ザンビア 交通

ザンビア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 18:24 UTC 版)

交通

鉄道は国土中央部を南北に貫き、北のコンゴ民主共和国からキトウェ、カピリムポシ、ルサカを通ってリヴィングストンでジンバブエへと抜けるザンビア鉄道と、カピリムポシから北東へ伸び、タンザニアのダルエスサラームへと抜けるタンザン鉄道(TAZARA)の2つの鉄道会社によって運営されている。ザンビア鉄道は1905年に開通し、カッパーベルトの銅を輸送する大動脈となってきたが、1964年の独立後に南のローデシアとの関係が悪化し、銅の輸送が滞るようになったため、新たな輸出ルートとしてタンザン鉄道が計画され、1976年に開通した。旅客輸送も行われているものの、どちらの鉄道も主力は貨物輸送であり、なかでも銅の輸送の占める割合が非常に高い[41]

ザンベジ川上にあるボツワナとのわずか数百mの国境にはカズングラ・フェリーが運航し両国を結んでいるが、これに代わるカズングラ橋の建設が決定し2014年に着工した[42]。北東部にあるタンガニーカ湖にはフェリーが就航しており、ムプルング港からタンザニアやコンゴ民主共和国、ブルンジへの水運が存在するが、貨物取扱量は少量にとどまっている[43]

自動車道路は左側通行を採用する。

国民

農村の女性たち
1961年から2003年までの人口動態グラフ

民族

住民は、バントゥー系民族トンガ人ニャンジャ・チェワ人ロジ人ベンバ人チェワ人トゥンブカ人ンゴニ人カオンデ人フランス語版ルンダ人英語版ルバレ人英語版、ララ人(: Lala)、ムワンガ族英語版などが全体の99.5%を構成する[34]。その他にもヨーロッパ人アジア人アメリカ人が0.5%ほど存在する[34]

言語

ザンビア各州で最も使用される言語[44]

公用語英語であり、その他に各民族の言葉(ベンバ語トンガ語ニャンジャ語ムワンガ語など)が用いられる。各民族語のうち最も使用されるのはカッパーベルトなどの北部で主に使用されるベンバ語(33.4%、2010年推計、以下同じ)であり、ついで首都ルサカ周辺で使用されるニャンジャ語(14.7%)、南部で使用されるトンガ語(11.4%)、西部で使用されるロジ語(5.5%)、東部で使用されるチェワ語(4.5%)と続く[45]。北西部ではルンダ語も有力である。なお、2位のニャンジャ語と5位のチェワ語はほぼ同一の言語であり、相互の意思疎通が可能である[46]

宗教

ザンビア憲法の前文でキリスト教が国教とされ、国民の信仰する宗教は2010年にはキリスト教が95.5%を占め、そのうちプロテスタントが75.3%、カトリックが20.2%を占める[45]

教育

2015年の推計によれば、15歳以上の国民の識字率は63.4%(男性:70.9%、女性:56%)である[45]2008年にはGDPの1.1%が教育に支出された[45]

主な高等教育機関としてザンビア大学(1966年設立)、カッパーベルト大学(1987年設立)がある。

保健

ザンビアにおける2017年のHIV感染者は推計で約110万人であり[45]、感染率は11.5%である[45]。ザンビア人の平均寿命は53歳(男性:51.4歳、女性:54.7歳)である[45]。ザンビア国内で高度先進医療を提供する総合病院は、ルサカ市内のザンビア大学付属教育病院が著名[47]

文化

世界遺産の「ヴィクトリアの滝」はジンバブエとの国境にまたがる。

食文化

音楽

ザンビアの音楽は豊かな遺産があり、伝統音楽、ポピュラー音楽、キリスト教音楽のカテゴリーに大まかに分類される

世界遺産

ザンビア共和国内には、ユネスコ世界遺産リストに登録された自然遺産が1件存在する。

祝祭日

祝祭日
日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日 元日
3月第2月曜日 青年の日 Youth Day
5月1日 メーデー
5月25日 アフリカの日 Africa Day
7月第1月曜日 英雄の日 Heros' day
7月第1火曜日 統一の日 Unity Day
8月第1月曜日 農民の日
10月24日 独立記念日 Independence Day
12月25日 クリスマス

