中觀派とは? わかりやすく解説

ちゅうがん‐は〔チユウグワン‐〕【中観派】

読み方:ちゅうがんは

唯識派と並ぶ、インド大乗仏教の二大学派の一。竜樹中論に基づき、空(くう)を教義中心とする。三論宗はこれを受け継いだもの。


中観派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/02 03:32 UTC 版)

中観派(ちゅうがんは、: माध्यमिक, Mādhyamika[1], マーディヤミカ)は、インド大乗仏教において、瑜伽行派(唯識派)と並ぶ2大学派のひとつ[2]龍樹(りゅうじゅ、Nāgārjuna, ナーガールジュナ、150年 - 250年頃)[3]を祖師とし[4]、その著作『中論』などを基本典籍とする学派[2][4]。『中論』を根底として般若空観を宣揚した[5]縁起の思想を説き[4](madhyama)もしくは中道(madhyamā pratipat)の立場を重んじる[6]


注釈

  1. ^ たとえば、義浄はインドに中観と唯識ありと伝え、天台宗智顗は龍樹の『中論』を解釈して空観・仮観・中観の三観説を唱えた[4]
  2. ^ 三論宗もこの変更語の詩句を採用している[22]
  3. ^ 太字部分は、原典では傍点。
  4. ^ 市井三郎訳『西洋哲学史』 上巻 p.205に所収[38]

出典

  1. ^ ブリタニカ『中観派』 - コトバンク
  2. ^ a b c d e f g h i j 総合仏教大辞典編集委員会 『総合仏教大辞典』 法蔵館、1988年1月、994-995頁。
  3. ^ 中村元『現代語訳 大乗仏典7 論書・他』東京書籍、11頁, 14-15頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 中村元ほか(編)『岩波仏教辞典』(第二版)岩波書店、2002年10月、705-706頁。 
  5. ^ a b c d e f g h 中村元 『広説佛教語大辞典』中巻 東京書籍、2001年6月、1179-1180頁。
  6. ^ a b 中村・2005年250頁
  7. ^ a b c d e 斎藤明「中観思想の成立と展開」『シリーズ大乗仏教6 空と中観』高崎直道監修、桂紹隆・斎藤明・下田正弘・末木文美士編著、春秋社、2012年、7-10頁。
  8. ^ madhya (मध्य). spoken sanskrit dictionary.
  9. ^ 中村元『広説仏教語大辞典』東京書籍、2001年6月、1183頁。 
  10. ^ 総合仏教大辞典編集委員会(編)『総合仏教大辞典』(第一版)法蔵館、1988年1月、997頁。 
  11. ^ 赤羽 2012, pp. 1230–1231.
  12. ^ 赤羽 2012, pp. 1220–1230.
  13. ^ mAdhyamika (माध्यमिक). spoken sanskrit dictionary.
  14. ^ madhyamikA (मध्यमिका). spoken sanskrit dictionary.
  15. ^ 中観派 - 大正新脩大蔵経テキストデータベース。
  16. ^ a b 立川武蔵 『空の思想史』 講談社学術文庫、65-66頁。
  17. ^ 中村・2005年 250-252頁
  18. ^ 中村・2005年 76頁
  19. ^ a b c 中村・2005年 81頁
  20. ^ a b c d 中村・2005年 68-71頁
  21. ^ 中村・2005年 252, 257-258頁
  22. ^ a b c d e f g h i 中村・2005年 250-252頁
  23. ^ 中村・2005年 252-258頁
  24. ^ 中村・2005年 257-258頁
  25. ^ a b c d e f g 中村・2005年 430-435頁
  26. ^ a b 江島 1990, pp. 101–103.
  27. ^ 中村元ほか編 『岩波仏教辞典 第一版』 岩波書店、1989年12月、567頁。
  28. ^ 森山 2007, pp. 53–54.
  29. ^ a b c d 森山 2017, pp. 1–2.
  30. ^ a b 森山 2001, pp. 41–42.
  31. ^ 世界大百科事典 第2版『ハリバドラ』 - コトバンク
  32. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)『アティーシャ』 - コトバンク
  33. ^ 望月 2006, pp. 85–90.
  34. ^ a b 四津谷 2008, p. 538.
  35. ^ 小林 2005, pp. 492–491, 486.
  36. ^ a b c d e f g h 中村・2005年 434-435頁
  37. ^ 『龍樹』中村元 講談社学術文庫 p436-450
  38. ^ a b c d e 中村・2005年 438-439頁
  39. ^ a b c d e f g h i j k 中村・2005年 458-459頁(文献案内)



中観派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/29 03:01 UTC 版)

無為 (仏教)」の記事における「中観派」の解説

中論』の第七章では、有為法実有なるものとして成立しえないことを述べたあとで、「(生と住と滅とが成立しない故に有為成立しない。また有為成立しない故にどうして無為成立するであろうか」と主張している。ただし仏教学者中村元は、有為無為とは互いに排除する関係にある以上、有為成立しないとしても無為成立するかもしれないとしており、一般に中論』の推論形式には形式論理学的には不正確なもののあることを、仏教学者宇井伯寿指摘している 。中村は、これは中論縁起関し相依説(あらゆるものは相関関係をなして成立している)を主張しているということ考慮するならば、「甲によって乙があり、また乙によって甲がある」と言いうると述べている。

※この「中観派」の解説は、「無為 (仏教)」の解説の一部です。
「中観派」を含む「無為 (仏教)」の記事については、「無為 (仏教)」の概要を参照ください。


中観派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/14 10:03 UTC 版)

有為」の記事における「中観派」の解説

中観派の祖である龍樹 は、倶舎論に「諸行有為なることは、4つの本相による。」とあるのに対応し中論において「もし生ずること(生)が有為であるならば、そこには3つの特質(相。すなわち、生、住、滅)が存するであろう。もしもまた生が無為であるならば、どうしてつくられたものをつくられものとする特質有為相)があろうか」と述べた

※この「中観派」の解説は、「有為」の解説の一部です。
「中観派」を含む「有為」の記事については、「有為」の概要を参照ください。


中観派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 18:49 UTC 版)

縁起」の記事における「中観派」の解説

龍樹ナーガールジュナ)は、説一切有部諸法固有の性質自性)を認めたうえで縁起因果説明することを批判した龍樹は、諸法は空すなわち無自性であるから縁起し、また縁起するから自性をもたず空であるとした。 龍樹は、『般若経』に影響を受けつつ、『中論』等で、説一切有部などの法有(五位七十五法)説に批判加える形で、有為現象被造物)も無為(非被造物常住実体)もひっくるめた徹底した相依性(そうえしょう相互依存性)としての縁起いわゆる相依性縁起(そうえしょうえんぎ)を説き、中観派、及び大乗仏教全般に多大な影響与えた[要出典]。 中村元によれば中論主張する縁起は、有部縁起論とは著しく相違するが、後世中国華厳宗法界縁起思想には非常に類似しているという。法界縁起の説においては有為法無為法通じて一切法縁起していると説かれるが、その思想先駆中論に見いだされるという。

※この「中観派」の解説は、「縁起」の解説の一部です。
「中観派」を含む「縁起」の記事については、「縁起」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「中觀派」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

中觀派のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



中觀派のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの中観派 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの無為 (仏教) (改訂履歴)、有為 (改訂履歴)、縁起 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS