コンピテンシー
コンピテンシーとは、優れた業績を残した個人の行動特性のこと。英語のcompetence(競争する)の名詞形で、主に企業において社員の能力評価や人材の採用基準として用いられる。コンピテンシーの特徴は、個人を評価するのに知識レベルや資格、学歴などではなく具体的な行動によって行うことである。また、チームワーク、親密性、情報収集力などの評価項目を用いることで、評価者の主観に左右されない客観的な評価を可能にする。
コンピテンシーが注目された背景として、企業の成果主義志向の高まりが挙げられる。従来の評価基準では、主に協調性、責任制など個人の潜在的・顕在的な能力を中心に行っていた。だが、その能力は必ずしも業務成果にはつながらない。コンピテンシーは能力ではなく、成果を残した具体的な個人の行動をモデル化し、それを評価基準とすることで業績を残せる個人の育成・採用を可能にした。コンピテンシーは企業によって異なる基準が設けられ、その企業が欲しい人材を過去の成功例や理想型からモデル化する必要がある。
また、コンピテンシーが利用される例として、就職活動中の学生が自分の強みや弱み、企業が求める人物と一致しているかなど、自分の能力を診断する際に用いられることがある。また、看護の場面や教育の場面においても、コンピテンシーによる評価や能力育成が行われつつあり、企業にとどまらない広い活用の場がある。
コンピテンシー
特定の職務を遂行するにあたり安定的に優れた成果をあげている人材が共通して発揮している行動特性。業務遂行のパフォーマンスの高さの要因となる要素。知識の豊富さや技術の高さは、必ずしもパフォーマンスの高さに直結するとは限らない。では何が安定的なパフォーマンスを実現しているのか? この実現要因がコンピテンシーである。
コンピテンシー(competency)は、基本的には「能力」「行為能力」「適格さ」を意味する英語の名詞。英語圏でも日本語と同様「業務遂行のパフォーマンスの高さの要因となる要素」を指す意味で用いられる。
コンピテンシーはもっぱらビジネス(人材)分野で用いられる概念であるが、高等教育の分野でも人材育成という観点から言及されるある。
コンピテンシー
「コンピテンシー」とは・「コンピテンシー」の意味
「コンピテンシー」は「技能」や「能力」、「力量」「適性」などの意味を持つ英単語の「competency」のカタカナ語で、ビジネスにおけるハイパフォーマーの行動特性という意味で用いられている。英語の「competency」における「技能」や「力量」など可視化できる能力ではなく、「性格」や「動機」、「価値観」など可視化しにくい要素が「コンピテンシー」を判断する基準とされている。看護においては、医療の質を向上させるために「コンピテンシー」が重要視されている。特に海外では看護に「コンピテンシー」の基準を取り入れており、明確に定められている。日本では看護免許を一度取得すると生涯使用することができるが、海外では「コンピテンシー」維持のために毎年、もしくは数年毎に更新しなければならないことが多い。教育においては、優秀な人材を育成するための「コンピテンシー」の基準が定められ、「キー・コンピテンシー」と呼ばれている。3つのカテゴリー、9つの能力から構成されており、定期的な調査が行われ人材育成の羅針盤として用いられている。
「コンピテンシー」の熟語・言い回し
コンピテンシー評価とは
コンピテンシー評価は、優秀な成果を残す従業員の行動特性の基準を定め、人事評価や採用試験などの評価に用いることである。コンピテンシー評価では、成果に至るまでのプロセスなど可視化しにくい部分も評価の対象となるため、公平に評価できるというメリットがある。しかし、評価基準を定めるのに時間を要し、社内の変化が大きい場合には適正に評価しにくいというデメリットもある。
コンピテンシー面接とは
コンピテンシー面接は、採用試験などで適性を判断するために行われる面接のことである。掘り下げた質問を行うことで、求職者がどのような行動を行ったのか知り行動特性を判断する。役職によって質問内容は異なり、リーダーシップはあるのか、管理能力はあるのかなどが判断される。
コンピテンシーが高いとは
コンピテンシーが高いということは、成果や結果を出すためにアイデアを創出して実行することを指す。成果に結びつく行動がとれる人は、コンピテンシーが高い人と呼ばれる。具体的には、コミュニケーション能力や協調性、リーダーシップなどの要素を持ち合わせていると、コンピテンシーが高いことになる。
コアコンピテンシーとは
コアコンピテンシーは、顧客に利益をもたらす技術、他社が真似できない技術、幅広い市場や分野で活用できる技術という3つの基準を核とする比較的新しい概念である。コアコンピテンシーを明確にすることで、対外的に競争力の高い企業になることができる。
「コンピテンシー」の使い方・例文
・この会社は採用試験においてコンピテンシー面接を行っている。・コンピテンシー評価を実施するようになってから、従業員の人事評価に対する満足度が高くなった。
・我が社のコアコンピテンシーは、世界に類を見ないエンジン技術である。
・コンピテンシーは、米国文化情報局の職員採用選考を機に生まれた採用基準である。
・企業においては、高いIQを持つ人材よりも高いコンピテンシーを持つ人材の方が価値がある。
・コンピテンシーを有効活用するためには、分野ごとに的確な基準を定める必要がある。
・コンピテンシーは能力やキャリアを開発するために活用することも可能である。
・従業員のコンピテンシーを高めるために、コンピテンシー研修を行っている企業もある。
・看護業界においては、医療を向上させるためにコンピテンシー基準を明確にすることが求められている。
・教育におけるキー・コンピテンシーは、「コンピテンシーの定義と選択」として明確に定められている。
・コンピテンシーは、1950年代に心理学用語として用いられるようになった。
