陸屋根
(平屋根 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/25 21:16 UTC 版)
陸屋根(ろくやね、りくやね[注釈 1])とは傾斜の無い平面状の屋根のこと[2]。平屋根(ひらやね)ともいう。
「陸(ろく)」とは水平の意味であり、その逆は「不陸(ふりく、ふろく[注釈 2])」という。普通、陸屋根を有する建築物の上の平面部を屋上という。
水平な屋根を陸屋根というのに対し、傾斜を持つ屋根は勾配屋根という[1]。
構造
陸屋根は一応は水平な屋根をいうが、屋根が完全な水平面になっていることはあり得ない[1]。屋根につけられた勾配は、屋根の表面に雨水が残らないようにしたり、屋根面の不連続な箇所からの水の侵入を防ぐために必要不可欠である[3]。たとえ継ぎ目なく施工したとしても、経年劣化によりひび割れなどを生じてくるリスクを見込んでおく必要がある。
陸屋根にも雨水への対処として排水のためのごく緩い勾配(排水勾配または水勾配という)の設定や、防水施工が必要である[3]。陸屋根に設置される排水口は「ルーフドレイン」という。
陸屋根特有の要素を以下に挙げる。なお、日本の建築基準法などでは、建物の主な用途に付随する施設として一定規模の面積を超えなければ、階数に算出されない。但し、高さに関しては、階数の判断に関わらず斜線制限や日影規制/天空率の適用を受けることがあるので注意を要する。
- ペントハウス
-
屋上に突出した小さな部屋部分[4]で、昇降機室や収納、屋上への出入り口として用いられる。塔屋ともいう。
→詳細は「ペントハウスアパートメント」を参照
- パラペット
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陸屋根の周囲の立ち上がった部分[5]。歩行者などの落下や、雨水が外壁に流れ落ちることを防ぐ。
→詳細は「パラペット」を参照
利用
普通、人間が居住する部屋は四角形であり、それを直方体状に覆う陸屋根は建材量を最小限にできる。このため木材等が入手しにくい中東やアフリカ等の乾燥地域では古代から見られる。欠点は排水性の低さで、高耐久の建材が実現していなかった近代以前では経年とともに屋根が自重で落ち込んでさらに排水性が低下して腐朽を誘発したり雨水や雪の重みで陥没する恐れもあった。
屋上施設を配したり、ヘリポートを設置できることからビル、マンションなどの高層建築物や病院などの特殊建築物に多く見られる。また、主にデザインの観点から一般住宅でも採用例が増えている。
屋上緑化をはじめ、庭園や畑(菜園)として利用する場合は、土砂重量に対する構造強度への配慮と、防根対策が必要となる。
沖縄県では1年で平均7回も台風に襲われ住宅にも大きな被害が出ることから、風に強い鉄筋コンクリート構造で陸屋根の住宅が非常に多い。また川が短く雨が降ってもすぐに海に流れてしまうため、雨量が少ないと水不足になりやすく、陸屋根の上に貯水タンクを設置している場合が多い。
なお、無落雪建築(無落雪屋根)の一種にフラット屋根と呼ばれるものがある[6][7]。ただし、無落雪屋根の一種であるフラット屋根は厳密には陸屋根とは別種とされ、3/100程度の傾斜を付けていることから緩勾配屋根ともいう[7]。
歴史
日本では、1911年(明治44年)8月に、三井物産横浜ビルが完成。日本初の全鉄筋コンクリート作りのビルであり、かつ、平屋根による建物となった[8]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 渡辺 & 石川 1996, p. 22.
- ^ 陸屋根とは?陸屋根の意味を調べる|不動産用語集【HOME'S】
- ^ a b 渡辺 & 石川 1996, p. 23.
- ^ ペントハウス とは/建築・住宅用語集 | まるわかり注文住宅
- ^ パラペット
- ^ 「クロ-ズドシステム処分場における雪害対策マニュアル (PDF)」『特定非営利活動法人 最終処分場技術システム研究協会』。2026年2月14日閲覧。
- ^ a b 山田信博「積雪寒冷地における無落雪屋根の普及状況に関する研究 (PDF)」。2026年2月14日閲覧。
- ^ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、370頁。 ISBN 4-309-22361-3。
参考文献
- 渡辺敬三; 石川広三『屋根と壁の構法システム』建築技術、1996年。
関連項目
「平屋根」の例文・使い方・用例・文例
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