ONの打撃スタイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 04:27 UTC 版)
カウント別打撃機会を比較すると、長嶋が0ストライク33%、2ストライク35%に対して王が0ストライク24%、2ストライク45%で好対照の打撃スタイル。「長嶋は0-2のカウントでは絶対打ってくる」という定評が各チームに流れ、1968年にはわざと0-2のカウントにしてボール臭い球を引っ掛けさせる戦法が流行した。一方の王は1968年に49本中25本を、1976年にも49本中21本で打つなど、2ストライクの本塁打が全部で281本もあった。 王は引っ張り方向に打球が集中するプルヒッターであり、55本塁打を放った1964年は安打の8割以上が中心よりも右側に集まっていた。王シフトが全チームに普及し、引退するまで独自の工夫を凝らして続けられた。長嶋も単打と本塁打こそ左方向に集中していたが、二塁打と三塁打は左右まんべんなく打ち分けた。相手の投手や球種によって打席の位置やスタンドを変え、野手のいないところに打つ技術が上手かった。そのために打球方向分析には何度データを入れても傾向は掴めず、長嶋シフトは生まれなかった。スランプになると王はポップフライが多くなり、長嶋は遊撃手へのゴロが多くなるといわれた。 長嶋はONの打撃スタイルについて「王選手の打撃フォームは力学的に言ってもパーフェクト。あれは荒川(博)さんと二人三脚で作り上げたもの。王選手と荒川さんは球界でも屈指の師弟コンビといえるだろう」「一方、僕にはこれといった打撃の師匠はおらず、自分で作り上げていった。この点もONが好対照と呼ばれる所以ではないか」と語っている。また、「王選手はいったんスランプに入るとなかなか抜け出せない。その代わり一旦好調になるとそれが2ヶ月も3ヶ月も続く。僕は好不調の波が早く、スランプはすぐ抜け出す変わりに好調も続かなかった。この組み合わせがうまくはまり、『王が打たなければ長嶋が打つ、長嶋が打たなければ王が打つ』というリズムが出来たのだろう」と語っている。
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