが、返されたのは息子たちだけだった。 明けて新年、相変わらず塞ぎこんでいる玉鬘に髭黒もようやく出仕を許す気になり、玉鬘は華々しく参内する。早速訪れた冷泉帝は噂以上の玉鬘の美しさに魅了されて熱心に想いを訴え、それに慌てた髭黒は退出をせきたててそのまま玉鬘を自邸へ連れ帰ってしまった。まんまと玉鬘を奪われた源氏は悔しさを噛みしめ、なおも未練がましく幾度か文を送ったが、それも髭黒に隔てられて思うに任せない。やがて玉鬘は男子を出産し、その後は出仕することもなく髭黒の正室として家庭に落ち着いた。
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帖のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/12 14:09 UTC 版)
「幻」から八年後、薫14歳から20歳までの話。 光源氏亡き後、その面影を継ぐ人はいなかった。長男・夕霧は面影こそ源氏に似てはいるが、若い頃から変わらず真面目で律儀な性格である事から、「やはり 殿(源氏)とは違う」と女房も語るほど。先の帝・冷泉院こそ「亡き殿に瓜二つ」との声もあるが、先の帝であることから口にすることも恐れ多いと憚られていた。ただわずかに今上帝の三の宮(匂宮)と女三宮腹の若君(薫、実は柏木の子)が当代きっての貴公子との評判が高い。 源氏が他界してからというものの、六条院は火が消えたような寂しさとなっていた。夕霧は父が愛したこの屋敷が荒れて行くのを憂えたことから、落葉の宮を一条の屋敷から移り住まわせる事に。その甲斐あってか、明石の中宮の娘・女一宮が亡き紫の上を偲び、春の町で暮らすようになり、時々ではあるが、二宮が寝殿を使うようになったことから、六条院は再び賑わいを見せるようになった。 匂宮は元服して兵部卿となり、紫の上の二条院を里邸としている。夕霧は匂宮を婿にと望みもするが、自由な恋愛を好む当人にはその気がない。その夕霧は、落葉の宮を六条院の冬の町に迎え、三条殿に住まう雲居の雁のもとと一日交代に月に十五日ずつ律儀に通っている。夕霧は娘の中で一番美人と誉れ高い藤典侍腹の六の君を、落葉の宮に預けて教養の豊かな女性に育てようとしている。 六条院は、今は明石の中宮の子たちの大半が住んでいる。夏の町に住んでいた花散里は二条院の東の院へ、女三宮は三条宮へそれぞれ移っている。 一方薫は、冷泉院と秋好中宮に殊更に可愛がられ育てられ、元服後は官位の昇進もめざましい。しかし、漠然ながら自分の出生に疑念を感じていた薫は、人生を味気なく思い、悶々と出家の志を抱え過ごしていた。 不思議なことに、薫の体には生まれつき仏の身にあるといわれる芳香が備わっていた。匂宮は対抗心から薫物(たきもの)に心を砕き、このため二人は世間から「匂ふ兵部卿、薫る中将」と呼ばれる。世間の評判はこの二人に集中し、娘の婿にと望む権門は多いが、匂宮は冷泉院の女一宮に好意を寄せており、厭世観を強めている薫は思いの残る女性関係は持つまいとしている。 薫20歳の正月、夕霧は六条院で賭弓(のりゆみ)の還饗(かえりあるじ)を催した。匂宮はもちろん、薫も出席し、華やかな宴となる。
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帖のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/12 14:10 UTC 版)
薫24歳の春のころの話。 故致仕大臣(頭中将)の次男は、このころには按察大納言(あぜちのだいなごん)になっていた。跡継ぎだった兄柏木亡き後、一族の大黒柱となっている。 亡くなった先の北の方との間には二人の姫君(大君、中の君)がいた。今の北の方は、髭黒大臣の娘で故蛍兵部卿宮の北の方だった真木柱で、この間に男子(大夫の君)を一人もうけている。また、真木柱には故宮の忘れ形見の姫君(宮の御方)がいて、この姫君も大納言の邸で暮らしている。 裳着をすませた三人の姫君たちへの求婚者は多かったが、大納言は、大君を東宮妃とすべく麗景殿に参内させており、今度は中の君に匂宮を縁付けようと目論んでいる。大納言は大夫の君を使って匂宮の心を中の君に向けさせようとするが、肝心の匂宮の関心は宮の御方にあるらしい。匂宮は大夫の君を通してしきりに宮の御方に文を送るが、宮の御方は消極的で結婚をほとんど諦めている。 大君の後見に忙しい真木柱は、宮の御方には良縁と思うが大納言の気持を思うと躊躇してしまう。また、匂宮が好色で最近では宇治八の宮の姫君にも執心だとの噂もあって、ますます苦労が耐えないようだ。
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帖のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 23:46 UTC 版)
薫27歳の春の話。 薫は浮舟を宇治の山荘に放置したまま、訪れるのも間遠であった。一方、匂宮は二条院で見かけた女のことが忘れられない。正月、中君のもとに届いた文を見て女の居所を知った匂宮は、薫の邸の事情に通じている家臣に探らせ、女が薫の囲い人として宇治に住んでいることを知る。匂宮はある夜、ひそかに宇治を訪れ、薫を装って寝所に忍び入り、浮舟と強引に契りを結んでしまう。人違いに気づくも時すでに遅く、浮舟は重大な過失におののくが、淡白な薫と異なって情熱的に愛情を表現する匂宮へと、次第に心惹かれていくのだった。 二月、ようやく宇治を訪れた薫は、浮舟の思い悩むさまを女として成長したものと誤解して喜び、京へ迎える約束をする。宮中の詩宴の夜、浮舟を思って古歌を口ずさむ薫の様子に焦りを覚えた匂宮は、雪を冒して再び宇治に赴き、浮舟を宇治川対岸の隠れ家へ連れ出し、そこで二日間を過ごした。 薫は浮舟を京に迎える準備を進めていた。匂宮はその前に浮舟を引き取ろうと言う。何も知らずに上京の準備を手伝う母中将の君に苦悩を打ち明けることもできず、浮舟は宇治川の流れを耳にしながら物思う。ある日、宇治で薫と匂宮両者の使者が鉢合わせしたことからこの秘密は薫に知られ、薫からは心変わりを詰る内容の文が届いた。薫に秘密を知られてしまい、ショックを受ける浮舟。やむなく、「宛て先が違っている」ということにして、文を送り返した。宇治の邸は薫によって警戒体制が敷かれ、匂宮は焦りを募らせる。 薫に恨みの歌を送られ、匂宮との板ばさみになって進退窮まった浮舟はついに死を決意する。死を間近に、薫や匂宮、母や中君を恋しく思いながら、浮舟は匂宮と母にのみ最後の文を書きしたためた。 鐘の音の絶ゆるるひびきに音をそへて わが世尽きぬと君に伝へよ
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帖のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 22:13 UTC 版)
光源氏50歳、夕霧29歳の八月中旬から冬にかけての話。 柏木の未亡人落葉の宮は、母一条御息所の病気加持のために小野の山荘に移っていた。宮に恋心を募らせていた夕霧は、八月の中ごろに御息所の見舞いを口実に小野を訪れる。折からの霧にかこつけて宮に宿を求めた夕霧は、拒み続ける宮の傍らで積年の思いを訴え続けるが、思いはかなわぬままに夜は明ける。 祈祷の律師から夕霧が宮の元で一夜を明かし朝帰りしたと聞き驚いた御息所は、真情を確かめるべく病をおして夕霧に文を認める。 女郎花しをるる野辺をいずことて 一夜ばかりの宿をかりけむ 文を書き終えた直後、御息所は危篤状態に陥ってしまう。 御息所からの文が夕霧の元へ届いたが、それを北の方の雲居の雁が取り上げ隠してしまう。 翌朝。ようやく文を見つけたが、夕霧は文に認められた歌を見て「宮を弄んだ」と誤解された事を悟る。夕霧の返事は遅れに遅れ、御息所は心労のあまり急死してしまう。突然の訃報を受け夕霧は葬儀全般の世話をするが、落葉の宮は母の死は彼のせいと恨み心を開こうとはしなかった。 落葉の宮はこのまま山荘に残り出家したいと思ったが、父朱雀院から「女三宮も出家したばかり。姫宮たちが競うように出家するのは…」と窘められる内容の文が届き、落ち込む。夕霧によって強引に本邸の一条宮に連れ戻された。世間では二人の仲は既に公然のものとなっており、その状況に宮は戸惑う。 夕霧は養母の花散里から事情を聞かれるが、帰宅後嫉妬に狂った雲居の雁と夫婦喧嘩をしてしまう。何とか雲居の雁をなだめて落葉の宮の邸へ通っても、宮は塗籠(ぬりごめ=土壁に囲まれた寝所)に閉じこもって出てこようとしない。結局強引に逢瀬を遂げて既成事実を作ってしまう。 翌朝夕霧が邸に帰ると、雲居の雁は主に娘と幼い子数人を連れて実家の致仕大臣邸に帰ってしまっていて、連れ戻しに行っても取り合おうとしない。ついに二人は決裂してしまった。 一方落葉の宮は亡き夫の父致仕大臣に文で責められ、夕霧の妾の藤典侍も雲居の雁の味方で、一人途方にくれるのだった。
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