雨月物語 派生作品

雨月物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/05 14:44 UTC 版)

派生作品

映画

蛇性の婬
1921年製作の日本映画。監督栗原喜三郎、脚本谷崎潤一郎
雨月物語
1953年製作の日本映画。監督は溝口健二。「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編を川口松太郎依田義賢が脚色した。出演は京マチ子水戸光子田中絹代森雅之小沢栄など。舞台は近江国と京に設定されている。ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した。また、スタッフも文部省芸術選奨を、そしてエディンバラ映画祭においてデヴィッド・O・セルズニック賞を受賞した。

文学作品

『蛇性の婬』:新字新仮名 - 青空文庫
田中貢太郎による再話
世にもふしぎな物語
1991年、講談社KK文庫発行。那須正幹が「菊花の約」・「青頭巾」・「浅茅が宿」・「蛇性の婬」・「夢応の鯉魚」をそれぞれ「約束」・「鬼」・「やけあと」・「へびの目」・「げんごろうぶな」という題名で、子供向けかつ近現代日本を舞台にして翻案したもの。那須は「日本人の心に昔から根づいていた怪奇なものへの憧れといったものを現代に再現できないだろうか」と考え、執筆したという。絵は小林敏也が担当。
2011年に、『あやかし草子―現代変化物語』として新装版が発売されている。(日本標準 絵:タカタカヲリ)
雨月物語
「菊花の約」、「浅茅が宿」、「蛇性の婬」の3話を一つにした、青山真治による翻案小説(2006年)。
雨月物語
岩井志麻子による翻案小説。2008年1月から2009年6月まで『小説宝石』に1話ずつ発表された。全編が女性の一人称で語られている。

舞台

宝塚歌劇団『雨月物語』
1926年、小野晴通作。
夜会 Vol.5
中島みゆきの舞台「夜会」Vol.5(1993年)のタイトルが、「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に」である。ポスターには十二単を着て小野小町に扮した中島みゆきが後姿で写っている。ストーリーは、小野小町の伝承と、雨月物語の中の「浅茅が宿」をモチーフにしている。
浅茅が宿 -秋成幻想-
宝塚歌劇団のミュージカル作品。形式名は「舞踊詩」で18場[26]雪組公演[26]。作・演出は酒井澄夫[26]
併演作品は『ラヴィール[26]』。
スタッフ(宝塚・東京)
※氏名の前に「宝塚」、「東京」の文字がなければ両公演共通。
特別出演(宝塚公演)
主な配役:
宝塚・東京
※「()」の人物は新人公演の配役。氏名の前に「宝塚」、「東京」の文字がなければ両公演共通。
中日公演
  • 勝四郎 - 轟悠[29]
  • 宮木、眞名児 - 月影瞳[29]
  • 曾次郎 - 香寿たつき[29]
  • 法師 - 箙かおる[29]
  • 時貞 - 安蘭けい[29]
  • 数馬 - 成瀬こうき[29]
  • 保重 - 立樹遥[29]
  • りん弥 - 貴城けい[29]

テレビドラマ

妖怪血染めの櫛
日本テレビのテレビドラマ『怪奇十三夜』の第4話として1971年7月25日に放映。「吉備津の釜」の映像化。
スタッフ
キャスト
京都妖怪地図・嵯峨野に生きる900歳の新妻
1980年テレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で放映されたテレビドラマ。映画化作品「雨月物語」と同じ原作の中から「浅茅が宿」と「蛇性の婬」を用いて、「雨月物語」へのオマージュにも仕上がっている。監督は、かつて「雨月物語」で助監督を担当していた田中徳三。制作スタッフは「必殺シリーズ」を作ってきた松竹(実質は京都映画株式会社)で、娯楽作品ながらも必殺シリーズ特有の映像美も兼ね備えた丁寧な作りがなされている。
雨月の使者
1987年NHKで放映された1時間半のテレビドラマ。唐十郎が脚本、三枝健起が演出をした。主演は杉本哲太横山めぐみ。兄妹にアレンジされているが、「蛇性の婬」に着想を得てつくられている。
唐十郎が作詞した同名の主題歌を、中島みゆきが作曲して歌っており、中島みゆきのアルバム『時代-Time goes around-』に収録された(上記の『「夜会」Vol.5』でも歌われている)。
怪談百物語
2002年フジテレビ火曜時代劇で放送されたテレビドラマ。放送第8話が「吉備津の釜」を原作とした内容となっている(題は「雨月物語」)。

マンガ・画本

雨月物語
木原敏江によるマンガ化作品。マンガ日本の古典28(中央公論新社)。「菊花の約」「浅茅が宿」「吉備津の釜」「蛇性の婬」を取り扱っており、原典に忠実ながらも漫画独自のエピローグなど作者による脚色が多少挟まれている。
水木しげるの雨月物語
水木しげるによる画本形式の作品。「吉備津の釜」、「夢翁の鯉魚」、「蛇性の婬」が集録されている。1972年に番町書房より出版され、その後河出文庫から1985年に復刻版が出版されている。
なお、「蛇性の婬」の冒頭部分は「ゲゲゲの鬼太郎」の「奪衣婆」に流用されている。

ゲーム

雨月奇譚
「雨月物語」を原作とし、各エピソードにアレンジを加えた世界を旅してゆくアドベンチャーゲーム。PC-98版で最初に発売され、その後トンキンハウスよりプレイステーションに移植されている。

