Reason (ソフトウェア)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 00:45 UTC 版)
開発元 | プロペラヘッド・ソフトウェア |
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初版 | 2000年12月 |
最新版 |
10.1
/ 2018年5月8日 |
対応OS | Windows 7、Mac OS X v10.7以降 |
プラットフォーム | Windows, macOS (x86) |
種別 | 音楽制作 |
ライセンス | プロプライエタリ |
公式サイト | Propellerhead Software |
表記は製品ロゴや日本語版マニュアルでは大文字となっているが、Webサイトなどの文章中やアプリケーションのファイル名などは2文字目以降は小文字となっていることも多いなど、揺らぎがある。本項では特記のない限り「Reason」とする。
概要・機能
シーケンサーやミキシング機能を備え、また独自開発のシンセサイザーやエフェクターを多種内蔵する。DAWとしては独自性の高い「バーチャルラック」システムによる柔軟性のあるシンセサイズ機能が特長で、MIDIやReWire用の外部音源としても使用できる。VSTやAudio Unitsのプラグインには対応していないが、後述の「Rack Extension」規格での拡張に対応する。
Reasonは「楽器」として開発されてきた経緯があり[1]、かつては外部音源を取りまとめるホストDAWとしては動作しなかったが、2013年のバージョン7でMIDI出力に対応した。ReWire機能は現在もスレーブ(音源役)動作のみである。唯一の例外として、同社の『ReBirth RB-338』(現在は開発終了し無償配布)に対してはReWireマスター(ホスト役)として同期動作できる。
2014年現在では製品グレードとして、通常版の『Reason』、廉価版の『Reason Essentials』、バンドル専用版の『Reason Limited』(旧Reason Adapted)がある。
バーチャルラック(音源・エフェクト機能)
「バーチャル・ラック」システムは機材を組み込んだスタジオラックを再現し、シンセサイザーやエフェクターのデバイスを搭載できる。ラックデバイスは実物と同じようにツマミ操作したり並べ替えたりでき、また裏側を表示してオーディオ/CVケーブルの着脱もできる。これによりモジュラー式のアナログシンセサイザーのように、アイデア次第で新しい機能やサウンド表現を与える使い方ができる。
また「ライブサンプリング」機能により、サンプラーは(演奏専用のいわゆるプレイバックサンプラーではなく)実際にマイクなどから音をサンプリングできる。ボタンを押さえて離すだけで録音が完了し、無音部分も自動カットされる。
2012年のバージョン6.5からは「Rack Extension(RE)」規格によって純正・サードパーティー製のラックデバイスを追加拡張できるようになった。REは専用に開発された規格で、オーディオ/CVケーブルといった独自機能にも対応し、直営オンラインショップによる製品・デモ版の同時提供やライセンス管理といったサービスが図られている。2015年現在ではコルグなどのメーカーから280以上のREが発売されている。
ミキサー・マスタリング機能
ミキシング・コンソール機能はSSL 9000 Kを非公式ながらモデルとし、EQセクションやダイナミクスセクション、マスターバス・コンプレッサーのサウンド特性も再現している。
ラックデバイスには標準でマスタリングスイートのMClassシリーズ(イコライザー/ステレオイメージャー/コンプレッサー/マキシマイザー)を内蔵し、ミキサーのインサートとしても使用できる。
シーケンサー
シーケンサーはピアノロール式のMIDI編集機能とハードディスクレコーディング機能を持つ。またラックデバイス・ミキサーのツマミ操作をオートメーションデータとして記録できる。
MIDIトラックでは「ReGroove Mixer」機能により演奏グルーヴの種類や量をスライダーで非破壊的(元のデータを変えず)に加えたり調整できる。
オーディオトラックはマルチテイク録音やコンピング(テイク差し替え)編集に対応し、タイムストレッチ機能を内蔵する。またスライス編集やREXループ化ができる。オフライン編集機能はクリップ単位での音量調節やフェード、トランスボーズなどの基本機能に留まる。
また「ブロック」機能により、あらかじめ構築した短いシーケンスを「ブロック」としてソングに並べて簡単に編曲できる。ブロックの内容変更はソング上の分身に反映され、ソング上ではフィルインや変化を付けたメロディを乗せたり、部分ミュートもできる。ブロックは複数のフレーズ候補の比較検討などにも活用できる。
いくつかのラックデバイスはアナログシーケンサーを持ち、ハードウェア感覚で打ち込んだり、パターンを切り替えたり、CV/ゲート信号を活用することもできる。
ライブラリー
ReasonはReFill(リフィル)と呼ばれるライブラリ形式を使用する。ReFillはパッチファイルやサウンドサンプルを格納したファイル形式で、標準ではプリセット類を収録した『Factory Sound Bank』とオーケストラ音色集『Orkester』が付属する。ユーティリティソフト『ReFill Packer』を使ってユーザーがReFillを自作することもでき、無償有償を問わず多くのReFillが流通している。
そのほかのサンプラー音色としてはWAV/AIFF/MP3/AACファイル、REX/REX2ファイル、SoundFontファイルを読み込める。
かつてはAKAI製サンプラーS1000/S3000用の音色ファイルを取り込むユーティリティソフト『Reload』がユーザーに無償提供されていたが、現在は配布終了している。
著名ユーザー
著名ユーザーにはビースティ・ボーイズ、プロディジー、ブラック・アイド・ピーズ ディレクターのプリンツ・ボード、アウル・シティーらがおり、日本ではゲームミュージック作曲家の阿保剛も使用している。楽曲では安室奈美恵「WANT ME, WANT ME」(プロデューサーSUGI-V)や、ストロマエ「Alors on danse」のトラックメイキングに使用された。
- ^ 藤本健, Propellerhead社長に聞くReason開発秘話, All About, p. 2, 2007年10月17日, 2014年8月31日閲覧.
- ^ a b Reason 8 よくある質問, プロペラヘッド・ソフトウェア, 2014年8月31日閲覧.
- 1 Reason (ソフトウェア)とは
- 2 Reason (ソフトウェア)の概要
- 3 内蔵ラックデバイス一覧
- 4 各バージョン履歴
- 5 脚注
- Reason (ソフトウェア)のページへのリンク