Type D submarineとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Type D submarineの意味・解説 

伊三百六十一型潜水艦

(Type D submarine から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 00:00 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
伊三百六十一型潜水艦
伊361
基本情報
種別 一等潜水艦
命名基準 番号
運用者  大日本帝国海軍
建造期間 1943年 - 1944年
就役期間 1944年 - 1945年
建造数 12隻
次級 丁型改
要目
基準排水量 1,440トン[1]
常備排水量 1,779トン[1]
水中排水量 2,215トン[1]
全長 73.5m[1]
最大幅 8.9m[1]
吃水 平均 4.76m[1]
主機 艦本式23号乙8型 ディーゼルエンジン×2基[1]
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 水上:1,850hp[1]
水中:1,200hp[1]
電力 特8型電動機×2基[1]
1号15型蓄電池×240個[注釈 1][1]
速力 水上:13kt[1]
水中:6.5kt[1]
航続距離 水上:10kt/15,000海里[1]
水中:3kt/100海里[注釈 2][1]
燃料 重油282トン[1]
潜航深度 75m[1]
搭載能力 艦内65トン、艦外20トン[1]
魚雷発射管撤去後:艦内90トン、艦外20トン[1][2]
乗員 55名[1]
兵装 40口径14cm単装砲1門[1]
25mm単装機銃1基[注釈 3][1]
九五式53cm魚雷発射管 艦首2門、魚雷2本[注釈 4][1]
レーダー 竣工時:22号電探[2][3]
1945年以降:13号電探[2][3]
水中充電装置[注釈 5][4]
電子戦
対抗手段
竣工時:逆探[2][3]
その他 一部艦は1945年初頭に回天を搭載[2]
テンプレートを表示

伊三百六十一型潜水艦(いさんびゃくろくじゅういちがたせんすいかん)は、大日本帝国海軍潜水艦の艦級。潜輸大型(せんゆおおがた)、丁型(ていがた)、潜丁型(せんていがた)とも呼ばれる。

概要

太平洋戦争後期に輸送任務のために12隻建造され、1944年(昭和19年)に全艦が竣工した。本来の輸送任務に利用された他、末期には一部の艦が改装を受け回天攻撃にも利用された。8隻が太平洋戦争で戦没、残りは1隻が終戦後に触雷沈没し、3隻が米軍によって処分された。本級は警戒が厳重な離島への輸送任務が目的であるため、敵艦のレーダーに探知されないよう艦橋下部が逆台形になっており、浮上航行時レーダー波を海面にそらすようになっていた。

設計

背景

輸送専門の潜水艦計画は1941年(昭和16年)初頭、第一次世界大戦時にドイツで計画された潜水商船ドイッチュラント」を参考とした構想が提案されていたが、作戦部は興味を示さず自然消滅する形となった。しかし、ミッドウェー海戦の敗北後、軍令部では以後の対米作戦において大規模な侵攻作戦を行うことが困難と予測され、代わりとして海軍陸戦隊による敵地への隠密強襲上陸作戦を行うことが考えられた[5]。これらの作戦等に用いることが出来るよう、軍令部から輸送潜水艦の要望が出された[6]。この結果、改⑤計画で本型が計画されることとなった。

艦形

本型は潜水商船「ドイッチュラント」を参考に、艦前後方の輸送スペースを設けてそこに兵員と物資を搭載することとした。計画当初は陸戦隊110名と物資10トンを艦内に搭載し、艦の後部甲板上に上陸用舟艇である特型運貨船2隻を搭載する予定だった[7]。他にも建造期間を短縮するために、主機や電動機は既製品を用いることとされていた[2]

その後設計と建造計画は急速に進み、1943年(昭和18年)2月には1番艦が起工された。しかしこの頃、ガダルカナルの戦いにおける潜水艦を用いた輸送作戦での戦訓がもたらされ、建造中に仕様変更が行われた[2]。純粋な輸送潜水艦として建造するために、人員搭載をやめ、物資搭載量は艦内125トン、艦外20トンと変更された。更に警戒が厳重な沿岸地域への輸送を行うため、艦橋下部にV字型の傾斜をつけて敵からのレーダー探知を防ぐ形となった。加えて水中航続力増加の要求から電池の増設が行われ、水中行動能力が3ノットで40時間と日本の潜水艦の中でも最長クラスとなった。しかし輸送スペースを電池の増設スペースへと転用したため、艦内搭載量は65トンとなった[2]

だが搭載量の大幅な減少が問題となったためか、本型の最終艦である伊372では新造時から魚雷発射管を撤去して輸送スペースを広げ、艦内搭載量を90トンとする改正が行われた。後に伊361を除く本型の全艦が、建造中又は竣工後に魚雷発射管を撤去する工事を受けた[2]