朗読CD

翻訳

英語への翻訳はWilfrid Whitehouseが1938年と1941年にMonumenta Nipponicaに発表したものが最初。フランス語訳はルネ・シフェールが1956年に発表した。ドイツ語訳はオスカー・ベンルによる『Unter dem Regenmonde』がある[31]


注釈

  1. ^ 第四版は、幕末、大坂心斎橋、河内屋源七郎の出版。四つの版のなかで、一番残存冊数が多い。三冊組に構成されている[1]
  2. ^ 西行の初期の法名。ここで初めて、視点者は西行であることが明かされる。
  3. ^ 原話の「死生交」にも見える。
  4. ^ このころ、後の応仁の乱の原因にもなる畠山政長義就の戦いがおこっていた。
  5. ^ 唐代の李復言の『続玄怪録』に収録された『薛偉』が原典であり、明代に『古今説海』に収録され題が付された。
  6. ^ 古今著聞集』にも見える、実在した画僧であるが、伝未詳。大阪の絵師葛蛇玉がモデルとする中村幸彦の説がある[18]
  7. ^ いくつかの和歌からの引歌でできており、井原西鶴好色五人女』巻三からの影響も受けている[19]
  8. ^ この当時、ブッポウソウの正体だと思われていた鳥はブッポウソウ目ブッポウソウ科に属するブッポウソウ。声のブッポウソウは、フクロウ目フクロウ科コノハズクで、全く別の鳥である。
  9. ^ 未詳。俳諧の心得のあった、秋成自作の句か。
  10. ^ 木村常陸介雀部淡路守、白江備後、熊谷大膳粟野杢日比野下野、山口少雲、丸毛不心、隆西入道、山本主殿、山田三十郎、不破万作紹巴法橋
  11. ^ これも秋成の作か。「みじか夜」が夏の季語。
  12. ^ 西田維則訳『通俗西遊記』「源序」に似た言葉がある。
  13. ^ 中国曹洞宗永嘉大師玄覚の作。「入江を月が照らし、松の木に風が吹く。永遠に続くかのようなこの清らかな夜は、一体何のためにあるのか」という意味。
  14. ^ 瑞草が生え、日は高く昇って輝き、民は家に帰る、つまり、徳川家康の天下となる

出典

  1. ^ a b 長島(1998年)p.50
  2. ^ 高田(1997年)pp.443 - 444.
  3. ^ 大輪(1979年)pp.359 - 360
  4. ^ 高田(1997年)pp.135 - 136, 465 - 469.
  5. ^ 大輪(1979年)pp.315 - 316.
  6. ^ 坂東(1999年)p.1
  7. ^ 高田(1997年)p.451
  8. ^ 長島(1998年)p.51
  9. ^ 高田(1997年)pp.18 - 19.
  10. ^ 長島(1998年)pp.54 - 57.
  11. ^ 西行『山家集』下雑、詞書に「讃岐に詣でて、松山の津と申所に、院おはしまけん御跡尋ねけれど、形も無かりければ」とある歌の二首目「松山の波の景色は変らじを形無く君はなりましにけり」
  12. ^ 前註の、一首目の歌。
  13. ^ 保元物語』「新院御経沈めの事 付けたり 崩御の事」
  14. ^ 『山家集』下雑、「白峯と申しける所に御墓の侍りけるにまゐりて」と詞書のある歌。ここでは、第三句は、「むかしのたまのゆかとても」となっている。
  15. ^ 『三十六人集』「敦忠集」にある歌
  16. ^ 万葉集』巻十四・三三八四「葛飾のままの手児奈をまことかも我に寄すといふ真間の手児奈を」
  17. ^ 高田(1997年)pp.175 - 176.
  18. ^ 大輪 (1979)pp.301, 302。
  19. ^ 長島(1999年)p.184
  20. ^ 古今著聞集』「成光閑院の障子に鷄を畫く事」『成光、閑院の障子に鷄をかきたりけるを、實の鷄みて蹴けるとなん。此成光は、三井寺の僧興義が弟子になん侍りける』
  21. ^ 『風雅和歌集』巻十六・一七八八、詞書は「高野の奥の院へまゐる道に、玉川といふ河の水上に毒虫おほかりければ、此流を飲まじきよしをしめしおきて後よみ侍りける」。本居宣長の『玉勝間』にも、この歌の解釈を試みた文がある。
  22. ^ 『五雑俎』巻五
  23. ^ この描写は『水滸伝』第六回による。
  24. ^ 常山紀談』『翁草』『老士語録』『続近世畸人伝』など
  25. ^ a b 司馬遷『貨殖列伝』に見える言葉。
  26. ^ a b c d 宝塚歌劇90年史 2004, p. 82、84、104.
  27. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af 宝塚歌劇90年史 2004, p. 82.
  28. ^ a b c d e f g 宝塚歌劇90年史 2004, p. 84.
  29. ^ a b c d e f g h i 宝塚歌劇90年史 2004, p. 104.
  30. ^ 宝塚歌劇90年史 2004, p. 82、84.
  31. ^ 国立国会図書館オンライン | National Diet Library Online”. ndlonline.ndl.go.jp. 2022年10月10日閲覧。


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