長距離輸送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 04:16 UTC 版)
トウモロコシの輸送液の組成(mM)溶質導管液師管液スクロース3.8 900 フラクトース0.8 0 グルコース0.8 0 全アミノ酸1.8 375.2 グルタミン酸0.19 59 アスパラギン酸0.24 17.3 グルタミン0.31 0 アスパラギン0.14 7.2 セリン0.22 27.8 アラニン0.2 5 全有機酸18.3 - NO3-1.8 3.2 Cl-- 273 K+- 479.5 導管と師管による輸送を長距離輸送[ 英: long-distance transport]という。導管は、根から取り込まれた栄養素を地上部へと運ぶ。師管は、古い葉から、成長途上の葉や種子などへの再輸送(転流[ 英: translocation])を行う。なお、導管や師管に水や栄養素を導入することを積み込み(ローディング)[ 英: loading]という。逆に、導管や師管から出すことは運び出し(アンローディング)[ 英: unloading]である。シンプラスト経路から中心柱へと来た栄養素が導管へと積み込まれるとき、いったん細胞外へと出され、導管の中心にある細胞木部要素で形成されたアポプラスト経路を通る。カリウムやホウ素ではこの積み込みのための膜輸送体が同定されている。これらの輸送体は導管周辺の細胞膜上にあり、細胞内の基質を細胞外へと輸送する。ケイ素では、導管を通った後の地上部組織への運び出しに関与する輸送体Lsi6が同定されている。Lis6が機能しなくなると、葉に運ばれてきたケイ素は葉の組織へと移行することができず、葉の先端の水孔から排出されてしまう。 師管は、土壌から獲得した栄養素や光合成産物、代謝産物を輸送し、植物の生長調節に重要な役割を果たす。物質によって積み込まれやすいものとそうでないものがある。稲では師管による輸送速度は1時間当たり50㎝から100㎝程度であると推測されている。緑茶では師管での水の流れは師管内圧の差によって作られていると考えられている。この圧力差は、光合成産物の生産元の細胞(ソース側[ 英: source side])でのショ糖の積み込みによる内圧の上昇と分配先(シンク側[ 英: sink side])でのショ糖の運び出しによる内圧の低下により生じているようである。
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