オゾン層の破壊
別名:オゾン層破壊
成層圏にある高濃度オゾンの局地的な希薄化。
成層圏のうち、特に地上10キロメートルから20数キロメートルほどの約10キロメートルの間には、高濃度のオゾンが高密度に存在している。この厚いオゾンの層は、太陽から注がれる紫外線を吸収し、地上の生物に対する有害な影響を緩和する作用をもたらしていることが知られている。
ちなみに、紫外線は不可視光線の一種で、高エネルギーであることが知られている。強い紫外線にさらされると皮膚や眼を傷め、皮膚がんになるリスクも高まるといわれている。
1980年代前後、局地的にオゾン層の濃度が極端に薄くなっている「オゾンホール」が観測され、問題視された。南極圏の上空では、南極大陸よりも広域なオゾンホールが観測された。
1987年にモントリオール議定書が採択され、1989年に発効したことにより、オゾン層の破壊に大きく関与するとされる化学物質は原則的に使用が禁止とされた。禁止対象の一つであるフロンは、冷媒として冷蔵庫や自動車に多く用いられていた。
南極上空のオゾンホールは2000年代を過ぎても拡大し、2003年に観測史上最大となった。その後、オゾンホールの規模は収束の傾向を見せ始めた。2012年10月には、モントリオール議定書の発効以来25年間で最もオゾンホールの面積が小さい観測結果が得られたと発表されている。
オゾン層の破壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 10:06 UTC 版)
1970年代にスウェーデンのクルーツェン氏が、成層圏でNOxが触媒作用でオゾン消滅反応に作用していることを指摘し、オゾン層科学に進展がもたらされた。
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オゾン層の破壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 07:17 UTC 版)
「オゾンホール」も参照 オゾンはヒドロキシラジカル、一酸化窒素、塩素原子などの存在によって分解される。これらは成層圏で自然にも発生するものであり、オゾンの生成と分解のバランスが保たれてきた。 ところが20世紀に入り、冷蔵庫、クーラーなどの冷媒やプリント基板の洗浄剤として使用されてきたフロンなど、塩素を含む化学物質が大気中に排出された。1974年にアメリカの大気化学者フランク・シャーウッド・ローランドとマリオ・モリーナは、成層圏で活性化した塩素原子はオゾンを分解することを指摘(両者はドイツのパウル・クルッツェンとともに1995年にノーベル化学賞を受賞)していたが、1985年にイギリスのジョゼフ・ファーマン(英語版)、ブライアン・ガーディナー(英語版)、ジョナサン・シャンクリン(英語版)が南極上空のオゾンが春季に減少する現象を論文で発表したことでこれが国際的な問題として浮上し、同年にはオゾン層の保護のためのウィーン条約が採択、2年後の1987年にはモントリオール議定書が採択され、世界的にフロン規制が始まった。なお、日本の忠鉢繁らは1984年に春季の南極上空のオゾン減少に関する論文を発表していたが、このときは問題提起には至らなかった。 フロンは非常に安定な物質であるため、ほとんど分解されないまま成層圏に達し、太陽からの紫外線によって分解され、オゾンを分解する働きを持つ塩素原子ができる。普段、成層圏では塩素原子はメタンや二酸化窒素等と化合物を作って不活性化するが、これがブリューワー・ドブソン循環を通して両極に運ばれ、-80℃前後と低温の冬の極上空にできる極成層圏雲が触媒となって塩素分子が生成・集積される。そして、春季にこれが融けた時に活性化した塩素原子が大量に発生する。極成層圏雲は二酸化窒素 (NO2) を取り込んでいるのでこれが解ける夏まで反応は続く。これにより春季にあたる9〜10月頃の南極のオゾン濃度が急低下し、オゾンホールができると考えられている。 一酸化窒素 (NO) もオゾンの分解に寄与するが、亜酸化窒素 (N2O) は紫外線により分解されるなどして一酸化窒素を生成するため、亜酸化窒素の増加もオゾン層破壊につながる。特に、塩素による破壊の影響がない環境下で、一酸化窒素による反応が強く働く。また、アメリカNOAAの研究チームの試算によると、オゾンの分解力はフロンより弱いが寿命が長いことや、フロン類の濃度が低下してきていることなどから、21世紀中におけるオゾン層破壊への寄与度は、フロンよりも亜酸化窒素の方が大きくなると考えられる。また、亜酸化窒素は温室効果ガスでもあることから京都議定書の削減対象にもなっている。 産業活動や自動車の排煙に含まれる大気汚染物質であり、火山ガスにも含まれる硫黄酸化物が反応して生成される硫酸エアロゾルも、触媒としてオゾンの分解に寄与する。フィリピンのピナトゥボ山が噴火して硫酸エアロゾル濃度が大きく増加した後の1992年・1993年には、北半球のオゾン濃度も大きく低下した。 オゾン層を破壊する物質としては、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、臭化メチル、四塩化炭素、ハロン、トリクロロエタン などがある。
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