MHDとプラズマ宇宙論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 14:27 UTC 版)
「プラズマ宇宙論」の記事における「MHDとプラズマ宇宙論」の解説
太陽風のMHDシミュレーション MHD(電磁流体力学)とプラズマ宇宙論は切っても切れない関係にある。それはこの2つを創始したのがハンネス・アルベーン (Hannes Olof Alfvén)であり、ともに発展してきたことからも明らかである。1970年に彼がMHDの発見とその周辺研究の業績が認められてノーベル賞を受賞したとき、宇宙におけるプラズマの重要性は認められており、宇宙、天文関係の学者にMHD理論は急速に広まっていき、確かな地位を確立した。 しかし、それ以前の彼がプラズマの研究を宇宙に応用しはじめた当初は、宇宙でのプラズマ、磁場、電流の重要性は認められていなかった。宇宙論の主流派の学者からは、実験室にこもって研究をしているプラズマ物理学者に宇宙の何がわかるのかと相手にされていなかったのである。しかし、このような考えは彼の発見したプラズマの特性によって忘れ去られていく。 その特性はプラズマのスケーラビリティである。電気抵抗、速度、エネルギーなどの重要な変数は、規模の大きさによらず変化しないというものである。その他の時間などの変数はサイズに伴い変化していく。つまり、ある現象が100万分の1に縮小した場合その進行は100万倍速くなる。このことは、オーロラの数時間の変化から、プロミネンスの数日間の変化、そして数十億年も続く銀河の変化に至るまで、宇宙の壮大な過程は100万分の1秒ほどの放電によって実験室内でモデル化できる事を示している。天文学的現象の密度も実験室の比率にスケールダウンすると通常の気体の密度になるのである。このことは、実際に実験で検証できると言う意味において、とても重要である。現在主流派の重力によって支配されている宇宙論ではこのような検証はまず不可能である。 こういった事実によりプラズマ宇宙論は実験室での研究と、宇宙の観測を組み合わせることにより発展してきた。この実証的方法論とMHDに立脚したプラズマ宇宙論は、多くの電磁的な現象が宇宙を支配している事が明らかになっていくにつれて、宇宙の分野において重要な地位を占めるに至ったのである。
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