日本年金機構 組織

日本年金機構

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:02 UTC 版)

組織

管理及び企画部門を中心とする本部を東京に置き、その下に現場管理及び支援を行うブロック本部が9か所ある。また、各ブロック本部の下に、対面を要しない届出処理業務等を行う都道府県事務センター47か所と事業所の調査、強制徴収、年金相談などの地域に密着した対人業務を行う年金事務所(旧社会保険事務所)312か所がある。設立時の職員数は約22,000人(正規・准職員12,000人、その他有期雇用職員10,000人)。理事長は厚生労働大臣が任命し、副理事長及び理事は厚生労働大臣の認可を受けて理事長が任命する[17]

本部

本部は、管理部門・企画部門を中心にガバナンス機能の強化を図り、内部統制のとれた組織体制の構築を行う。理事長の下に副理事長と常勤理事7人、監事2人、非常勤理事4人がいる。

役員

2024年1月現在の人事は以下のとおり

  • 理事長:大竹和彦(元農林中央金庫専務)
  • 副理事長: 樽見英樹
  • 理事(人事・会計部門担当):立田英人
  • 理事(事業企画部門担当):和田康紀
  • 理事(事業管理部門担当):岩井勝弘
  • 理事(事業推進部門担当):草刈俊彦
  • 理事(年金給付業務部門担当):渡辺理恵
  • 理事(システム部門担当):嶌内博美
  • 理事(特命担当):安藤誠
  • 理事(非常勤):山内慎一郎(弁護士)
  • 理事(非常勤):辻廣雅文(西武ホールディングス社外取締役)
  • 理事(非常勤):大島眞彦(三井住友銀行副会長)
  • 理事 (非常勤) : 吉永みち子 (民間放送教育協会会長)
  • 監事:工藤政和(元日本年金機構監査部監査アドバイザー)
  • 監事(非常勤):矢崎ふみ子(北野建設社外取締役)

歴代理事長

  • 紀陸孝(2010年 - 2013年)[18]
  • 水島藤一郎(2013年 - 2023年)
  • 大竹和彦 (2024年 - 現任)

ブロック本部→地域部

ブロック本部はかつて存在していた組織で、本部の指示を年金事務所に徹底させるとともに、事務所業務の後方支援を行っていた。標準的な地方ブロック本部は、ブロック本部長の下に3つの部と都道府県単位の事務センターが置かれていた。

  • 管理部は、ブロック内の組織・業務の総合的管理、年金記録問題の総合的進捗管理・調整、コンプライアンス・リスク対策の徹底、地域的会計事務などを行う。
  • 相談・給付支援部は、相談・給付業務の事務所指導・支援、年金教育の実施、地域の関係機関等との協力・連携相談を行う。
  • 適用・徴収支援部は、各業務の目標設定・進捗管理、適用・徴収の困難事案に対する事務所支援、業務マニュアルに基づく業務の指導・徹底などを行う。

地域割は以下の通り。太字となった県は一般的な地域区分と異なるケースで、一部を除いては国税局と同じ地域割になっていた。2016年度組織再編により1年をかけて本部への機能集約が図られ、「地域部」に改編の上で2017年に旧ブロック本部の事務所が閉鎖された[19]

ブロック 本部所在地 管轄 現行対応地域部 対応する国税局
(参照)
北海道 札幌市白石区 北海道 北海道地域部 札幌国税局
東北 仙台市青葉区 宮城県山形県福島県 東北地域第一部 仙台国税局
青森県岩手県秋田県 東北地域第二部
北関東・信越 さいたま市浦和区 埼玉県茨城県栃木県 北関東・信越地域第一部 関東信越国税局
群馬県新潟県長野県 北関東・信越地域第二部
南関東 新宿区 東京都区部・島嶼部 南関東地域第一部 東京国税局
千葉県東京都多摩、神奈川県山梨県 南関東地域第二部
中部 名古屋市中区 愛知県尾張、富山県石川県岐阜県 中部地域第一部 金沢国税局
名古屋国税局
愛知県三河、静岡県三重県 中部地域第二部 名古屋国税局
近畿 大阪市中央区 大阪市、福井県滋賀県京都府 近畿地域第一部 金沢国税局
大阪国税局
大阪市以外の大阪府兵庫県奈良県和歌山県 近畿地域第二部 大阪国税局
中国 広島市中区 鳥取県島根県岡山県広島県山口県 中国地域部 広島国税局
四国 高松市 徳島県香川県愛媛県高知県 四国地域部 高松国税局
九州 福岡市博多区 福岡県佐賀県長崎県大分県 九州地域第一部 福岡国税局
熊本県宮崎県鹿児島県 九州地域第二部 熊本国税局
沖縄県 沖縄国税事務所

事務センター

地方ブロック本部の一部署として、主要都道府県に事務センターが設置されている。センターでは、年金事務所の機能を適用事業所等の調査や強制徴収、年金相談などの対人業務に集中させるために、対面を要しない届書等の審査・入力・決裁業務等を集約して行う。

標準的な事務センターは、センター長の下に、4つのグループ(管理・厚生年金適用G、国民年金G、年金給付G、記録審査G)があり、各種届書・申請書、請求書等に係る受付・審査・入力・決定、各種通知書・告知書等の作成・送付(交付)、各種届書・申請書、請求書等の編綴・保管、特別障害給付金、老齢福祉年金に関する処理、死亡・特別・脱退一時金に関する処理、年金記録確認地方第三者委員会への進達、委託業務の業務内容の現地的管理・監視、コンピュータ記録と紙台帳との記録の突合せなどを行う。

事務センター規模によっては副事務センター長が置かれている事務センターもある。また、規模によっては1つのグループを複数に分ける事務センターもある[20]

この事務センターについても組織再編の一環として広域化集約が図られ、統廃合が進められている。

年金事務所

事業所の調査・職権適用、強制徴収、年金相談などの地域に密着した対人業務を行う年金事務所は、全国に312ヶ所ある。事務所の規模は、小規模(職員数20人未満)が104ヶ所、中規模(同20人~39人)が192ヶ所、大規模が(同40人以上)が16ヶ所である。標準的な事務所は、所長、副所長の下に5つの課が置かれている。

  • 厚生年金適用調査課は、所内の庶務(小額調達案件の調達契約事務含む)、本部・ブロック本部との連絡調整、事業所指導、事業所調査、未適用事業所の職権適用などを行う。
  • 厚生年金徴収課は、厚生年金保険料の納付督励、滞納保険料に対する滞納処分などを行う。
  • 国民年金課は、所得に応じた収納対策、未納保険料の強制徴収、市町村との連携などを行う。
  • 年金記録課は、年金記録問題対応の事実調査確認などを行う。
  • お客様相談室は、来訪相談、出張相談、電話相談などを行う。

注釈

  1. ^ 社会保険庁の幹部として短期間在籍する厚生労働本省採用のキャリア職員、本庁採用のいわゆるノンキャリア職員、かつて地方事務官として都道府県単位で採用された職員が一体性を欠いたまま存在するという構造は、組織を分断させ、組織ガバナンスの欠如の原因とも指摘された。

