ELIZAとPARRY
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 01:17 UTC 版)
「チューリング・テスト」の記事における「ELIZAとPARRY」の解説
ブレイ・ウィットビー(Blay Whitby)は、チューリングテストに関する歴史の中に、以下の4つの大きなターニングポイントを挙げている。 1950年の『計算機械と知性』の出版 1966年のジョセフ・ワイゼンバウムによるELIZAの発表 1972年のケネス・コルビー(英語版)のPARRY製作 1990年のチューリング会議 ELIZAは、ユーザーが打ったコメントからキーワードを探し出して動作する。キーワードが見つかれば、ユーザーのコメントを変換するルールが適用され、その結果の文章が返される。キーワードが見つからなければ、ELIZAは一般的な返事をするか、もしくは前に行った言葉を繰り返す。さらに、ワイゼンバウムは来談者中心療法のセラピストのふるまいを真似るようにELIZAを作った。つまりELIZAを「実世界のことをほとんど何も知らないかのようにふるまえる」ようにしたのである。これらのテクニックにより、ワイゼンバウムのプログラムはいくらかの人を騙し、実際の人間としゃべっていると思わせることができたのである。「ELIZAが人間『じゃない』なんて……とても納得できない」という被験者もいた。このように、ELIZAはチューリングテストを通過できるプログラムの(おそらく最初の)一つであることが多くの人によって主張された。 コルビーのPARRYは「感情傾向(attitude)のあるELIZA」と呼ばれた。PARRYはワイゼンバウムと(高度ではあるかもしれないが)同様の手法を使って偏執性統合失調症のふるまいを再現するよう試みたものである。研究を実証するため、PARRYは1970年代初期にチューリングテストのバリエーション試験を受けた。まずテレタイプ端末を通して、経験豊富な精神科医に、本物の患者とPARRYが動作するコンピュータの精神分析をさせた。次に別の精神科医のグループ33人に、この会話記録を見せる。そして、この二つのグループにどちらの「患者」が人間でどちらがプログラムか判別させた。この実験では、正しく判別できた精神科医は48パーセントだった。当てずっぽうで決めたのと同様の数字である。 ELIZAもPARRYも、厳密なチューリングテストを通過できたというわけではないが、ELIZA・PARRY、そして同様のソフトウェアは、チューリングテストを通過できるようなソフトウェアが作られる可能性を示唆している。さらに重要なのは、そのチューリングテストを通過できるソフトウェアに含まれるのは、データベースと単純なルールの適用だけ、ということもありうることだ。
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