ST enhanced
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 21:17 UTC 版)
「Atari ST」の記事における「ST enhanced」の解説
1989年後半にAtariはマルチメディア面のハードウェアとOSを改善したSTであるSTE(STEとも表記される)をリリースした。STでは512色だったカラーパレットが4096色に増え、Genlockをサポートし、RAM内で大きなデータブロック、特にスプライトのグラフィックを高速に転送できるBlitterというグラフィックのコプロセッサチップなどを特徴としていた。なお、320x200の低解像度ではプログラミングのトリックを使用しない限り16色の最大パレット数に限定されていた。また最大50kHzの8ビットのステレオPCMをハードウェアで再生できる2チャンネルのデジタルサウンドチップを搭載していた。ケース脇の比較的アクセスしやすい場所に新しい2つの拡張ジョイスティックポート(EJP)が追加されていた。変換アダプタを使えば2つの普通のジョイスティックを各ポートに挿入できた。この拡張ジョイスティックポートはAtariのJaguarと互換性があった。RAMはSIMMで非常に簡単にアップグレードできた。これら全てにもかかわらず、まだ8MHzで動作しており、Amigaに追いつくべくハードウェアを増強(enhanced)させることを明らかに目指さなければならなかった。 当初のSTEモデルには、ST用に開発された一部のアプリケーションとゲームが不安定あるいは全く動作すらしないというソフトウェアとハードウェアの間のコンフリクトがあった。RAMを拡張することで解決できることも時々あった。さらに悪いことに、内蔵フロッピーディスクドライブは旧機種の内蔵ドライブで読めるフロッピーディスク上の拡張トラックを読めなかった。これはほとんどのユーザーには問題なかったが、一部のゲームではコピープロテクト用の未フォーマット領域やディスクにたくさんのデータを詰め込む方法として拡張トラックを使用しており、カスタムフォーマットユーティリティでは80トラックのディスクに86のトラックを作るフォーマットが容量拡張の手段として一般的に選べた。さらに、First Word Plusなどの一部のアプリケーションではジョイスティックを挿入すると時々おかしな動作の原因となった。 STEの拡張機能はほとんど利用されることがなかった。STE機能拡張を使用するソフトウェアやSTE専用ソフトウェアは稀であり、芸術、CADや音楽のアプリ、ハードウェアを活用するごく一部のゲームなどに普通は限られた。しかしプログラマーが十分に新機能を活用したため量より質となり得るように思われた。 最後のSTEマシンであるMega STEはグレー色のAtari TTケースに収められたSTEであり、16MHzで動作するスイッチがあり、16bitの外部バスと32bitの内部バスのデュアルバス設計で、Motorola 68882 FPUを搭載可能で、3.5インチフロッピーディスクドライブ内蔵で、VME拡張スロットを搭載し、AppleのLocalTalkに酷似していたネットワークポートを搭載し、3.5インチのハードディスクを内蔵可能だった。またTOS 2.00が添付されていた。ハードディスクのサポートが改善され、デスクトップインターフェイスが強化され、メモリーテスト機能があり、1.44 MBのフロッピーをサポートし、不具合が修正されていた。これはTTよりも手頃でオリジナルのSTよりパワフルな製品として販売された。
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