ポリシリカ鉄凝集剤(PSI)
浄水場などの水処理工程で使われる各種凝集剤。河川などから浄水場に引き込んだ水には細かな土砂や藻類などが含まれるため、凝集剤でそれらを沈殿凝集しています。凝集剤によって沈殿凝集された汚泥は主に産業廃棄物として処理されます。現在、浄水場ではアルミニウム系凝集剤が使われていることが多いのですが、アルミニウムは残留すると人体に危険を及ぼす可能性も否定できないことから、アルミニウムに対する規制が今後厳しくなる傾向にあります。そこで新しい凝集剤として普及が進んでいるのが「ポリシリカ鉄凝集剤(PSI)」です。
PSIは鉄系の無機高分子凝集剤で、凝集するのが難しかった藻類や有機色度成分に対して優れた凝集効果を発揮します。また、鉄系凝集剤なのでアルミニウム残留の心配がなく、浄水場ではより安全な飲み水を確保しやすくなります。さらに最近の研究成果で明らかになりつつあるのが、PSIの処理で発生した汚泥は農地などに還元できるというPSIの「資源循環能力」です。PSIは鉄シリカを主成分にしているため、その汚泥を農地に施用すれば肥料や土壌改良剤としての効果が得られるという訳です。
PSI発生汚泥を農地還元する実証試験は東北大学大学院農学研究科が今春から本格的に進めています。PSIで凝集した汚泥内に植物の成長を促すケイ酸や鉄、有機物が多く含まれることが確認されているため、東北大では同汚泥を水田に施用することによって米の収量を約10-20%増加できるとしています。
また水田土壌からは、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約20倍のメタンが発生しています。農業分野でも温室効果ガスの排出削減が当然求められていますが、水田土壌に鉄を添加するとメタン発生を抑制できる効果もあるのです。そのためPSI発生汚泥を水田に還元し続ければ、コメの収量増加とともに温室効果ガス削減にも寄与できる可能性が出てきました。
従来は産業廃棄物として処理されていた汚泥を資源として循環できるほか、水田ではPSI発生汚泥を活用することで化学肥料の使用量を削減できるとあって、今回の東北大学の実証試験はさまざまな分野から注目を浴びています。
※写真:茶色の粒状のものがPSI
(掲載日:2008/05/15)
PSIは鉄系の無機高分子凝集剤で、凝集するのが難しかった藻類や有機色度成分に対して優れた凝集効果を発揮します。また、鉄系凝集剤なのでアルミニウム残留の心配がなく、浄水場ではより安全な飲み水を確保しやすくなります。さらに最近の研究成果で明らかになりつつあるのが、PSIの処理で発生した汚泥は農地などに還元できるというPSIの「資源循環能力」です。PSIは鉄シリカを主成分にしているため、その汚泥を農地に施用すれば肥料や土壌改良剤としての効果が得られるという訳です。
PSI発生汚泥を農地還元する実証試験は東北大学大学院農学研究科が今春から本格的に進めています。PSIで凝集した汚泥内に植物の成長を促すケイ酸や鉄、有機物が多く含まれることが確認されているため、東北大では同汚泥を水田に施用することによって米の収量を約10-20%増加できるとしています。
また水田土壌からは、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約20倍のメタンが発生しています。農業分野でも温室効果ガスの排出削減が当然求められていますが、水田土壌に鉄を添加するとメタン発生を抑制できる効果もあるのです。そのためPSI発生汚泥を水田に還元し続ければ、コメの収量増加とともに温室効果ガス削減にも寄与できる可能性が出てきました。
従来は産業廃棄物として処理されていた汚泥を資源として循環できるほか、水田ではPSI発生汚泥を活用することで化学肥料の使用量を削減できるとあって、今回の東北大学の実証試験はさまざまな分野から注目を浴びています。
※写真:茶色の粒状のものがPSI
(掲載日:2008/05/15)
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