BBC Micro 事件
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「シンクレア ZX81」の記事における「BBC Micro 事件」の解説
ZX81誕生には、英国放送協会 (BBC) が1982年に放送開始を予定していた番組の計画が関わっている。それはコンピュータとプログラミングの普及を目的とした番組だった。BBCは番組と連携した教材となるホームコンピュータを既存企業に製造委託することにした。シンクレアはこれを1980年12月に聞きつけ、ZX80の新たなバージョン ZX81 を1981年春に発表する予定であることをBBCに知らせた。ZX81はZX80の問題をいくつか解決し、より安価でより進んだものになるとしていた。シンクレアはZX81がBBCの候補となることを望んでおり、そのために働きかけを行った。彼はZX80が既に4万人のユーザーを獲得していると指摘し、番組が始まるころにはZX81のユーザーは10万人に達しているだろうと主張した。なお、この主張は少なく見積もりすぎており、実際にはその頃のユーザーの数は40万人以上に達していた。 1981年1月、ZX81のプロトタイプがBBCの代表者に対して披露された。一方ライバルのエイコーン・コンピュータは Acorn Atom(英語版) をベースにした Proton というコンピュータを提案していたが、その時点ではプロトタイプも存在しなかった。結局エイコーンが契約を勝ち取り、BBC Micro はエイコーンから1982年1月に発売された。番組プロデューサー Paul Kriwaczek は1982年3月の Your Computer 誌のインタビューで次のように説明している。 シンクレア (ZX81) のような非常に貧弱なものをBBCが売ることには、私は否定的だった。シンクレアのマシンは拡張できず、基本的に使い捨てのように消費される製品だ。プログラミングの学習が主眼だが、私はBASICでのプログラムを学ぶことだけでコンピュータの未来が開けるとは信じられない。 シンクレアはBBCの決定を辛辣に批判した。エイコーンがBBCの契約を勝ち取った直後、イギリス政府は学校で購入する際に半額を補助する推奨コンピュータの一覧を発行。シンクレアのコンピュータはその一覧に掲載されなかった。これに対してシンクレアは学校向けにZX81を半額で提供するキャンペーンを展開し、16kBの拡張RAMモジュール付きで60ポンド、プリンターも半額でつけて総額90ポンドで販売した。政府の推奨システムは最低でも130ポンドであり、シンクレアのキャンペーンで2,300台が学校に売れた。
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