梓弓とは? わかりやすく解説

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あずさ‐ゆみ〔あづさ‐〕【×梓弓】

読み方:あずさゆみ

【一】[名]

の木で作った弓。

梓巫女(あずさみこ)が用い小さな弓。

【二】弓に関係のある、「引く」「張る」「射る」「反(かへ)る」「寄る」「音」「本(もと)」「末(すゑ)」などにかかる。

「—末は知らねど」〈万・三一四九〉

「—はるかに見ゆ山の端(は)を」〈拾遺・雑下〉


梓弓


梓弓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/14 18:34 UTC 版)

梓弓(あずさゆみ、あづさゆみ)は、武具のほか、神事などに使用される梓(アズサ)の丸木で作られた[1]。名は梓巫女(東北地方等に分布する巫女)が使用したことに由来する[1]枕詞の一つになっている。

概要

梓で弓を作った記述は『古事記』にある[2]信濃国、特に諏訪の八ヶ岳山麓の材料を使った梓弓は強靭で名高く朝廷に献上され、九州大宰府に送られて防人たちに手渡されたという[2]。梓弓には遺品として残されている例がいくつかある(正倉院中倉の3張など)。

梓弓は古くから霊を招くために使われた巫具(採物、呪具)である[1][3]。弦には麻糸や樹皮などが用いられた[1]。これを叩いて音を出すことで霊を招く[1][3]

梓弓という固定された様式が有るわけではなく、伏見稲荷大社の奉射祭ではアズサの木の枝にそのまま弦を張っただけの弓が使用され、また式年遷宮に奉納される弓は京弓師柴田勘十郎に代々伝わる製法で作られるなど、使われる場ごとにその様相を異にする。

使用

梓巫女
梓巫女と呼ばれる古神道や古くからの民間信仰による、いわゆる祈祷師が存在し、神社に属さずに特定の地域や渡り巫女として、吉凶の占い厄落とし口寄せをしていた。このときに使用された道具が梓弓と呼ばれ、小さな葛籠(つづら)に入れ持ち歩いていたので小弓であった。
イタコ
津軽地方ではイタコが梓弓の弦を細い竹の棒で叩いて音を出して、霊を梓弓に宿らせ、それをさらにイタコ自身の身体に憑依させる使用法がみられた[1]

枕詞としての梓弓

万葉集などにおいては、春(張る)、引くなどを導く。 ほかにも、いる、はる、本、末、弦、おす、寄る、かへる、ふす、たつ、矢、音なども導く。

例:梓弓 おしてはるさめ けふふりぬ あすさへふらば わかなつみてむ(古今和歌集20)

出典

  1. ^ a b c d e f 大森康宏「梓弓とイラタカ数珠」 国立民族学博物館(2007年3月14日)2022年9月14日閲覧
  2. ^ a b 諏訪のいろはかるた(9) 天理大学考古学研究室(2013年3月)2022年9月14日閲覧
  3. ^ a b 波部綾乃「弓神事の民俗的機能-名張市・天理市の宮座行事を中心に-」古事 : 天理大学考古学・民俗学研究室紀要 17 23-36頁 天理大学考古学研究室(2013年3月)2022年9月14日閲覧

関連項目


梓弓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:23 UTC 版)

七種宝物」の記事における「梓弓」の解説

梓弓(あずさゆみ)は、梓真弓(あづさのまゆみ)とも言う。現在は東京国立博物館収蔵奈良時代(8世紀)のものとされ、1957年昭和32年6月18日重要文化財指定。『御縁由』には「聖徳太子怨敵退治用いた弓。見た者の難産弓箭の難を防ぐ」と記されている。 弓の曲がりは、上方比べて下方が短いが、これは『魏志倭人伝』にも記される丸木弓の古様を留めていると考えられる。弓の両端凸形削って弭(はず)を造るが、元に近い方には浅い溝が掘られ、元と末の弾力均衡させている。全体朽損を防ぐための透き漆施される木製で長183.3中央部の径2.5奈良博覧会の目録では、聖徳太子奥州安達原得たものと記されている。また会津八一はこの梓弓を、著書南京新唱』で「みとらしの あづさのまゆみ つるはけて ひきてかへらぬ いにしへあはれ」と詠んでいる。

※この「梓弓」の解説は、「七種宝物」の解説の一部です。
「梓弓」を含む「七種宝物」の記事については、「七種宝物」の概要を参照ください。

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