出典

  1. ^ 日本年金機構年度計画(平成31年度)
  2. ^ 平成30事業年度財務諸表
  3. ^ 平成30事業年度事業報告書
  4. ^ https://www.nenkin.go.jp/info/
  5. ^ 社保庁廃止で「解雇」 取り消し求めた元職員の敗訴確定:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年10月26日閲覧。
  6. ^ 日本年金機構法 - e-Gov法令検索
  7. ^ 理念 (PDF)
  8. ^ 運営方針 (PDF)
  9. ^ 人事方針 (PDF)
  10. ^ 第159回国会衆議院本会議・第19号・平成16年4月1日、衆議院。
  11. ^ ねんきん事業機構法案、衆議院。
  12. ^ 日本年金機構法案、衆議院。
  13. ^ 日本年金機構の設立危機を伝える読売新聞(平成21年9月13日付)の記事。[リンク切れ]
  14. ^ a b 日本年金機構の正規職員内定通知。
  15. ^ 年金制度のポイント” (PDF). 厚生労働省. 2020年10月16日閲覧。
  16. ^ 日本年金機構の発足声明。
  17. ^ 日本年金機構について(第1回社会保障審議会日本年金機構評価部会資料) (PDF)
  18. ^ 日本年金機構の副理事長となるべき者及び理事となるべき者の指名について (PDF)
  19. ^ 日本年金機構が組織再編を行います』(PDF)(プレスリリース)日本年金機構、2016年3月31日https://www.nenkin.go.jp/oshirase/press/2016/201603/20160331.files/20160331.pdf2017年7月29日閲覧 
  20. ^ 例:事務センターの年金給付グループ ⇒ 年金給付第1グループ、年金給付第2グループ
  21. ^ 厚生労働白書 令和4年度』厚生労働省、2022年、資料編https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21-2/dl/11.pdf 
  22. ^ 被用者年金制度の一元化に伴い、2015年10月1日から公務員及び私学教職員も厚生年金に加入。また、共済年金の職域加算部分は廃止され、新たに退職等年金給付が創設。ただし、2015年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、2015年10月以後においても、加入期間に応じた職域加算部分を支給。
  23. ^ 日本年金機構中期目標 (PDF)
  24. ^ 日本年金機構中期計画 (PDF)
  25. ^ 「年金の日」・「ねんきん月間」のお知らせ厚生労働省
  26. ^ 日本年金機構評価部会について (PDF)
  27. ^ 運営評議会
  28. ^ 日本年金機構職員給与規程 (PDF)
  29. ^ 日本年金機構職員賞与規程 (PDF)
  30. ^ 有期雇用職員の募集について (PDF)
  31. ^ 日本年金機構設立委員会委員名簿 (PDF)
  32. ^ 日本年金機構設立委員会規則 (PDF)
  33. ^ 日本年金機構の職員(正規職員及び地域限定期限付職員(仮称))の労働条件 (PDF)
  34. ^ 日本年金機構の職員の採用の基準 (PDF)
  35. ^ 日本年金機構の職員の募集について (PDF)
  36. ^ 職員採用審査会委員について (PDF)
  37. ^ 森永卓郎 (2007年7月2日). “社会保険庁ではリストラできるのに…”. 日経BP. 2011年1月1日閲覧。
  38. ^ 日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画 (PDF)
  39. ^ 社会保険庁職員からの日本年金機構職員採用に係る審査結果の概要 (PDF)
  40. ^ 参考資料(日本年金機構の職員採用と分限免職との関係) (PDF)
  41. ^ 社保庁職員の雇用確保と年金記録問題に関して舛添厚労大臣に要請2009年4月27日自治労
  42. ^ 社会保険庁の廃止に伴う職員の移行等の状況について (PDF)
  43. ^ 社保庁長官退職 厚労相「懲戒処分歴、例外認められぬ」 朝日新聞 2010年1月5日
  44. ^ 日本年金機構の職員募集の求人票
  45. ^ 日本年金機構の職員採用内定承諾書
  46. ^ 日本年金機構の職員内定者へのお知らせ(表面)
  47. ^ 日本年金機構の職員内定者へのお知らせ(裏面)
  48. ^ 日本年金機構の非常勤職員の勤務条件(表面)
  49. ^ 日本年金機構の非常勤職員の勤務条件(裏面)
  50. ^ 日本年金機構の非常勤職員への勤務希望調書
  51. ^ “年金機構職員と社保庁OB逮捕 入札情報漏えい容疑”. 共同. (2010年10月15日). https://web.archive.org/web/20130622094404/http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010101401000894.html 
  52. ^ 年金10億円支払う気なかった?日本年金機構の仰天業務実態 MSN産経ニュース 2013年4月20日
  53. ^ 日本年金機構 遺族年金、18億円過払い 検査院指摘へ 毎日新聞 2017年10月11日
  54. ^ 125万件の個人情報流出=職員端末にサイバー攻撃-年金機構 (2015年6月1日) 2020年10月20日閲覧。
  55. ^ 不正アクセスで年金情報125万件が流出かNHKニュース 2015年6月1日
  56. ^ 日本年金機構、ずさん管理で不要データの削除怠り流出か
  57. ^ 年金情報 窃盗で機構職員ら逮捕 400人分流出か 毎日新聞 2017年6月30日
  58. ^ 年金情報見返りに賄賂=容疑で機構元職員再逮捕-大阪府警”. 時事通信 (2017年7月19日). 2017年7月19日閲覧。
  59. ^ a b “個人情報の入力、一部を中国業者に 年金機構の委託業者”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年3月20日). オリジナルの2018年3月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180319181550/https://www.asahi.com/articles/ASL3M7QSPL3MUCLV01M.html 2018年3月20日閲覧。 
  60. ^ 日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会の設置』(PDF)(プレスリリース)日本年金機構、2018年4月10日。 オリジナルの2018年4月10日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180410201902/http://www.nenkin.go.jp/oshirase/press/2018/201804/2018041001.files/2018041001.pdf2018年6月3日閲覧 
  61. ^ 「外部委託見直しへ調査委=入力や契約違反多発-年金機構」時事通信、2018年4月10日
  62. ^ “年金機構、外部委託見直しへ 契約違反受け調査委”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2018年4月10日). オリジナルの2018年4月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180410062949/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29193630Q8A410C1EAF000/ 2018年6月3日閲覧。 
  63. ^ “納期優先で問題深刻化 年金入力ミスで第三者委報告書”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年6月4日). オリジナルの2018年6月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180604090444/https://www.asahi.com/articles/ASL616F2ML61UTFK01X.html 2018年6月5日閲覧。 
  64. ^ 「在日一掃」「卑怯な民族」Twitterで匿名ヘイト、年金事務所長が更迭。処分も検討”. 2019年3月27日閲覧。
  65. ^ “年金事務所長、ツイッターでヘイト発言し更迭”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2019年3月25日). https://mainichi.jp/articles/20190325/k00/00m/040/098000c 2019年3月26日閲覧。 
  66. ^ 「属国根性の卑怯な...」 ヘイト発言連発の世田谷年金事務所所長、身元バレの残念な顛末”. 2019年3月28日閲覧。
  67. ^ 職員の制裁について”. www.nenkin.go.jp. 日本年金機構 (2019年4月11日). 2024年1月14日閲覧。
  68. ^ Twitterでヘイト発言、勤務中にも投稿 元年金事務所所長、停職2カ月の処分”. www.itmedia.co.jp/news. ITmedia NEWS (2019年4月12日). 2024年1月14日閲覧。
  69. ^ 「発達障害で退職強要」 日本年金機構、元職員の男性が賠償求め提訴”. www.asahi.com. 朝日新聞デジタル (2024年1月12日). 2024年1月14日閲覧。
  70. ^ 年金機構で上司がパワハラ、労災認定…元職員が適応障害”. www.yomiuri.co.jp. 読売新聞オンライン (2024年1月13日). 2024年1月14日閲覧。
  71. ^ 「発達障害を退職理由にするよう指示された」 日本年金機構の元職員が慰謝料求め提訴”. www.bengo4.com. 弁護士ドットコム (2024年1月12日). 2024年1月14日閲覧。





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