富士駅 概要

富士駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 10:10 UTC 版)

概要

富士駅は、静岡県東部の中心都市の一つである富士市の代表駅である。富士市が製紙の町と呼ばれるだけあって、駅周辺には多数の製紙工場が存在する。富士駅は1909年(明治42年)4月に鉄道院日本国有鉄道の前身組織)の駅として開業し、富士身延鉄道(身延線)の乗り入れ・同線の国有化を経て、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化によりJR東海とJR貨物の駅となった。民営化後も東海道本線身延線が接続する旅客駅として、また富士市周辺の貨物を取り扱う貨物駅として機能している。なお、JR貨物が第二種鉄道事業の免許を有しているのは東海道本線のみであり、身延線での貨物の営業は行われていない。

富士駅の事務管コードは、▲520107である[1]

乗り入れ路線

東海道本線所属線としており、同線静岡地区と、当駅を起点とする身延線の2路線が乗り入れる。かつては東海道本線で運行される優等列車が多数停車していたが、東海道新幹線の開業後、その数を減らした。2024年5月現在停車する優等列車は、静岡と甲府を結ぶ「ふじかわ」、東京と出雲市駅高松駅を結ぶ寝台特急「サンライズ出雲」・「サンライズ瀬戸」の3種類である。

東海道本線にはCA08、身延線にはCC00駅番号がそれぞれ設定されている。

歴史

東海道本線の沼津 - 静岡間は1889年(明治22年)に開通した。同時に両隣の吉原駅富士川駅(当時は鈴川駅・岩淵駅)が開業したが、富士駅は開設されなかった。その後、加島村(現・富士市)と地元有志による熱心な誘致活動が行われた結果、路線開通の20年後の1909年(明治42年)に富士駅は開業した。加島村の中央に位置するので「加島駅」と名づけるよう請願があったが、富士山富士川から「富士駅」と命名された[2]。なお、同時に誘致活動が行われた製紙工場(富士製紙第八工場、後の王子製紙富士工場)も同時期に操業を開始している。

駅開設の翌年・1910年(明治43年)には馬車鉄道の富士鉄道が駅前に乗り入れ、東海道本線と大宮町(現・富士宮市)を結ぶ馬車鉄道の乗換駅となった。馬車鉄道は富士身延鉄道に譲渡されたのち1913年(大正2年)に蒸気鉄道に改修され、駅に乗り入れるようになった。富士身延鉄道は1938年(昭和13年)に国に借り上げられ(1941年に正式に国有化)身延線となり、国有鉄道の路線網に組み込まれた。

年表

駅構造

ホーム・駅構内

地上駅であり、東西方向に伸びる島式ホーム3面6線を有する。乗り場は北側から1番線・2番線の順で、6番線まである。

構内北側にある身延線用の1番線・2番線は行き止まり式のホームであり、ホームの吉原駅側(東側)に車止めが設置されている。3 - 6番線は東海道本線用のホームであり、内側の4・5番線が東海道本線の本線、3・6番線が副本線である。また、駅構内には複数の側線貨物設備がある。

駅西方の東海道本線沿いには富士運輸区の電車留置線が広がっている。ここへの路線は、身延線から分岐している。

1969年まで身延線は現在とは反対方向に線路が伸びており、富士宮駅まで単線であったが、大石寺へ参詣する東京方面からの団体臨時列車が富士駅構内で貨物列車並みの複雑な入換作業を行って転線する必要があったため、富士市内の立体交差化事業とあわせ、これまでとは逆方向に複線で線路を伸ばす形に改められている。

ホームの使用状況
番線 路線 方向 行先 備考
1・2 CC 身延線 - 身延甲府方面 一部の普通は3番線
3・4 CA 東海道本線 上り 沼津熱海方面
5・6 下り 静岡浜松方面 静岡行き特急は2番線
一部の普通は3番線

(出典:JR東海:駅構内図

  • 特急「ふじかわ」は両方向とも身延線2番線に発着する。
  • 東海道本線静岡方面行きのうち、身延線から直通の普通列車が、本来沼津方面のホームである3番線から発車する(7:19発静岡行)[12]
  • 2021年3月現在で3番線を発着する東海道本線の定期列車は、身延線からの直通である7:34発 西富士宮発熱海行と13:22発沼津行き、14:02発熱海行きの3本と、平日に限りホームライナー沼津6号の待避を行う19:28発熱海行きも使用する[13]
  • 2021年3月現在で6番線を発着する定期列車は、ホームライナーの待避を行う平日の2本 (7:11発浜松行と19:41発豊橋行)である[12]
  • 下り本線から上りホーム、身延線ホームへと直接転線できないため、熱海方面からの当駅止まり、回送列車は1度富士川駅まで回送され再び回送で当駅まで戻り、身延線、東海道線上り運用に就く。(かつては6番線からの身延線列車もあったが、2020年1月現在定期運用は存在しない。)
  • 2014年10月の台風18号の影響により、3・4番線に蒲原・由比方面行きの臨時列車を、5・6番線に沼津・熱海方面行きの普通列車を発着させ、折り返し運転をさせる運用を暫定的に行った。(由比-興津区間において“のり面”が崩壊したため、土砂が線路内に流入し不通になった影響によるもの。またそれに伴い、当駅を境に「熱海-富士」「富士-由比」区間でのピストン輸送が行われたため。)

