マザーボード マザーボードの概要

マザーボード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/31 01:14 UTC 版)

パーソナルコンピュータに用いられるマザーボードの例(ATX規格)

なお、この項では主に自作パソコンに用いられているマザーボードについて説明する。

構成部品

マザーボードの各部名称 (1)
マザーボードの各部名称 (2)

基板によっては搭載されていない部品もある。

チップセット
マザーボードの性能を左右する部品であり、接続されているハードウェアや、グラフィックサウンドなどを制御する。
CPUソケット
CPUをはめ込む部品。
メモリソケット[8]
メモリをはめ込む部品。
バッテリー
BIOSUEFIの設定値を保持し時計を動作させる。
ATX電源コネクタ
マザーボード本体に電源を供給するための差込口。
スピーカー
ビープ音を鳴らすためのスピーカー。
IDEコネクタ/SATAコネクタ
IDESATAなどのドライブ用ケーブルを接続するためのコネクタ。ハードディスクSSD光学ドライブを接続するがカードリーダーを接続することも可能。
PCIスロット
拡張用のカードを差し込むことで様々な機能を増やせるスロット。
PCI Expressスロット
拡張用のカードやビデオカードを接続するスロット。
AGPスロット
ビデオカードを接続するスロット。

主なマザーボードの規格(フォームファクタ)

パーソナルコンピュータにおけるマザーボードの規格
AT (Advanced Technology)
1981年、『IBM PC』が発売され、当初からオープンアーキテクチャとしてその互換機が一気に普及した。そしてIBM1984年PC/ATを発表。大半のPC/AT互換機のマザーボードは、これをベースに設計されている。1990年代中盤までのマザーボードは、このATあるいはその小型版のBabyATが主流であった。当初はキーボード端子以外の殆どのI/Oポートは、RS-232Cなどの単体の機能を持つカードを拡張スロットに挿す事により使用するか、マザーボード上にI/Oポート用のヘッダーピンがあればマザーボード付属の拡張ブラケットをケースに固定し使用していた。チップセットの高集積化が進み、これらの機能がチップセットに内蔵されるようになると、マザーボードのコネクタから各種ケーブルを繋ぎ、ケースやスロット上に直接外部端子を取り付けなければならず、ケーブルがケース内で方々に錯綜するという煩雑さが目立つようになった。
ATX (Advanced Technology eXtended)
1995年インテルが提唱した。パソコン市場で主流のマザーボードは全てこの規格を基に作られている。キーボードマウスシリアルポートパラレルポートUSBといった、よく使う各種I/Oポートをマザーボード上に実装し、従来のATよりも扱いやすくしたもので、すぐに普及してAT規格から移行した。これら端子の位置はメーカーによって若干異なることがあるため、自作用など特定の製品には、独自のバックパネルが付属していることもある。また、MicroATXというATXからスロットを2 - 3本減らして小型化したものもある。MicroATXは小型のケースに収めやすいことから、メーカー製のパソコンで数多く採用されている。MicroATXをさらに小型化したFlexATXもある。この規格と同時に、ATX電源の仕様も新たに策定された。ATX仕様のケースは、ATのマザーボードとは下位互換性を持たせてあり、バックパネルの交換により容易に流用できるようになっている。
BTX (Balanced Technology eXtended)
2003年にインテルが提唱した。当時パソコン高速化のネックとなりつつあったCPUの熱問題を解消するため、あえて従来の規格との互換性をある程度切り捨て、PCケース内部の気流を考慮した設計としていた。2003年当時はCPUの消費電力・放熱量は今後も右肩上がりになると想定されており、一時期ATXからの全面移行も想定されたが、この熱問題がいよいよ限界に近づいてきた2005年になると、今度はCPUの消費電力を抑えるスタイルへとパーツの進化の方向性が変化し、CPUの熱問題がある程度まで解決されたことから普及せずに終わり、2007年には製造も中止された。MicroBTXPicoBTXという小型版もある。
DTX
2007年1月AMDが策定を発表した規格。ATXに下位互換性を持ち、ATX用の本体ケースで用いることができる。小型版のMini-DTXもある。
LPX (Low Profile eXtension)
1990年代前半にウェスタン・デジタルが提唱した、後のATXのひな型ともいえる規格。各種I/Oポートを基板上に実装し、拡張スロットはライザーカードと呼ばれる、縦向きに拡張スロットを使用するための基板(中には寝かせて装着するものもあった)を、このマザーボード独自のスロットに挿すことにより、横向きに3枚程度の拡張カードを装着できる。そのため、ケースを比較的コンパクトに設計しやすい。これらのマザーボードは低価格のPCに数多く採用された。
Mini-ITX
2001年VIAが提唱した、FlexATXに似た規格。かつて、ほとんどにおいてはVIAのみで使われている規格であったが、省電力かつ小型向けのIntel Atomの登場により、注目を集めている。VIAのC3やインテルのIntel Atom、グラフィックチップなどをオンボードで搭載し、静音パソコンや組み込み向けなどで使用される。さらに小型化されたNano-ITXや、Pico-ITXという規格もある。
NLX
LPXに似た規格だが、ネジ穴やI/Oの位置などの互換性は無い。インテル、IBM、DEC(現:ヒューレット・パッカード)によって策定されたが、きわめて少数のメーカー製パソコンに搭載されただけで、それほど普及せずに消えてしまった。LPXと同じく、PCIなどの拡張スロットをライザーカードで使用する。
WTX英語版 (Workstation Technology eXtended)
1998年ワークステーション向けとしてインテルが提唱。ATXの約2倍位のサイズで、主にサーバなどで普及している。これは複数個のCPUを搭載したり、数多くのメモリスロットやI/Oポートなどを備える必要があるためである。また、サーバは高度なグラフィックス機能も不要であるため、古い世代のビデオチップがボードに搭載されているケースもある。
NUC (en:Next Unit of Computing)
2012年にインテルが提唱した4x4-inchのボード[9]。様々なメモリストレージオペレーティングシステムに対応が可能。NUCは、ミニPC、キットおよびボードが提供されている。

マザーボードの規格別サイズ一覧

単位はミリメートル (mm)。上側がバックパネル側。

マザーボードに搭載される主要コンポーネント

バックパネルの一例
2000年代の代表的なブロック図

時代とともに搭載コンポーネントが増え、多機能化する傾向にある。オンボードの記事も参照。

レガシーデバイス

ファームウェア


注釈

  1. ^ かつては規格に沿ったマザーボードが単体販売されていたが、現在は組み込み用のOEM向けのみで単体販売はされていない。
  2. ^ かつては規格に沿ったマザーボードが単体販売されていたが、すでに撤退しており、現在はIntel NUC向けのみ製造されているものの、マザーボードの単体販売はされていない。
  3. ^ 組み込み用のOEM向けのみで単体販売はされていない。
  4. ^ かつて自作ショップを展開していたTWOTOPのこと。1990年代から2000年初め頃にかけ、ショップ独自設計のマザーボードを発売していた[12]

出典

  1. ^ a b 芹澤正芳、山本倫弘、オンサイト(著):『自作PC完全攻略 Windows 8/8.1対応』、技術評論社、2014年、ISBN 978-4-7741-6731-2、21ページ。
  2. ^ a b 『見やすいカタカナ新語辞典』、三省堂、2014年、ISBN 978-4-385-16047-4、697ページ。
  3. ^ 岡本茂(監修)大島邦夫、堀本勝久(著):『2009-10年版最新パソコンIT用語事典』、技術評論社、2009年、ISBN 978-4-7741-3669-1、1057ページ。
  4. ^ 秀和システム第一出版編集部(編):『最新標準パソコン用語事典 2013-2014年版』、秀和システム、2013年、ISBN 978-4-7980-3758-5、668ページ。
  5. ^ 日経パソコン(編):『日経パソコン用語事典2012』、日経BP社、2011年、ISBN 978-4-8222-6940-1、936ページ。
  6. ^ 秀和システム第一出版編集部(編):『最新標準パソコン用語事典 2013-2014年版』、757ページ。
  7. ^ ロジックボード”. ASCII.jpデジタル用語辞典. KADOKAWA. 2023年2月8日閲覧。
  8. ^ メモリスロット”. IT用語辞典. インセプト (2017年11月22日). 2023年2月8日閲覧。
  9. ^ インテルNUC”. インテル株式会社. 2019年12月28日閲覧。
  10. ^ 【懐パーツ】デュアルSocket 370初のDDR266対応マザー「Iwill DVD266-R」
  11. ^ いにしえのSOYOブランドを冠したRyzenマザーボード
  12. ^ FREEWAY DESIGN復活! メディアベイ付きの多目的マザーが予約開始
  13. ^ “ASUS、24時間365日の連続稼働OKの高耐久マザーボード”. PC Watch (インプレス). (2015年6月20日). https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/707926.html 2018年2月24日閲覧。 


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