ESPN2の予算削減とスペイン語局の躍進
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「アメリカ合衆国のボクシング中継」の記事における「ESPN2の予算削減とスペイン語局の躍進」の解説
ボクシング中継には一定の視聴者は定着していたものの、主要競技とされる野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケーに比べて経営は厳しくなり、2004年1月からはケーブルテレビ局のESPN2がそれまでプロモーターに毎回5万ドルから6万ドル払っていた放映権料を削減することを決めた。同局は中堅選手のサバイバルマッチを主軸とし、リングサイドではテディ・アトラスが、スタジオでは当時まだ駆け出しのマックス・ケラーマンが解説を務めていたが、低予算で中堅選手同士のサバイバルマッチを組むことはある意味では大物同士のビッグマッチ以上に実現が難しく、また中堅から世界を目指す過程では危険を冒した戦い方を避けがちであることから、結果的に試合が面白みを欠いたものになる傾向がある。同じ頃、HBOのボクシング番組責任者からプロモーターとして独立したルー・ディベラは、力量差のある退屈な試合や不当判定の頻発が競技人気の後退を招いているとし、選手はテクニックには長けているものの勝利を意識し過ぎてアルツロ・ガッティやミッキー・ウォードのようにスリリングな試合を提供しなくなっており、これもテレビ中継の低迷に繋がっているとしている。 またこの時期の米国では白人にもアフリカ系アメリカ人にも傑出した選手がなく、競技人口は減り、当時の野球同様にヒスパニック系やメキシコをはじめとする中南米出身の選手を米国が売り出すという図式が成り立っていた。それまで米国のテレビ局はハイレベルでコストのかからないメキシコの選手を好んで使ったが、メキシコ側からすれば自国での世界戦開催は経済的に困難だったものの、米国に呼ばれて有力選手と対戦することで全体的な底上げが図られ、世界挑戦が決まれば王座を奪取する機会も増大していた。ESPN2の『フライデー・ナイト・ファイト』の裏番組では、ボクシングの浮沈を賭けて数年前からヒスパニック系に狙いを定めていたトップランク社と契約したスペイン語局のテレフトゥーラが中継番組『ソロ・ボクセオ』(オンリー・ボクシング)でラテン系のボクサーを起用して高視聴率を上げ、トップランク社がプロモートしたオスカー・デ・ラ・ホーヤが興したゴールデンボーイ・プロモーションズも月に1度、スペイン語チャンネルのHBOラティーノで『ボクセオ・デ・オロ』(ゴールデン・ボクシング)を放送した。
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