兵装

伊371以前の艦については自衛用として魚雷発射管2門を艦首に装備し、魚雷を2本搭載した。しかし前述のように、輸送スペースを増大するため伊372では当初から魚雷発射管と魚雷を撤去し、伊361以外の艦もそれに倣った。備砲として14cm単装砲を前甲板に搭載し、対空用として25mm単装機銃を後甲板に搭載した。この機銃は後甲板に特型運貨船を搭載できるようにするため、移動式であった[2]。伊362潜水艦長 南部伸清(のち伊号第四百一潜水艦長)の手記によれば、当初は魚雷発射管の前扉がむきだしの状態で、駆逐艦の全力航走に近い波を立てた。そこで南部が上申し、艦首波を少なくする整流覆いの装着が承認された。それでも艦橋と潜望鏡の振動が激しく、双眼鏡が震えて見張りが非常に難しかったという。

電測機器としては、全艦が竣工時に水上警戒用電探である22号電探と、逆探を搭載していた。また1945年(昭和20年)以降は、対空警戒用電探である13号電探に加え、新型逆探や水中充電装置を搭載した。本型で最初に水中充電装置を搭載したのは、竣工時から搭載していた伊372であった[2]

竣工後の改装

1945年に入ると大型潜水艦の不足のため、本型の一部が回天搭載艦に指定された。甲板上の兵装を撤去し、回天を前甲板に2基、後甲板に3基、合計5基を搭載するよう改装された。この際、撤去されていた魚雷発射管を再装備している[2]。この改装は1945年1月に伊368と伊370に実施され、同年3月以降は伊361、伊363、伊366、伊367が順次改装され、回天特別攻撃隊に参加した[2]

1945年6月以降には、航空揮発油を輸送する任務に充てるため、当時残っていた艦に搭載施設が設けられたとされている[2]

艦歴

本型は改⑤計画で基本計画番号S51として11隻計画され全艦竣工。更に1944年の戦時計画では7隻計画され第1艦は計画S51Bとし、伊372として竣工。残り6隻はS51Cと計画を改め、こちらは丁型改と呼ばれ伊373だけが竣工した。終戦時には伊363、伊366、伊367、伊369の4艦が残存している。

ギャラリー

同型艦

潜水隊の変遷

第十六潜水隊

第六艦隊第7潜水戦隊に所属していた伊369伊372と、潜輸小型波101波102波104で編成。海中3型で編成された先代の第16潜水隊が、所属艦の除籍により昭和11年4月1日に解隊されて以来、2代目となる。主に中部太平洋での輸送・哨戒任務に従事した。昭和20年9月2日に解隊された。

1945年(昭和20年)3月20日:伊369、伊372、波101、波102、波104で編成。(兼)第16潜水隊司令今和泉喜次郎大佐。第六艦隊
1945年(昭和20年)4月15日:第11潜水戦隊より波103を編入。
1945年(昭和20年)5月17日:第11潜水戦隊より波105を編入。
1945年(昭和20年)7月1日:波103、波105は第34潜水隊に転出。
1945年(昭和20年)7月18日:横須賀で伊372戦没。9月15日除籍。
1945年(昭和20年)9月2日:解隊。所属艦は9月15日除籍。

脚注

注釈

  1. ^ 電池増設前。増設後の数値不明
  2. ^ 電池増設後:3kt/120海里
  3. ^ #歴群日潜6部 p.133によれば当初は2基
  4. ^ 伊361以外は後に撤去。回天搭載艦は再装備
  5. ^ 伊372は竣工時点で搭載

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w #歴群日潜要目p.193
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n #歴群日潜6部 p.133
  3. ^ a b c #歴群日潜11部 p.168-169
  4. ^ #歴群日潜11部 p.171
  5. ^ #海軍反省会五268-269頁(坂本金美、海兵61。太平洋戦争時、潜水艦艦長歴任)
  6. ^ #歴群日潜6部 p.132
  7. ^ #歴群日潜6部 p.132-133

参考文献

  • 戸高一成『[証言録] 海軍反省会5』株式会社PHP研究所、2013年9月。ISBN 978-4-569-81339-4
    海軍反省会記録第四十回「潜水艦戦の現実 ― いかに戦うか」/海軍反省会記録第四十一回「続・潜水艦戦の現実 ― 人を育てる」
  • 外山操『艦長たちの軍艦史』(光人社、2005年) ISBN 4-7698-1246-9
  • 南部伸清『米機動艦隊を奇襲せよ!潜水空母「伊401」艦長の手記』 二見書房 ISBN 4-576-99151-5
  • 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』(光人社、1990年) ISBN 4-7698-0462-8
  • 雑誌「歴史群像」 太平洋戦史シリーズ No.17 伊号潜水艦、学習研究社、1998年 ISBN 4-05-601767-0
  • 『歴史群像太平洋戦史シリーズ特別編集「日本の潜水艦パーフェクトガイド」』学研、2005年5月。ISBN 4-05-603890-2
    • 大塚好古『【第6部】[特殊目的潜水艦]機雷敷設潜から輸送潜まで』。
    • 大塚好古『【第11部】[搭載兵器と機関]日本潜水艦の兵装と心臓』。
    • 大塚好古『日本潜水艦各型主要目一覧』。

関連項目


「Type D submarine」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Type D submarine」の関連用語

Type D submarineのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Type D submarineのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの伊三百六十一型潜水艦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS