Full-collapse fusion
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 04:19 UTC 版)
「シナプス小胞」の記事における「Full-collapse fusion」の解説
神経シナプスを一定期間強く刺激すると、小胞の数が枯渇するとともに細胞のキャパシタンスと表面積が増加することが示されている。このことは、シナプス小胞は神経伝達物質の放出の後、細胞膜と融合してその一部となることを示唆している。HeuserとReeseは、シナプス小胞をHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ(英語版))でタグ付けすることで、カエルの神経筋接合部(英語版)の細胞膜の一部が細胞に取り込まれ、シナプス小胞へと再変換されることを発見した。研究からはシナプス小胞のエキソサイトーシス、回収、再形成のサイクルは1分以内に行われることを示唆している。 Full-collapse fusion機構では、シナプス小胞は細胞膜に融合し、組み込まれる。新たな膜の形成はタンパク質に媒介される過程であり、特定の条件下でしか起こらなない。活動電位の後、Ca2+がシナプス前膜に流入し、細胞質の特定のタンパク質に結合する。その中の1つがシナプトタグミンであり、シナプス小胞と細胞膜との完全な融合を開始する。ポアの完全な融合はSNAREタンパク質によって補助される。このタンパク質ファミリーは、ATP依存的にシナプス小胞にドッキングを媒介する。シナプス小胞上のシナプトブレビン(英語版)、細胞膜上のシンタキシンとSNAP-25からなるt-SNARE複合体の助けのもと、シナプス小胞の細胞膜へのドッキング、プライミング、そして融合が行われる。 Full-collapse fusion機構は、ボツリヌストキシンとテタヌストキシンの標的であることが示されている。ボツリヌストキシンはプロテアーゼ活性を持っており、SNAP-25を分解する。SNAP-25は、特にアセチルコリンを放出する小胞の融合に必要である。ボツリヌストキシンはこうしたSNAREタンパク質を切断することで、シナプス小胞がシナプス膜に融合して神経伝達物質を放出するのを防ぐ。テタヌストキシンも同様に作用するが、攻撃の標的はシナプス小胞のシナプトブレビンである。これらの神経毒はfull-collapse fusion機構の完了を防ぎ、その結果、筋肉の痙攣、麻痺、そして死が引き起こされる可能性がある。
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