コンピテンシー
英語:competency
コンピテンシー(英: competency )とは、業績の優秀な人がその業務についておこなっている、好業績を生む原因となっている行動の特徴、またそのような特徴を備えているかどうかの指標のことである。「行動特性」と言い換えることが多い。「コンピタンシー」ともいう。もっぱら人事を中心とするビジネスや教育の分野で用いられる専門的な用語である。
用例:「グローバル人材に必要なコンピテンシー」「コンピテンシーの高い学生」「コンピテンシーを評価する」「コンピテンシーを育成する」
英語competencyは、適任であることを意味する形容詞competentに、性質を示す名詞をつくる接尾辞-encyがついた語である。
人事評価におけるコンピテンシーは、1973年、米国務省の依頼を受けたハーバード大学の心理学者デイビッド・マクレランドが、知識を問うテストや学校の成績など従来の評価方法ではその人の業績は予測できず、またマイノリティーや女性などには不利であることを明らかにし、職務上の成功を予測しうるテストを開発したことに始まる。 その後、1990年代にアメリカの企業で人事評価の基準として普及し、1990年代後半からは日本でも導入する企業が増えた。
「コンピテンシー」とともに人事評価や教育で重視される能力に「リテラシー」がある。「リテラシー」は、知識や情報を活用する能力のことである。問題を解決するにあたっては、リテラシーのみならず、その問題に対し適切な行動がとれるかというコンピテンシーの面も不可欠であると捉えられている。
「コンピテンシー面接」は、企業の採用面接のうち、求職者のコンピテンシーを測るために行うもの。その人が過去にどのような行動をとったかを尋ねることを中心とする。「行動結果面接(Behavioral Event Interview, BEI)」 「行動面接」ともいう。
「コンピテンシーディクショナリー」は、業績優秀者に特異に見られる行動指標を体系化し、活用できるようにしたもの。1993年、ライル・スペンサーとシグネ・スペンサーが方法を開発した。
「コアコンピテンシー」は、あらゆる職務に共通して必要となる中核的なコンピテンシー。また、コアコンピタンス(ある企業が同業他社に対して優位性を持つ事業)のこと。
(執筆:稲川智樹)
コンピテンシー【competency】
読み方:こんぴてんしー
コンピテンシー
コンピテンシーとは、ハイ・パフォーマ(成果を出している社員)の行動特性等を分析し、その結果を活用することで社員の行動を変え、業績向上を図るというシステムである。
コンピテンシー項目(職種ごとの様々な行動項目)ごとに、高い業績を上げる社員のレベル、また仕事に必要なレベルを示すコンピテンシーシートを作成し、これに基づいて人事考課や人材育成を行う。
コンピテンシーシートは人材の必要要件を分析的に明確にするものであり、最終的に目指す人材像を示すものではない。
ハイパフォーマとは、「今業績が高い人」「今社員がまねる対象」であり、機能・役割などを考えて分析的に設定する。必要な人材を分析的に検討するだけでなく、「社員にとっての憧れの対象」「簡単に真似できないものをコアとして持っている人」を定義する「一流人材」を考えることも、企業にとって有用である。
コンピテンシー
コンピテンシー
コンピテンシー
コンピテンシー(人員の能力証明)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/15 14:36 UTC 版)
「IEC 61508」の記事における「コンピテンシー(人員の能力証明)」の解説
機能安全マネジメントに関わる人員は、その役割に応じて機能安全に精通していることを証明しなければならない。一般には、認証機関や団体で行われる。トレーニングコースを受講して証明する。日本では、一般財団法人 日本規格協会やTÜV Rheinland社、TÜV SÜD社で、トレーニングが行われている。
※この「コンピテンシー(人員の能力証明)」の解説は、「IEC 61508」の解説の一部です。
「コンピテンシー(人員の能力証明)」を含む「IEC 61508」の記事については、「IEC 61508」の概要を参照ください。
コンピテンシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 07:23 UTC 版)
アメリカでは、ジョブ・ディスクリプションというOSの上に機能しているアプリケーション文書の一つとして存在する。 もとより、効率重視のアメリカでは人の努力や責任感という属人的要素は働きの成果として表れると扱われるため、働きの可視化である、ジョブ・ディスクリプションという文書を対象にした評価という行為の評価視点は効率に置かれていた。 しかし、ITが通常のどのような職務にも登場してきたことから、どの職務にも顕在的な要素というものが可視化されやすいことでもなくなり、そこから評価結果への不明瞭性が課題となってきた。そこで、評価視点に潜在力(日本的属人要素とほぼ同意)という、不明瞭性な要素を評価視点と加えることでその課題に対応しようという工夫。 目標管理文書やチャレンジ管理文書と異なり、こちらはジョブ・ディスクリプションの記述内容と時代変化との調整のために生じた評価行為の工夫とし生まれてきた文書。
※この「コンピテンシー」の解説は、「職務記述書」の解説の一部です。
「コンピテンシー」を含む「職務記述書」の記事については、「職務記述書」の概要を参照ください。
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「コンピテンシー」の例文・使い方・用例・文例
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