駅舎・設備

富士駅の駅舎は南北自由通路を併設する橋上駅舎である。この駅舎は富士駅の駅舎としては2代目のもので、1964年(昭和39年)に建設された。

橋上駅舎は1・2番線ホーム上空から3・4番線ホーム上空にかけて設けられている。駅舎からは構内の南北に向かって通路が伸びており、南口と北口が開設されている。改札口は1か所で、自動改札機が導入されている。駅舎内部にはJR全線きっぷうりば自動券売機の設置がある他、ASTY富士が入居している。

駅構内のエレベーターは合計で3基あり、改札口と各ホームを結んでいる。これらのエレベーターは、2002年(平成14年)度から2003年(平成15年)度にかけて新設された[14]。この他、駅舎の北口と南口にもエレベーターが整備されている。

富士駅はJR東海による直営駅駅長駅員配置駅)である[15]管理駅として、東田子の浦駅吉原駅を管理している[15]

1番線・2番線ホームの甲府・富士宮方に、立ち食いそば・うどん店駅弁販売店がある。


記事本文

  1. ^ a b c 停留所名称は「富士駅」。

利用状況

  1. ^ 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
  2. ^ a b 日本国有鉄道旅客局企画編集 『日本国有鉄道 停車場一覧 - 昭和60年6月1日現在』 日本交通公社、1985年、216頁
  3. ^ a b c d 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 2』 JTB、1998年、18頁
  4. ^ a b 朝日新聞出版分冊百科編集部 2009, p. 22.
  5. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 2』 JTB、1998年、87頁
  6. ^ a b c 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 1』 JTB、1998年、155頁
  7. ^ 朝日新聞出版分冊百科編集部 2009, p. 23.
  8. ^ 交通年鑑昭和48年度内「交通日誌」
  9. ^ “富士駅に旅行センター開業”. 交通新聞 (交通協力会): p. 2. (1972年10月4日) 
  10. ^ “14駅を自動改札化 JR東海 静岡地区で計画”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1992年9月5日) 
  11. ^ 2009年12月4日(金)ASTY富士OPEN ASTY静岡 新着情報 2009年11月20日
  12. ^ a b 駅の時刻表-富士駅(平休)(下り)
  13. ^ 駅の時刻表-富士駅(平休)(上り)
  14. ^ 東海旅客鉄道編 『東海旅客鉄道20年史』 東海旅客鉄道、2007年、784頁
  15. ^ a b 東海旅客鉄道編 『東海旅客鉄道20年史』 東海旅客鉄道、2007年、733頁
  16. ^ ジェイアール貨物・リサーチセンター配信 「JR貨物ニュース」 2003年2月1日号
  17. ^ 『2014 JR貨物時刻表』 鉄道貨物協会、2014年
  18. ^ 『JR時刻表 2017年3月号』交通新聞社、2017年、160頁。 
  19. ^ 富士市中心市街地活性化基本計画 (PDF) [リンク切れ](富士市ウェブサイト)
  20. ^ 富士市DMV導入基本計画 (PDF) (富士市ウェブサイト)
  1. ^ a b 6.鉄道運輸状況(JR)” (xls). 長期時系列【統計年鑑編】(県・市町村の変遷~商業). 静岡県. 2024年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月14日閲覧。
  2. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1993(平成5年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  3. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1994(平成6年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  4. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1995(平成7年). 静岡県. p. 285 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  5. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1996(平成8年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  6. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1997(平成9年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  7. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1998(平成10年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  8. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑1999(平成11年). 静岡県. p. 290 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  9. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2000(平成12年). 静岡県. p. 338 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  10. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2001(平成13年). 静岡県. p. 282 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  11. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2002(平成14年). 静岡県. p. 282 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  12. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2003(平成15年). 静岡県. p. 284 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  13. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2004(平成16年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  14. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2005(平成17年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  15. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2006(平成18年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  16. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2007(平成19年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
  17. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2008(平成20年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
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  19. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2010(平成22年). 静岡県 (2013年5月9日). 2019年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月3日閲覧。
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  28. ^ 6.鉄道運輸状況” (PDF). 静岡県統計年鑑2019(令和元年). 静岡県 (2021年3月23日). 2021年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月24日閲覧。
  1. ^ a b 運輸・通信” (PDF). 富士市統計書令和4年(2022年)版. 富士市. p. 145 (2023年6月15日). 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月14日閲覧。
  2. ^ 運輸・通信” (PDF). 富士市統計書平成28年版. 富士市. p. 184 (2017年7月). 2019年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月26日閲覧。
  3. ^ 運輸・通信” (PDF). 富士市統計書平成30年版. 富士市. p. 162 (2019年7月). 2019年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月26日閲覧。






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