キー・インフォーマント・インタビュー
「キー」核となる「インフォーマント」情報提供者に対する「インタビュー」面談による聞き取り、である。文化人人類学では、研究対象となる社会、文化の一員であり調査者が知りたい事柄に精通し、概念、言語、世界観、具体的事例などに関して的確な表現ができる人(情報提供者)のことを指す。「インフォーマント」が実験などにおける被験者、心理学的研究における被面接者、アンケートを使う社会調査などの回答者と異なる点は、原則的に長期にわたり調査地域に入り込みフィールドワークを行う研究者に対して、現場において研究者と密接に接触し情報提供を行うという点である。このようなインフォーマントに対して通常、構造化インタビュー(事前に質問を系統的に整理して質問項目を明確に順序立てて計画した聞き取り)ではなく、調査トッピック(あるいはサブ・トピック)の大まかな枠組みの中で自由に且つ臨機応変に質問を行って、インフォーマントやインフォーマントに代表される地域の人々の考え方、価値観、意見などを引き出し内容を深めていくインタビュー方法である。実質的にはIn-depth interviewと同じ意味で使用されることが多いが、「誰が=核となる情報提供者」に重点を置いた質的調査手法の名称である。キー・インフォーマントは、調査者が調査地に長期間入りその地域の事情を深く知る過程で、トピックに関する知識の豊富さ、コミュニケーション・表現能力、調査者のアクセスのしやすさ、などを考慮して慎重に選ばれる。(松山章子)
参考資料:Research Methods in Anthropology: Qualitative and Quantitative Approaches H. Russell Bernard、1994、 Sage Publications
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