IEC
保健医療サービスの提供において、正確な情報を伝達し、住民を教育し対話を重ねる中で、サービス利用者の理解を深め、利用度を高めようとする活動。日本の国際協力の枠組みにおいては、視聴覚教材を用いた啓発普及活動として語られることが多いが、それはIEC活動の一部に過ぎない。国際機関などや欧米のドナー機関では、IEC活動は、国や地域レベルにおけるアドボカシー活動、マスメディアを通じた広報活動、保健医療技術者に対するTraining of trainers(TOT)、利用者である住民に対するメッセージの伝達など、戦略的な社会的動員(social mobilization)の手段として用いられることが多い。最近では、IECだけでは、長年にわたり培われてきた行動や生活パターンを、健康増進上望ましいものに変える行動変容につながらないことが指摘されている。その中で、行動変容に焦点を当てたアプローチであるBehavioral Change and Communication(BCC:行動変容のためのコミュニケーション)が注目を集めている。
IEC(行動変容のためのコミュニケーション)
情報・教育・コミュニケーション(Information, education, and communication:IEC)とは、 サービス利用者に対して特定の情報を伝達する方法である。サービス利用者が理解を深めて行動変化することを目指して、サービス提供側が活動を展開するということに焦点を当てている。例えば妊婦検診を広めることを目的とする事業では、情報の送り手である保健省が、受け手である妊婦に対して、TVやラジオでの宣伝や街頭ポスター、保健センターなどでの指導など、様々なチャンネルを通じて、妊婦検診の日時/場所といった情報を伝えると同時に、なぜ妊婦検診が必要なのかについて理解を深めさせ、実際に妊婦検診へ行くように働きかけることを意味する。
一方、行動変容のためのコミュニケーション(Behavior change communication:BCC)では、サービス利用者が、長い間培ってきた行動や生活パターンを、より望ましいものに変えるということに焦点を当てている。例えば、コンドームの使用や禁煙などである。行動変容を促すには、知識のみならず、行動変容がその人に望ましい成果をもたらせるのだと気づかせること、さらには、その人自身が行動変容できるのだという自信を持たせることが重要とされている。具体的例として、カウンセリング、メディアキャンペーン、法制度の整備などがある。BCCとIECは類似点も多いが、厳密には異なる点もある。そのため、IEC/BCCと並列標記される場合と、別々に標記される場合とがある。(和田知代)
参考YRL:UNFPAホームページ http://www.unfpa.org/adolescents/FinalKS/FAQs.htm
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