公審判とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 公審判の意味・解説 

こう‐しんぱん【公審判】

読み方:こうしんぱん

最後の審判


公審判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/08 01:24 UTC 版)

公審判(こうしんぱん、ラテン語: Judicium Universale, 英語: The General Judgment, ドイツ語: Das Jüngste Gericht, ロシア語: Страшный суд)とは、正教会カトリック教会で、肉身の復活の後に、イエス・キリストの栄光の再臨のときに行われる、すべての人をその行ってきた善悪により裁くとされる審判[1][2]私審判と区別される。

正教会とカトリック教会に共通する理解

世の終りにはイエス・キリストの約束と復活の保証により、すべての肉身が復活する。 肉身の復活とは天主の全能によって、世の終りに、霊魂が再び元の肉身に合せられることであり、その根拠となる聖書箇所は「墓の中なる人々悉く天主の声を聞く時来らんとす。斯くて善を為しし人は出でて生命に至らんが為に復活し、悪を行いし人は審判を受けんが為に復活せん」(ヨハネ 5:28-29)である。肉身が復活するのは、人の善業と悪業とは霊魂と肉身とで行ったので、肉身も共に審判を受けて終なく賞せられ、或は罰せられるために復活する。肉身の復活の後に公審判があり、その聖書箇所はマタイ24:30-33、マルコ13:26である。公審判の後に、善人は、霊魂、肉身ともに天国に行き、永遠に楽しむのであり、これを終なき生命(いのち)と呼び、その聖書箇所は 「来れ、我父に祝せられたる者よ、世界開闢より汝等のために備えられたる国を得よ」(マタイ25:34)である。公審判の後に、悪人は霊魂、肉身ともに地獄に行き、永遠に苦しむ。これは終なき死と呼ばれ、その聖書箇所は「詛(のろ)われたる者よ、我を離れて、悪魔と其使等との為に備えられたる永遠の火に入れ」(マタイ25:41)である。公審判の行われる目的は、1.天主の智慧と正義とがすべての人に認められ、2.イエス・キリストがすべての被造物の前に光栄を得、3.善人と悪人とはそれに値する名誉叉は恥辱を受けるためである。

正教会とカトリック教会の違い

カトリック教会にはある煉獄の教えが、正教会には存在しないことがまず挙げられる。また、死・審判・天国・地獄を合せて四終と呼ぶのはカトリック教会の用語・整理である。

また、カトリック教会に存在する著名な数々の公審判・地獄を巡る芸術作品のもたらすイメージについて、正教会はこれを否定している(後述)。

公審判をテーマとする作品およびその評価

公審判をテーマとする絵画作品としてはミケランジェロによる最後の審判など、西方教会(特にカトリック教会)に多数の重要かつ著名な作品例がある。

絵画

音楽

神の怒りを歌ったディエス・イレは公審判のモティーフとして出て来る[3]

正教会における西方の作品群への評価

正教会では、ダンテミケランジェロの作品に示された地獄や公審判のイメージについて否定されている。府主教イラリオン・アルフェエフはこれらの作品によりもたらされるイメージにつき「物質的で粗野な形象」とし、「永遠の苦悩の概念が歪められた」としている。特にミケランジェロの作品については「侮辱と決闘応諾等のスコラ的教えであり、正教的理解と相容れる点が少ない」としている[4]

掌院ソフロニイ・サハロフは「ミケランジェロは天才的な能力を持っていたが、奉神的テーマにおいてではなかった…ハリストス(キリスト)は当然中心的存在には違いないが、我々が知る神の啓示によれば、ハリストスは愛なのである(イオアン第一公書(ヨハネの手紙一)4:8)。しかも最後の審判においてさえ神は人を愛し続けるのである」と述べた[4]

脚注

  1. ^ 日本ハリストス正教会教団『正教要理』96頁 - 103頁、昭和55年12月12日
  2. ^ カトリック教会のカテキズム』312頁 - 313頁、2002/7/31 ISBN 9784877501013
  3. ^ 『標準音楽辞典』音楽之友社
  4. ^ a b 参照:引用元:府主教イラリオン・アルフェエフ著、ニコライ高松光一訳『信仰の機密』東京復活大聖堂教会(ニコライ堂)188頁 2004年

参考文献

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「公審判」の関連用語

公審判のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



公審判のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの公審判 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS