KTの死刑確定
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しかし、被告人KTは2009年4月13日付で自ら控訴を取り下げたため、同日付でKTの死刑が確定した(#関連項目も参照)。取り下げの理由について、KTは「殺したければ早く殺せ」という思いがあったことや、「インターネットや週刊誌などで、自身の交際相手を誹謗中傷する記事が掲載され、彼女が精神的につらい旨を訴えてきている。これ以上裁判を続けて彼女に迷惑を掛けられないと思った」などという旨を述べている。 同月24日付で、名古屋地検の検察官から名古屋拘置所長宛に、判決が同月13日に確定した旨の「死刑判決確定通知書」が送付され、名古屋拘置所処遇部長は同月27日、KTに死刑判決の確定を告知した。しかし、第一審でKTの国選弁護人を務めていた弁護士2人(藏冨恒彦・福井秀剛) は同日(2009年4月27日)、「KTは控訴取り下げの能力を十分に理解しないまま、控訴を取り下げている。これはKT本人の真意に基づくものではなく、無効である」と主張し、控訴審における審理を求める旨の期日指定申立書を提出した。弁護人による訴えの根拠は、「KTは控訴を取り下げた時点で、死刑判決後の拘禁反応などによる朦朧状態にあり、自己の権利を守る能力を欠いていた。また、『もし自分が控訴を取り下げても、弁護人がした控訴は存続し、判決は確定しない』という重大な錯誤に基づいて取り下げに至った」というものだった。 しかし、名古屋高裁刑事第2部(下山保男裁判長)は2010年(平成22年)9月9日付で、弁護人が求めていた控訴審期日指定の申し立てを退ける決定を出した。その決定要旨は、「KTは控訴取り下げ前から、自ら死刑を受け入れる旨を述べていたほか、取り下げの経緯の概要については記憶しているし、取り下げに至った経緯・理由も短絡的とはいえ、一応了解可能なものだった。また、取り下げ後の精神鑑定の結果からみても、意識変容を伴う朦朧状態など、自己の権利を守る能力が著しく制限された状態ではなかった」というものだった。弁護人は同決定を不服として、同月13日付で名古屋高裁の別の裁判部に異議を申し立てた が、同高裁(志田洋裁判長)は2011年(平成23年)2月10日付の決定で異議申し立てを棄却。弁護人は同月14日付で特別抗告したが、同月3月2日付で最高裁判所第三小法廷(那須弘平裁判長)が抗告を棄却する決定を出したため、控訴取り下げを有効とする原決定が確定した。
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