注釈

  1. ^ ただし、ボツワナとはザンベジ川上で100mほど接しているに過ぎない。

出典

  1. ^ Constitution of Zambia (Amendment), 2016-Act No. 2.pmd”. 2017年9月6日閲覧。 - ザンビア憲法(2016年改正版)、記載は「PART XX GENERAL PROVISIONS」の258.
  2. ^ a b UNdata”. 国連. 2021年11月7日閲覧。
  3. ^ a b c d e IMF Data and Statistics 2021年11月7日閲覧([1]
  4. ^ 『アフリカを知る事典』(平凡社ISBN 4-582-12623-5 1989年2月6日初版第1刷)p.183
  5. ^ 星、林 1988, pp. 99–101.
  6. ^ 星、林 1988, pp. 106–109.
  7. ^ 金七 2003, p. 190.
  8. ^ 金七 2003, pp. 189–191.
  9. ^ 星、林 1988, p. 108.
  10. ^ 星、林 1988, pp. 123–124.
  11. ^ 星、林 1988, pp. 153–154.
  12. ^ 星、林 1988, pp. 155–157.
  13. ^ 星、林 1988, pp. 197–200.
  14. ^ 星、林 1988, pp. 200–206.
  15. ^ "64年東京のいまを歩く(9) 長い五輪史上初 閉会式当日に生まれた新国家ザンビア". 産経ニュース. 産業経済新聞社. 2 June 2015. pp. 1–2. 2019年11月18日閲覧
  16. ^ 星、林 1988, p. 232.
  17. ^ 星、林 1988, pp. 233–234.
  18. ^ 星、林 1988, pp. 235.
  19. ^ 星、林 1988, p. 238.
  20. ^ サッチャー首相、ルサカへ『朝日新聞』1979年(昭和54年)7月31日 13版 7面
  21. ^ 「銅に揺れるザンビア 価格低迷で窮地 活路開くか農業革命」『朝日新聞』1976年(昭和51年)5月21日朝刊13版9面
  22. ^ 小倉充夫『労働移動と社会変動――ザンビアの人々の営みから』(有信堂、1995年11月5日初版第1刷発行)63-78頁
  23. ^ 小倉充夫『労働移動と社会変動――ザンビアの人々の営みから』(有信堂、1995年11月5日初版第1刷発行)129-143頁
  24. ^ 小倉充夫『南部アフリカ社会の百年――植民地支配・冷戦・市場経済』(東京大学出版会、2009年2月20日初版)192頁
  25. ^ 「ザンビア大統領選、与党バンダ氏が当選」AFPBB News(2008年11月2日)2018年11月10日閲覧
  26. ^ 「ザンビア暫定大統領にスコット氏、アフリカで20年ぶり白人元首」AFPBB News(2014年10月30日)2018年11月10日閲覧
  27. ^ ザンビア、債務不履行状態 外貨建て国債、利払いできず”. 時事通信 (2020年11月14日). 2020年11月13日閲覧。
  28. ^ 「ザンビア大統領選、ヒチレマ氏が初当選 対中債務への対応課題」日本経済新聞ニュースサイト(2021年8月17日)同日閲覧
  29. ^ 毎日新聞』朝刊2021年6月27日:中国製空港 草原に威容/ザンビア 資源国「債務のわな」術中(1面)および「ザンビア 中国の借金漬け/財政破綻 市民ら窮地」(3面)
  30. ^ ザンビア基礎データ 日本国外務省
  31. ^ 『アフリカを知る事典』(平凡社、ISBN 4-582-12623-5 1989年2月6日初版第1刷)p.183
  32. ^ ザンビアが債務不履行、コロナ下でアフリカ初”. 日本経済新聞 (2023年11月14日). 2023年12月26日閲覧。
  33. ^ ザンビアが公的セクターと60億ドル強の債務再編に合意=仏政府高官”. ロイター (2023年6月23日). 2023年12月26日閲覧。
  34. ^ a b c d e f 『データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版 世界各国要覧と最新統計』(二宮書店 平成28年1月10日発行)p.277
  35. ^ JICAの現場から(49)ザンビア大学と連携日刊工業新聞』2018年8月10日(4面)2018年10月26日閲覧
  36. ^ 大山修一「ザンビアの領土形成と土地政策の変遷」p.83(武内進一編『アフリカ土地政策史』所収)アジア経済研究所、2015年11月13日発行
  37. ^ 江木慎吾「農業急成長の影に、250人の@ルサカ - ニュース特集朝日新聞デジタル
  38. ^ 平野克己『経済大陸アフリカ』(中公新書、2013年1月25日発行)pp.143-144
  39. ^ 鍋屋史朗「ザンビアにおける食料安全保障と農業投資状況」『ARDEC』47号(一般財団法人日本水土総合研究所、2012年12月)2018年11月10日閲覧
  40. ^ Zambeef - アフリカ成長企業ファイル アジア経済研究所(2018年10月26日閲覧)
  41. ^ 一般社団法人海外鉄道技術協力協会著『世界の鉄道』(ダイヤモンド・ビッグ社 2015年10月2日初版発行)pp.354-355
  42. ^ 在ボツワナ日本大使館『ボツワナ月報 2014年09月』p.5(2018年11月17日閲覧)
  43. ^ 一般財団法人 国際臨海開発研究センター(OCDI)OCDI-Vol5.pdf 『OCDI 2014年夏号』p.17( 2018年11月17日閲覧)
  44. ^ Census of Population and Housing National Analytical Report 2010. Central Statistical office, Zambia
  45. ^ a b c d e f g Africa :: Zambia — The World Factbook - Central Intelligence Agency CIA World Factbook "Zambia" 2018年11月18日閲覧
  46. ^ 『マラウィを知るための45章』p.28(栗田和明)明石書店、2004年
  47. ^ ザンビア大学付属教育病院医療機材整備計画事前評価表国際協力機構ホームーページ) (PDF)
  48. ^ 「自分の大義を胸に」 横浜を退団した中町公祐がザンビアリーグ移籍を発表! サッカーダイジェストweb 2019年02月04日






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